殿は今夜もご乱心

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手抜かない料理・2

2020年06月07日 16時17分17秒 | 手抜き料理
梶田さんとマンネン君の挑戦?に発奮した我々は

短時間で、でき得る限りの料理を作ることにした。

なにせ私とけいちゃんは調理師といえど

美食を作ってきたわけではない。

病院の治療食という、おいしくない物を作るプロだったのだ。

そんな2人にたいした物ができるわけもなく

品数で勝負するしかないのである。


昼の献立を再度、掲載してみよう。

牛肉の野菜巻き

鶏モモの八幡巻き

焼豚

揚げ高野豆腐のあんかけ

海老パン

鶏レバーのニラ炒め添え

キンピラごぼう

グリーンサラダ・トマトとモッツァレラチーズ添え

ナメコの味噌汁

白ごはん

香の物


ひと目でおわかりのように、作り過ぎだ。

我々の意気込みが、おわかりいただけるだろう。

これらの料理の羅列は

できることならば、敵?を一発で仕留めたいという願望の現れ。

我々は今後もユリちゃんに請われれば

お寺に出入りして料理を作るつもりだ。

つまらぬライバル心を持たれたままでは

お互いに不幸だからである。


“みんな知っているけど案外食べてない料理”をコンセプトに

渾身で考えた献立の説明をさせていただこう。

牛の野菜巻きと鶏の八幡巻きは、どちらか一つに決めかねて

いっそ両方やることになったが

牛さんと鶏さんが登場となると、豚さんを出さないわけにはいかない…

いや、出したい…という気分になった私が焼豚を作った。


揚げた高野豆腐は、食べたことの無い人が多いと思うので

「素朴な食材で作られた珍味」の路線を狙う。

海老パンは、ちょっと気取りたかったのもあるが

香ばしさとサクサクの食感が人心をつかむことを知っているので

今回、ぜひ作りたかった。


鶏のレバーは、よくある甘辛煮だが

会食ではあんまり出ないので、意外性を突いたつもり。

キンピラごぼうは、レバーが嫌いな人ためのサポート料理。

ユリちゃんがそれだと知っているので、作った。


グリーンサラダは、緑色のサラダ菜や水菜の上に

同じサイズの小さいプチトマトとモッツァレラチーズを散らし

お菓子みたいな可愛さを演出。

ナメコの味噌汁は、かなりのナメコ好き以外

家ではあんまり食べないと思うので採用。


デザートの小玉スイカは、長崎産の「瓜坊」という品種。

すごく甘くて、しかも千円前後と安い。

私は今、このスイカにハマっているため、家にあるのを持って行った。


さて、会食の料理ができ上がった。

その頃には梶田さん御一行、すでに戦意喪失。

料理を賞賛するばかりで、ちょっと肩透かしだ。

調理中の台所をのぞきに来た一行に

できたての海老パンを一つずつふるまった途端

猫のように懐いてしまった。


少し遅れて席に着いたマンネン君は

腕組みをして料理をしげしげと眺め

「なるほどぉ、肉の巻き物ねぇ。

僕もやりたいんだけど、時間的になかなかできないんだよね〜」

と、やはり上から目線。


一番に焼豚を食したマンネン君、探偵のようにのたまう。

「この焼豚は、八角を使ってますね?」

当たり前じゃ…焼豚に八角は誰でも知っとるわい…と思いつつ

「さすが!よくご存知ですね!」

そう言って拍手したら、まんざらでもないご様子。

フフ。


次に鶏のレバーへと箸を伸ばしたマンネン君

食べるなり、「わ…この味、好き」と独り言。

今度は海老パンをかじったマンネン君

「やられた…」とつぶやいて、我々を凝視。

最終的にマンネン君は

「どの料理も家族に食べさせたいから、持って帰りたい」

と言った。

テーブルの下で、ガッツポーズのユリちゃん。

顔を見合わせ、ほくそ笑む我々であった。


ちなみに鶏レバー

敬遠する人も多いが、好きな人は大好きな食材である。

おいしく作るコツをお話ししておこう。


当たり前だが、まず新鮮なレバーを買う。

それからサッと洗って血の塊を流したら

ザルにあけるなり、キッチンペーパーで拭くなりで水気を切り

熱したフライパンで回りが白っぽくなるまで、から炒りをするのだ。

強火でから炒りをしてから味付けをすると

柔らかくて味がよく染み込んだ甘辛煮になる。

このやり方は、肉屋の奥さんに聞いた。

《続く》
コメント (4)
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