今月の愛$誌も、手元にはありますが、
まだ、開けてないので、感想は明日、ということにして、
久しぶりに、長編の続きです。
間に、一本挟んでしまっているので、
お忘れかもしれませんが、
ここから始まる物語は、
あくまでも、フィクションで、
実在する人物とは、一切、なんの関係もありません。
ただの小説、です。
そのため、
名前の変換機能、というものは、備え付けてありませんので、
あしからず。
では、
本編は、続きから。
シーン自体は、短いものですが、
携帯からですと、
その性格上、ページ割りが増えるかもしれません。
ご了承ください。
EPISODE.1 桜咲く季節 ①
新学期。
それまでと変わらない日常が、
始まろうとしていた。
あづさは2年生に進級し、
クラス担任も新しくなる。
昇降口に張り出されたクラス分けの一覧表を、
それぞれに確かめては、
一喜一憂し、
にぎやかな様子だ。
「あづさ、何組?」
声を掛けてきたのは、奈波だ。
「うーん、文型Dクラス・・・かな。
女子クラスじゃないから、セーフ?」
「Dって・・・でも、担任が、安積やん」
「まあまあとちゃう? 退屈はせぇへんよ」
「おもろいからな、あいつ。
変なトコ、熱血やけど」
安積慶一、32歳、妻帯者で2児の父。
英語教師のくせに、なぜか、いっつもジャージに素足。
ソフトボール部の顧問。
『やったったら、ええねん』が口癖。
「奈波は? 理系やったよね」
「あかんわぁ、Hクラスやもん。
どっちみても、男ばっかしやわ」
2年になると、文系理系の進路別にクラス分けがなされる。
必然、文系には女子が、
理系には男子が多くなってしまうので、
女子だけのクラスがあれば、
クラスに女子数人という男子クラスも出来上がることになる。
「え? オンナノコ、おらんの?」
「おるよ、おる。
けど、なに? 私いれても、6人かな」
「うわあ、それ、メンバー、誰?」
数少ない女子やのに、
気が合わん子がおったら、最悪や。
「まあ、誰がおっても、
なんとか、やっていけそうな気はするし。
去年あづさと同じクラスやった千春もおるし、ね」
「あ、そうか。ちィも理系やって言うとったわ。
で、担任は?」
「石崎」
「ええっ!!!」
「な? こっちのほうが最悪やで。
一年、あの嫌味に耐えなあかんかと思うと、
登校拒否になりそうやもん」
石崎武雄。51歳。社会科教師。専門は日本史。
指揮者のタクトに似た白い棒を、常に携帯。
通称「カマキリ」。
何故そう呼ばれるかは、見たらわかる。まんま、やから。
発する言葉の端々に、
あからさまな嫌味があるにも関わらず、
本人が気付いてないから、ややこしい。
「ねえ、話、変わるんやけど・・・」
奈波がなにやら、言い難そうに、切り出した。
「亮先輩と別れたって、聞いたんやけど」
「誰に聞いたん?」
「え? 隆平」
「そうか、そうだよね。
亮との始まりも丸山君なんやから、
知ってても、おかしくないやんね」
「なんで別れたん」
ストレートに聞かれて、
あづさは、言葉に詰まる。
「なんでって・・・」
こんなに他の生徒がいる中で話したいことではないし、
それに、
説明したくても、
真実は、まだあづさにも判っていない。
「それ、後にせぇへん?」
「あ、そうやね。そのほうがいいか。あとで、ゆっくり・・・」
思いついたように、
あづさは提案した。
「美術準備室、どう?
