殿は今夜もご乱心

不倫が趣味の夫と暮らす
みりこんでスリリングな毎日をどうぞ!

初笑い

2015年01月07日 10時14分03秒 | みりこんぐらし
「一部の年賀状に描いたさし絵」

裏が白いハガキ限定。

ちなみに今年の目標は無口。



あけましておめでとうございます。

旧年中は誠にありがとうございました。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。




5日に本社の新年会があった。

人数が多いため、毎年都会のホテルで行われる。

正社員限定なので夫と息子達だけで、私にお呼びは無い。


夫は今回、舞台に上がって短い挨拶をすることになっていた。

これを昨年末から気に病み、日夜苦しむ夫であった。


あがり症って、苦しむ機会が多くて大変らしい。

あがらない性格の私は、気の毒に思う。

「良く見せようとするからあがるのだ。

本当の自分でいいと思えばあがらない」

♩ありの~ままの~姿見せるのよ~♩

アナと雪の女王の歌など歌い、メンタル面のフォローを試みるが

今ひとつ。


思えば何十年の間、夫は苦手なことをするのを避けてきた。

自営業なので、避けられる身の上でもあった。

気の進まないことは「行かない」「やらない」で済んでいたが

本社と合併したからには、気ままは通らない。

安定を得た代わりに自由を失ったというところ。


何かを得るためには、何かを失うものだ。

親の保護のもと、その究極を知らずにオジンとなった夫には

50半ばでいきなり発生したこのような義務が

緊張以上にこたえるのだろう。


ここはひとつ、スーツでも新調してやろう…

私はフンパツした。

既製品ではあるが、イタリアのマリオなんちゃらというメーカーの

スーツやワイシャツ、ネクタイなどを揃えた。


ついでに靴も買うつもりだった。

しかし夫の足は、病的な幅広甲高(はばひろこうだか)で

指の太さも人の倍はある。

原因は母親からの遺伝と、幼少よりいそしんだ柔道だ。


スポーツ業界ならいざ知らず、一般人で

夫ほどの幅広甲高を見たことは、未だに無い。

結婚式で履く白足袋…既製品では合わず、あつらえた。

タキシードの靴…貸衣装にはサイズが無く、自前の普段履きを使った。

運動靴は伸びるので入るが、皮は伸縮性に乏しいので無理なのだ。

「よくもまあ、あんな醜い足をぶら下げて女とチャラチャラ…」

浮気者の夫に対する私のひそかなつぶやきには

その足への攻撃がたびたび登場したものだ。


ゲタしか合わない足に履かせる靴には、いつも困った。

何とか合う物が見つかると、同じのを何足も買ってしのいできた。

しかしデザインは変化してゆく。

今主流のつま先が長く、足首を入れる所が狭い紳士靴なんて

入り口から指5本分を侵入させるスペースすら無い。

店の人はあれこれ出してくれるが、どれもだめ。

「もういい!」

夫は大汗をかいてキレ、靴売り場から逃亡した。


そして新年会の日はやってきた。

新しいスーツに身を包んだ夫は、馬子にも衣装

きちんとした初老のおじさんに見える。

長年愛用している、はき慣れた靴以外は。

「今年はこの人の靴を探そう」

年頭に当たり、そんな目標を掲げた私であった。


ホテルへは家族で行った。

参加資格の無い私が行ったってしょうがないのだが

挨拶に不安を訴える夫のたっての願いなので

新年会の間、駅前のデパートで都会の空気を吸うことにした。


2時間後、ホテルのロビーで合流。

挨拶がうまくいったらしく、ご機嫌な夫であった。

しかし歩き方がなんだかおかしい。


壇上へ上がる時に緊張してつまづき、スネでも打ったのかと思ったら

夫がヘラヘラ笑いながら足の裏を見せる。

…靴のカカトが片方無かった。

劣化し、もげたのだ。

寿命は今日だったのだ。


「いつから?!」

「最初ごろ」

「じゃあ、ずっとカカト無し?」

「うん」


次男が叫ぶ。

「あ!俺、カカト見た!会場の床に落ちてた!」

他の人と一緒にカカトを発見した次男は

“よっぽどのことだ”と言い

その人も“終わってるね”と言ったそうだ。

「よっぽどで終わってるのは自分の父親だった!」


4人で腹がよじれるほど笑い転げ、帰途についた。

激しい初笑いであった。


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10 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
おめでとうございます。 (ユウキ)
2015-01-07 11:13:38
本年もよろしくお願いします。
今年の目標はよく笑うのユウキです。
笑われる身はたまったものじゃないですが…
でも家族一緒に大笑いって素敵ですね。

