墓じまいのことで、このところ実家の母と会う回数が多い。
満86才の母はオギャアと生まれて以来
頭痛と肩凝りを知らないままの元気印。
今もロングドレスに銀のハイヒールでコーラスの舞台に立ち
同人誌で俳句を発表し、編み物の教室に通う
いわば老女の星である。
その母が、最近よく言うのだ。
「この頃、食べ物の味がようわからんのよ。
年を取って、舌がバカになったのかね。
お父さんが死んで一人になったら
食べることだけが楽しみじゃったのに
味がわからんけん、なさけないわ」
年を取ると、味がわからなくなる…
私もまた、食べることだけが楽しみな女だから
これは由々しき問題である。
私はまず唾液の減少を疑い、母にたずねたが
そんな症状は無いと言う。
次に、入れ歯洗浄剤の残留を疑ってみたが
几帳面な母に「ザッと」や「いい加減」の文字は無いため
愚問であった。
だとしたら、わからん…
げに年を取るとは恐ろしいことじゃ…
そう思っていた矢先、前回の記事で書いたユリちゃんのお寺行きがあった。
迎えに来たけいちゃんの車に食材を積み、4人のメンバーは出発したが
その道中でけいちゃんが言うではないか。
「私な〜、今年に入ってから食べ物の味がわからんようになってな。
一人暮らしやから、食べることだけが楽しみやし
その頃はまだ料理の仕事してたから、味がわからへんて困るやん。
どうしよ思うて、なさけなかったんやわぁ」
あれ?母の話と似ている。
「でな、悪い病気か思うてドクターに相談したんやわ。
そしたらな、亜鉛不足やないか、言われてん。
亜鉛が不足したら、味がわからんようになるんやて。
ほんで、亜鉛のサプリ飲んでみぃ言われてん。
改善せぇへんかったら精密検査したるて。
わたしゃ半信半疑やったけど、亜鉛のサプリ買うて飲んだんやわ。
そしたら一週間ぐらいで味がわかるようになったんよ」
亜鉛なんて、それまであんまり意識したことはなかった。
ただ、亜鉛を多く含むと言われる
牡蠣やシジミを食べると目覚めがいいので
意識して食卓に登場させてはいた。
が、けいちゃんや母がそうであるように
一人暮らしだと、わざわざ牡蠣フライやシジミ汁を作る機会は少ないだろう。
それに一人だと、どうしても好きな物ばかり食べるし
気をつけていても、ファーストフードやコンビニの食品が増える。
それらに含まれる食品添加物は、亜鉛の吸収を妨げるそうだ。
実際、料理のプロで、こまめに料理をするけいちゃんだが
某マックのハンバーガーとポテトが大好きだし
栄養を考えた料理をきちんとする母も
昼食だけは毎日散歩がてら、コンビニのサンドイッチを買いに行くという。
こうした積み重ねが、味覚に異常をもたらしているのかもしれない。
2日後、母に会った時、けいちゃんの体験を話した。
母はこの偶然を喜び、さっそく2人でドラッグストアへ赴いて
亜鉛のサプリメントを探す。
テレビでよく宣伝している、シジミがどうのこうのというサプリは
その店に無かった。
あるのは、ただ亜鉛と書かれた錠剤のみ。
亜鉛の二文字の下には、男性の精力増進とある。
「なんか、男性用みたいな感じ」
「あんたは旦那に飲ませりゃええが。
わたしゃ、一人なんじゃけん、必要ないで」
「うちもいらんわいね」
などと言い合ったが、結局買う。
1日2錠60日分、1,260円也を母は2袋買って、1袋をくれた。
「今日から始めよう」
2人は誓い合い、その晩から飲み始める。
翌朝、目覚めは良かったような気がするというか
眠りが深かったように思う。
だから3時に目が覚めた。
暗闇で、「どうしてくれる!」と叫ぶ。
私は一回目覚めたら、次は夜まで寝られないのだ。
仕方なく起きて、息子の弁当を作ったり
涼しいうちに庭木の枝を刈ったりした。
それでも日中疲れが出ないのは、亜鉛のなせるワザなのだろうか。
わからない。
そういえば剪定バサミで庭木を刈ると、後で恐怖の筋肉痛が訪れるはず。
私は筋肉痛がひどいタイプなので、いつものように鎮痛剤を用意し
腕や胸が痛くなるのを覚悟して待ったが、筋肉痛は来ない。
いやいや、年寄りは筋肉痛が出るのが遅いのだと思い直し
さらに2日待ったが来ない。
結局、筋肉痛は無かった。
これも亜鉛のせいなのだろうか。
わからない。
母に効果をたずねたが
「何も変わらん。
年寄りは効き目が遅いんじゃないん?」
と言っていた。
何か変化があれば、またお話ししたいと思う。
なお、この記事が亜鉛サプリをお薦めするものではないことを