加藤にコーヒーでも、入れてもらおうや」
あそこだったら、少々話しにくいことでも、
ゆっくり話せるわ。
「ん、ええよ。ほな、放課後ね」
放課後。
南校舎の一番西の端にある美術室。
その隣にある準備室は、
美術教師である加藤の私物に溢れている。
「加藤センセ、いる?」
軽くノックしたあと、
あづさはドアを開けた。
ドアは開いたが、
そこに美術教師の姿は、なかった。
「あれ? いないの? 入ってもいい? 入るよぉ」
独り言のように、つぶやいて、
あづさは準備室に入った。
ただでさえ、さほど広くないその部屋のあちらこちらに、
描きかけの絵や、
なんだか不思議な形のオブジェが所狭しと置かれていて、
その片隅に、小さなソファがある。
あづさは、勝手知ったるなんとやら、
そのソファに座って、奈波を待つことにした。
窓から差し込む光は、
もうすっかり春そのもので、
優しい温かさに、満ちている。
準備室の窓から見えるのは、
テニスコートと、バレーコート。
部活の生徒らが、
ちらほら準備をしだしている。
「あ? 何してんねん、おまえは」
突然、頭の上から声が落ちてきて、
あづさは、ビックリして目を開けた。
一旦、切ります。
続きます。
②は、近日中に。
まだ、開けてないので、感想は明日、ということにして、
久しぶりに、長編の続きです。
間に、一本挟んでしまっているので、
お忘れかもしれませんが、
ここから始まる物語は、
あくまでも、フィクションで、
実在する人物とは、一切、なんの関係もありません。
ただの小説、です。
そのため、
名前の変換機能、というものは、備え付けてありませんので、
あしからず。
では、
本編は、続きから。
シーン自体は、短いものですが、
携帯からですと、
その性格上、ページ割りが増えるかもしれません。
ご了承ください。
EPISODE.1 桜咲く季節 ①
新学期。
それまでと変わらない日常が、
始まろうとしていた。
あづさは2年生に進級し、
クラス担任も新しくなる。
昇降口に張り出されたクラス分けの一覧表を、
それぞれに確かめては、
一喜一憂し、
にぎやかな様子だ。
「あづさ、何組?」
声を掛けてきたのは、奈波だ。
「うーん、文型Dクラス・・・かな。
女子クラスじゃないから、セーフ?」
「Dって・・・でも、担任が、安積やん」
「まあまあとちゃう? 退屈はせぇへんよ」
「おもろいからな、あいつ。
変なトコ、熱血やけど」
安積慶一、32歳、妻帯者で2児の父。
英語教師のくせに、なぜか、いっつもジャージに素足。
ソフトボール部の顧問。
『やったったら、ええねん』が口癖。
「奈波は? 理系やったよね」
「あかんわぁ、Hクラスやもん。
どっちみても、男ばっかしやわ」
2年になると、文系理系の進路別にクラス分けがなされる。
必然、文系には女子が、
理系には男子が多くなってしまうので、
女子だけのクラスがあれば、
クラスに女子数人という男子クラスも出来上がることになる。
「え? オンナノコ、おらんの?」
「おるよ、おる。
けど、なに? 私いれても、6人かな」
「うわあ、それ、メンバー、誰?」
数少ない女子やのに、
気が合わん子がおったら、最悪や。
「まあ、誰がおっても、
なんとか、やっていけそうな気はするし。
去年あづさと同じクラスやった千春もおるし、ね」
「あ、そうか。ちィも理系やって言うとったわ。
で、担任は?」
「石崎」
「ええっ!!!」
「な? こっちのほうが最悪やで。
一年、あの嫌味に耐えなあかんかと思うと、
登校拒否になりそうやもん」
石崎武雄。51歳。社会科教師。専門は日本史。
指揮者のタクトに似た白い棒を、常に携帯。
通称「カマキリ」。
何故そう呼ばれるかは、見たらわかる。まんま、やから。
発する言葉の端々に、
あからさまな嫌味があるにも関わらず、
本人が気付いてないから、ややこしい。
「ねえ、話、変わるんやけど・・・」
奈波がなにやら、言い難そうに、切り出した。
「亮先輩と別れたって、聞いたんやけど」
「誰に聞いたん?」
「え? 隆平」
「そうか、そうだよね。
亮との始まりも丸山君なんやから、
知ってても、おかしくないやんね」
「なんで別れたん」
ストレートに聞かれて、
あづさは、言葉に詰まる。
「なんでって・・・」
こんなに他の生徒がいる中で話したいことではないし、
それに、
説明したくても、
真実は、まだあづさにも判っていない。
「それ、後にせぇへん?」
「あ、そうやね。そのほうがいいか。あとで、ゆっくり・・・」
思いついたように、
あづさは提案した。
「美術準備室、どう?
加藤にコーヒーでも、入れてもらおうや」
あそこだったら、少々話しにくいことでも、
ゆっくり話せるわ。
「ん、ええよ。ほな、放課後ね」
放課後。
南校舎の一番西の端にある美術室。
その隣にある準備室は、
美術教師である加藤の私物に溢れている。
「加藤センセ、いる?」
軽くノックしたあと、
あづさはドアを開けた。
ドアは開いたが、
そこに美術教師の姿は、なかった。
「あれ? いないの? 入ってもいい? 入るよぉ」
独り言のように、つぶやいて、
あづさは準備室に入った。
ただでさえ、さほど広くないその部屋のあちらこちらに、
描きかけの絵や、
なんだか不思議な形のオブジェが所狭しと置かれていて、
その片隅に、小さなソファがある。
あづさは、勝手知ったるなんとやら、
そのソファに座って、奈波を待つことにした。
窓から差し込む光は、
もうすっかり春そのもので、
優しい温かさに、満ちている。
準備室の窓から見えるのは、
テニスコートと、バレーコート。
部活の生徒らが、
ちらほら準備をしだしている。
「あ? 何してんねん、おまえは」
突然、頭の上から声が落ちてきて、
あづさは、ビックリして目を開けた。
一旦、切ります。
続きます。
②は、近日中に。
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