私も足が華奢なのでなかなか無理なくはけるヒール靴がみつかりません。
もっとアピールしやすいところが女性らしいとよかったんですが残念ながら他は豪快(爆

靴探し、私も楽しんでしてみたいと思います。
返信する
激しい初笑い (すみこはん)
2015-01-07 13:42:36
お正月、たくさん笑ったけど
『激しい大笑い』はヒロシさんのかかと事件。
切り干し大根作りながらも思い出し笑いが止まりません。

周り一帯をドッカリ取り仕切ってらっしゃるのがイラストからも~くわかります。
だから、今年の目標が『無口』だなんて、厳粛なる念頭の決心で遊んではいけませんですよ。

みりこんさん、またまたこの場をおかりしてすみません。
モモさん、お返事ありがとうございました。
お元気で良い一年になるようお互いに頑張りましょうね。

みりこんさんの言われるとおり
今年も何だかんだあると思いますが、何だかんだ言いながら、何だかんだで暮らして行きます。
あらためまして、今年も宜しくお願いします。
返信する
笑った! (南風)
2015-01-07 19:29:10
本当に 腹がよじれるほど笑った!

今年も どうぞよろしくお願いします。

私も寄る年波によって あちこちガタがきて
やっぱり 痩せなきゃ!どこかが悪いらしく手足のむくみが!
とりあえず 禁酒を始めたら 手の甲にシワが出来始めたので、ちょっとは効果があるようです。
年末年始 バタバタしましたが、今日もここを覗ける位時間は取れてます。
 私も 本当によろしく~~~~~
返信する
おめでとうございます! (みりこん~ユウキさんへ)
2015-01-07 20:58:47
ユウキさんの目標は笑いか~!
楽しい年になりそうですね!

足が華奢!
言うてみたい(笑)
23.5センチ、足だけは標準の私よ。
もちろん、あとは豪快。
確かに華奢な足に合うエレガント系の靴って
あんまり見ませんね。
華奢な友達が言ってましたけど
サイズがあっても甲が薄くてカカトが小さいから
足が泳ぐんだって。
素敵な靴が見つかるといいですね。

今年もよろしくお願いいたします。
返信する
かかと事件(笑) (みりこん~すみこはんへ)
2015-01-07 21:12:25
この事件はそう名付けよう。
かかとが取れた靴は、モダンバレエなんかの
ダンス靴にちょっと似てました。

無口は永遠の目標よ。
絶対無理だから永遠。
ウグイス稼業で個人演説会の前座としてスピーチをする時は
「小柄で華奢!引っ込み思案で無口!なウグイスでございます」
と自己紹介をしてはひんしゅくを買っています。
爆笑されるということは、やっぱり小柄で無口じゃないらしいわ。

そそ、なんだかんだあるわよ~。
なんだかんだあるから人生よ~。
お互いになんだかんだ言いながら、過ごしましょうね。
返信する
今年もよろしくお願いいたします! (みりこん~南風さんへ)
2015-01-07 21:22:30
笑っていただけて嬉しいです。

禁酒で手にシワ!
むくんでたってこと?
お酒はやっぱり身体に良くないのね~。
禁酒なんて、えらいわ。
お子さんのために元気でいなくちゃね。

私も昨年末は忙しかった~。
御用納めが日曜日だったし、正月休みが長かったので
年内に請求書を欲しがる所が多くて
しかもそういう所に限ってややこしくて、泡くいました。
でもブログ書く暇はあった(笑)
返信する
初笑い (ねこ)
2015-01-08 11:41:01
みりこんさんご家族の年末年始のご様子といい、
忙しい中、励ましてくださりありがとうございます。

