殿は今夜もご乱心

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マスク長者

2020年06月12日 08時30分44秒 | みりこんばばの時事
日本中を脅かしたマスク不足は解消された模様で

私の住む田舎町のドラッグストアにも、マスクが普通に並ぶようになった。

少し前までは、町の人々がマスクを求めて行列していたものだ。

その光景をこの目で見た時は、何だか物悲しい気持ちになった。

そして思った。

マスクの生産を中国に頼りきっているから、こんなことになるのだ…。


故意であろうとなかろうと、ウィルスを世界中にばらまくという

重大な事故を引き起こし、それを隠そうとしただけでなく

バレたら平然と責任転嫁。

そればかりではない。

マスクの需要が高まると、出荷を止めて値上げをもくろむ。

商業的には得策でも、人道的には最低の商法。

盗人猛々しいとは、このことだ。

そんな国と仕事をする日本企業の気が知れん。


国内では一世帯あたり2枚ずつ、布製のマスクを配布するという政府の策が

アベノマスクと揶揄されている。

小池東京都知事は、お友達が作ってくれるという

おしゃれな布製マスクを取っ替え引っ換え付けて

マスクをファッションにまで格上げしたが

安倍首相は、明らかに小さい布製マスクを付け続けている。

一国の首相なんだから、紙製でも布製でも

好きなだけ手に入れられるはずだが、意地で付けているように見える。

マスクを出荷しない中国への無言の抗議だと思うのは

考え過ぎだろうか。


そのアベノマスクが先日、同級生の友人マミちゃんの家に届いたそうだ。

彼女は隣の市に住んでいるので、うちの市にまだだな…

と思っていたら、その数日後、会社に届いた。

会社には誰も住んでない。

だから宛名は人名でなく会社名。

何で?

もったいないじゃないか。

こういうことをするから、詰めが甘いと言われるのだ。


ちょうど来ていた本社の河野常務が、話のタネにと欲しがった。

本社からは4月の終わりに、会社の関係者一世帯あたり100枚ずつ

マスクの支給があったため、夫は迷うことなく常務にアベノマスクをあげた。

なにげにくやしい。


本社から支給されたマスクは、水色だ。

正確には白い紙と青い紙が重ねられて水色になっている。

取引先からも50枚入りのマスクを何箱か粗品としてもらったが、それも水色。

町にも4月あたりから、水色のマスクが増えた。

会社関係で支給されるマスクは、水色が多いのかもしれない。

どの箱も中国語が書いてある。

うちにはマスク不足になる前に買っていたものが、まだたくさんあるので

水色マスクには手をつけていない。


先月、同級生のモンちゃんが積み立ての集金に来た。

何度も洗ってスケスケになり、別物の素材と化した元紙製のマスクをしている。

もはや彼女のマスクは、ウィルス感染を防ぐ目的にあらず。

農協の窓口で、「一般常識をわきまえてます」と示す

アピールアイテムになっている。

彼女が勤める農協も、ご主人の勤め先もマスクの支給が無いそうなので

水色マスクをひと箱あげたら、とても喜んだ。


夫の姉カンジワ・ルイーゼも、仕事で使うマスクは自前だというので

水色マスクをあげた。

こっちは無言で受け取り、何日も義母の部屋に置かれたまま。

彼女は水色でなく、白いマスクが欲しかったのだと推測する。

私は意地が悪いので、白は絶対にやらない。

「いらないんなら返してもらって、必要な人にあげる」

と言ったら、義母がどこかへ隠した。

その後、どうなったかは知らない。


ともあれマスク不足の期間中、マスクに不自由しなかったのは幸運であった。

そしてその幸運は、我々の職業に起因する。

接客業や、同じ部屋で複数の人間が立ち働く種類のものではなく

マスクを付けないことが非難の対象になる仕事でもないため

マスクの消費が比較的緩やかなのだ。

客商売や製造業だったら、こうはいかないと思う。


他にも、洗った紙製マスクがケバ立ち

モワモワの綿がフワフワしている人、数人に水色マスクを何箱かあげて

「ライターでサッとあぶったら、モワモワが無くなる」

と教えた。

この秘策、やっている人がいるかもしれないが、うちでは長男が発見した。

ただし、あぶり過ぎると焼け跡が肌にチクチクして、使い物にならなくなる。


欲しい欲しいと願う人には手に入らず

「もういいよ」と言う人の所へは押し寄せる…

この現象、お金に似ているのはともかく

私のところにも、マスクが押し寄せている。

布製マスクが欲しいと思っていたら、親戚のお姉さんが作ってくれたのを皮切りに

しばらく前から同級生のユリちゃんがマスク作りにハマり、せっせと送ってくれる。


ハマらざるを得ないのだ。

彼女の尊敬する老画家が、マスクに絵を描くようになったからである。

正確には画家が、白いサラシに特殊な染料で絵を描き

それをユリちゃんがマスクに仕立てる。

この人、料理は苦手だけど裁縫は得意なのだ。


仕立て上がったマスクの端に、ポイントとして控えめに描かれたその絵は

「鳥獣戯画」の雰囲気で非常に面白い。

全体をお目にかけたいのは山々だけど、プライバシーの問題から

ちょっとだけヨ。



他にも、真ん中に動物の鼻とヒゲと口が描かれていて

マスクをしたら色々な動物になれるタイプもある。


さすがに動物変身ものは外につけて出られないけど

(私が若くて可愛かったら絶対つける)

ワンポイントのタイプは外でもつけられる。

白地の部分が多いため、あまり目立たないので恥ずかしくない。

すれ違う見知らぬ人がニヤッと笑ったり、小さい子供が指さして喜ぶことがある。

嬉しい。


ユリちゃんは新作ができると送ってくれるので

私のマスクコレクションは充実している。

親戚のお姉さん作の淡い花柄やレース、そしてユリちゃんの動物柄…

たくさんあって、いつも迷う。

口がもう2〜3個、欲しいくらい。

とはいえ、こうして口を覆ったところで、口数は減らないのが残念なところ。
コメント (6)
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