ご了解いただきたい。
満86才の母はオギャアと生まれて以来
頭痛と肩凝りを知らないままの元気印。
今もロングドレスに銀のハイヒールでコーラスの舞台に立ち
同人誌で俳句を発表し、編み物の教室に通う
いわば老女の星である。
その母が、最近よく言うのだ。
「この頃、食べ物の味がようわからんのよ。
年を取って、舌がバカになったのかね。
お父さんが死んで一人になったら
食べることだけが楽しみじゃったのに
味がわからんけん、なさけないわ」
年を取ると、味がわからなくなる…
私もまた、食べることだけが楽しみな女だから
これは由々しき問題である。
私はまず唾液の減少を疑い、母にたずねたが
そんな症状は無いと言う。
次に、入れ歯洗浄剤の残留を疑ってみたが
几帳面な母に「ザッと」や「いい加減」の文字は無いため
愚問であった。
だとしたら、わからん…
げに年を取るとは恐ろしいことじゃ…
そう思っていた矢先、前回の記事で書いたユリちゃんのお寺行きがあった。
迎えに来たけいちゃんの車に食材を積み、4人のメンバーは出発したが
その道中でけいちゃんが言うではないか。
「私な〜、今年に入ってから食べ物の味がわからんようになってな。
一人暮らしやから、食べることだけが楽しみやし
その頃はまだ料理の仕事してたから、味がわからへんて困るやん。
どうしよ思うて、なさけなかったんやわぁ」
あれ?母の話と似ている。
「でな、悪い病気か思うてドクターに相談したんやわ。
そしたらな、亜鉛不足やないか、言われてん。
亜鉛が不足したら、味がわからんようになるんやて。
ほんで、亜鉛のサプリ飲んでみぃ言われてん。
改善せぇへんかったら精密検査したるて。
わたしゃ半信半疑やったけど、亜鉛のサプリ買うて飲んだんやわ。
そしたら一週間ぐらいで味がわかるようになったんよ」
亜鉛なんて、それまであんまり意識したことはなかった。
ただ、亜鉛を多く含むと言われる
牡蠣やシジミを食べると目覚めがいいので
意識して食卓に登場させてはいた。
が、けいちゃんや母がそうであるように
一人暮らしだと、わざわざ牡蠣フライやシジミ汁を作る機会は少ないだろう。
それに一人だと、どうしても好きな物ばかり食べるし
気をつけていても、ファーストフードやコンビニの食品が増える。
それらに含まれる食品添加物は、亜鉛の吸収を妨げるそうだ。
実際、料理のプロで、こまめに料理をするけいちゃんだが
某マックのハンバーガーとポテトが大好きだし
栄養を考えた料理をきちんとする母も
昼食だけは毎日散歩がてら、コンビニのサンドイッチを買いに行くという。
こうした積み重ねが、味覚に異常をもたらしているのかもしれない。
2日後、母に会った時、けいちゃんの体験を話した。
母はこの偶然を喜び、さっそく2人でドラッグストアへ赴いて
亜鉛のサプリメントを探す。
テレビでよく宣伝している、シジミがどうのこうのというサプリは
その店に無かった。
あるのは、ただ亜鉛と書かれた錠剤のみ。
亜鉛の二文字の下には、男性の精力増進とある。
「なんか、男性用みたいな感じ」
「あんたは旦那に飲ませりゃええが。
わたしゃ、一人なんじゃけん、必要ないで」
「うちもいらんわいね」
などと言い合ったが、結局買う。
1日2錠60日分、1,260円也を母は2袋買って、1袋をくれた。
「今日から始めよう」
2人は誓い合い、その晩から飲み始める。
翌朝、目覚めは良かったような気がするというか
眠りが深かったように思う。
だから3時に目が覚めた。
暗闇で、「どうしてくれる!」と叫ぶ。
私は一回目覚めたら、次は夜まで寝られないのだ。
仕方なく起きて、息子の弁当を作ったり
涼しいうちに庭木の枝を刈ったりした。
それでも日中疲れが出ないのは、亜鉛のなせるワザなのだろうか。
わからない。
そういえば剪定バサミで庭木を刈ると、後で恐怖の筋肉痛が訪れるはず。
私は筋肉痛がひどいタイプなので、いつものように鎮痛剤を用意し
腕や胸が痛くなるのを覚悟して待ったが、筋肉痛は来ない。
いやいや、年寄りは筋肉痛が出るのが遅いのだと思い直し
さらに2日待ったが来ない。
結局、筋肉痛は無かった。
これも亜鉛のせいなのだろうか。
わからない。
母に効果をたずねたが
「何も変わらん。
年寄りは効き目が遅いんじゃないん?」
と言っていた。
何か変化があれば、またお話ししたいと思う。
なお、この記事が亜鉛サプリをお薦めするものではないことを
ご了解いただきたい。