すばるに恋して∞に堕ちて

新たに。また1から始めてみようかと。

長編 2-1

2009-04-06 18:10:12 | 小説・長編
今月の愛$誌も、手元にはありますが、
まだ、開けてないので、感想は明日、ということにして、
久しぶりに、長編の続きです。

間に、一本挟んでしまっているので、
お忘れかもしれませんが、

ここから始まる物語は、
あくまでも、フィクションで、
実在する人物とは、一切、なんの関係もありません。

ただの小説、です。

そのため、

名前の変換機能、というものは、備え付けてありませんので、
あしからず。

では、
本編は、続きから。

シーン自体は、短いものですが、
携帯からですと、
その性格上、ページ割りが増えるかもしれません。
ご了承ください。


EPISODE.1 桜咲く季節 ①



新学期。

それまでと変わらない日常が、
始まろうとしていた。

あづさは2年生に進級し、
クラス担任も新しくなる。

昇降口に張り出されたクラス分けの一覧表を、
それぞれに確かめては、
一喜一憂し、
にぎやかな様子だ。


「あづさ、何組?」

声を掛けてきたのは、奈波だ。

「うーん、文型Dクラス・・・かな。
 女子クラスじゃないから、セーフ?」

「Dって・・・でも、担任が、安積やん」

「まあまあとちゃう? 退屈はせぇへんよ」

「おもろいからな、あいつ。
 変なトコ、熱血やけど」

安積慶一、32歳、妻帯者で2児の父。
英語教師のくせに、なぜか、いっつもジャージに素足。
ソフトボール部の顧問。
『やったったら、ええねん』が口癖。

「奈波は? 理系やったよね」

「あかんわぁ、Hクラスやもん。
 どっちみても、男ばっかしやわ」

2年になると、文系理系の進路別にクラス分けがなされる。

必然、文系には女子が、
理系には男子が多くなってしまうので、

女子だけのクラスがあれば、
クラスに女子数人という男子クラスも出来上がることになる。

「え? オンナノコ、おらんの?」

「おるよ、おる。
 けど、なに? 私いれても、6人かな」

「うわあ、それ、メンバー、誰?」

数少ない女子やのに、
気が合わん子がおったら、最悪や。
 
「まあ、誰がおっても、
 なんとか、やっていけそうな気はするし。
 去年あづさと同じクラスやった千春もおるし、ね」

「あ、そうか。ちィも理系やって言うとったわ。
 で、担任は?」

「石崎」

「ええっ!!!」

「な? こっちのほうが最悪やで。
 一年、あの嫌味に耐えなあかんかと思うと、
 登校拒否になりそうやもん」

石崎武雄。51歳。社会科教師。専門は日本史。
指揮者のタクトに似た白い棒を、常に携帯。
通称「カマキリ」。
何故そう呼ばれるかは、見たらわかる。まんま、やから。
発する言葉の端々に、
あからさまな嫌味があるにも関わらず、
本人が気付いてないから、ややこしい。

「ねえ、話、変わるんやけど・・・」

奈波がなにやら、言い難そうに、切り出した。

「亮先輩と別れたって、聞いたんやけど」

「誰に聞いたん?」

「え? 隆平」

「そうか、そうだよね。
 亮との始まりも丸山君なんやから、
 知ってても、おかしくないやんね」

「なんで別れたん」

ストレートに聞かれて、
あづさは、言葉に詰まる。

「なんでって・・・」

こんなに他の生徒がいる中で話したいことではないし、
それに、
説明したくても、
真実は、まだあづさにも判っていない。

「それ、後にせぇへん?」

「あ、そうやね。そのほうがいいか。あとで、ゆっくり・・・」

思いついたように、
あづさは提案した。

「美術準備室、どう?
 加藤にコーヒーでも、入れてもらおうや」

あそこだったら、少々話しにくいことでも、
ゆっくり話せるわ。

「ん、ええよ。ほな、放課後ね」





放課後。

南校舎の一番西の端にある美術室。
その隣にある準備室は、
美術教師である加藤の私物に溢れている。

「加藤センセ、いる?」

軽くノックしたあと、
あづさはドアを開けた。

ドアは開いたが、
そこに美術教師の姿は、なかった。

「あれ? いないの? 入ってもいい? 入るよぉ」

独り言のように、つぶやいて、
あづさは準備室に入った。

ただでさえ、さほど広くないその部屋のあちらこちらに、
描きかけの絵や、
なんだか不思議な形のオブジェが所狭しと置かれていて、
その片隅に、小さなソファがある。

あづさは、勝手知ったるなんとやら、
そのソファに座って、奈波を待つことにした。

窓から差し込む光は、
もうすっかり春そのもので、
優しい温かさに、満ちている。

準備室の窓から見えるのは、
テニスコートと、バレーコート。

部活の生徒らが、
ちらほら準備をしだしている。


「あ? 何してんねん、おまえは」

突然、頭の上から声が落ちてきて、
あづさは、ビックリして目を開けた。




一旦、切ります。
続きます。

②は、近日中に。







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