ご主人は体格といい、目を引く方なのでしょうね。

孤独を恐れず・・・
そうですよね。

結果は、自分がやってきたことなんですから。

その時は、みんなそれぞれの立場で、必死で修羅場をくぐっていたので、そりゃあもう何でもありな感じで、自分以外をこてんぱんにやっつけることだけをやっていたように思います。

落ち着いてみると、みんな血だらけの傷だらけ、茫然自失というところでしょうか。

初笑いできました。
ありがとうございます。
返信する
おめでとうございます (夫人)
2015-01-08 18:15:31
ヒロシは徐々に愛されキャラになりつつありますね。
4人で大笑いしたところをみると、ヒロシ本人もまんざらではないでしょう。
笑う門に福来たる
本年も楽しいブログを期待しています。

ところで、うちも新年早々笑うことがありました。
義母が跡取り娘であることは前にも書きましたが、義母の祖母も跡取り娘だったそうです。
その祖母が嫁である義母の母親を散々いじめたという話題になった折、跡取り娘はきつくてかなわんと義母自ら言うのですよ。
一瞬その場の空気がシーンとなりました。
ここはツッコミを入れるべきか黙ってやり過ごすべきか。
一同の目が泳いでいるところで、義母「わっちもそうだけど」
私一人大声でわっはっはと笑っただけで、みんなはうつむいていました。
返信する
ワハハ! (みりこん~ねこさんへ)
2015-01-08 21:14:09
血だらけ傷だらけ…私こそ笑わせてもらいましたよ!

自分以外はコテンパン…その気持ち、よくわかります。
私もそんな気持ちでしたから。

年寄りになると立ち直りが遅くなるので
さんざんゴタゴタした後、こっちが回復しても
向こうはまだ血だらけなのよ。
勝手に血ぃ流してるだけなんだけどね。
加齢やプライドもあるけど、何しろ暇だから
ネチネチ思い出したり考えてんのよ。
体力が衰えてるから、そうやって誰かを憎んでないと
やってられないのよ。

若い方は未来があるし、体力もあるし
いつまでもウジウジしてたら時間がもったいないから
どうしても先に回復する。
こっちが回復したからといって、さあ仲良くしましょうとは
簡単にいかないわね。
回復のタイミングが合わないんだもん。
一生合わないことだって多い。
それでいいんじゃないかと思うのよ。
合わないものは合わないでいいのよ。

それまでは一人ぼっちでいいじゃない。
一人もいいものよ。
表向き仲良くゾロゾロ行動したって、嫌なヤツは嫌なまま。
絶対変わりゃしないから、緊張と消耗の機会が増えるだけよ。
文句言ったり激昂するのが強いんじゃない。
一人を楽しめる人が、本当に強い人なのよ。
「吐いたツバは飲めんわい!」
ぐらいの気で、ちょうどいいんじゃない?

姑さん、性格からしてボケるかもしれんね。
病院か施設に入ったら、仲良くゾロゾロどころじゃねえわ。
必要無くなることを望むより、今を楽しんでくださいね!
返信する
おめでとうございます! (みりこん~夫人さんへ)
2015-01-08 21:41:50
ハハハ!
何とも言えない空気の中、よく笑ってあげましたね!

うちの母親も家付き娘だけど、言動が柔らかかったのと
早く死んだのとで、家付き娘の生態がわからないままだったわ。
でも小さい頃に両親と出かけた時の写真を見ると
うなづけるところがあります。
パパちゃん、カメラマンに徹して彼の写真は一枚も無し。
「パパ、今度は私が撮ってあげる」が無いのね(笑)
新しい母が来て、お互いに写し合ってるのを見て
「はあ、なるほど」と思いました。

舅や姑と養子縁組している養子と、娘の配偶者だけの身の上とで
同じ養子でも待遇や社会的な保護が違うらしいわ。

女って元々、きつい生き物じゃん。
今は昔と違って、言論の自由や移動の自由があるから
きつくいられる自由と幸せをみんな持ってる。
他人のきつい女同士が、無理に家族になってイザコザするより
女の子の家へ優しいお婿さんが入るのが、平和な結婚の形に
なっていくでしょうね。

今年もよろしくお願いいたします!
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