曖昧批評

調べないで書く適当な感想など

ホンダ・アコード・ハイブリッドに試乗した

2014-04-16 21:48:35 | クルマ
ホンダカーズ東京中央大試乗会の試乗3台目は、アコード・ハイブリッド。たぶんグレードはLXで色は白。

アコードはホンダの主力セダンとして北米で人気だが、日本では全然売れなくなってしまった。現行モデルは、国内では普通のガソリンエンジンは用意せず、リッター30キロを超える燃費が自慢のハイブリッド一本で勝負している。このハイブリッドは、以前試乗した三菱のアウトランダーPHEVに似たもので、基本的にはモーターだけで走る。エンジンは主に発電用で、エンジンも参加したほうが効率的な時だけクラッチがつながる。



というわけで乗り込む。センターコンソールが2代前のアコード/オデッセイみたいだ。エアコン吹き出し口のフィンが左右対称にいっぱい並んでいる。サイドミラーを調整しようとしたが、動かない。ボタンを押して始動しないと動かないらしい。どちらのミラーを動かすかの選択スライダーがプラスチックでチープだ。ホンダ車はどれもこのスライダーがチープだと思う。各部の木目もプリントっぽい。

発進。ひゅーん、と微かなモーター音が聞こえるような聞こえないような。なんか警告。サイドブレーキを引きずっていた。ボタンを探すが、ない。サイドブレーキは足踏み式だった。足踏み式は慣れてるのでいいんだけど、これだけのハイテク車にはそぐわない気がする。

ボンネットがちゃんと見える。まるでポルシェのように左右のライトの峰が見える(ポルシェに乗ったことないけど)。そのせいか、なんだか妙に取り回しがしやすい。全長4.9メートル、全幅1.85メートルの巨体とは思えない。ステアリングの回し具合が値段相応に上質。さすがにクイックではないが、思った通りにきれいに曲がる。

そしてびっくりするのが加速性能。グッとアクセルを踏むと、一瞬でスピードメーターが跳ね上がる。その加速Gはガソリンエンジンのそれとは全然違う。何かが頑張っている感じが一切なく、軽やかで、空を飛んでるみたいだった。こんなに簡単に速く走れるなら、もうガソリンエンジンは終わったなと思った。

エンジンが唸るのが逆にモーター駆動の違和感を消している。唸るといってもおとなしいもので、隣の部屋でグランツーリスモやってるな、くらいの感じだ。

乗り心地も素晴らしい。今回乗った3台は、みんなホンダっぽい硬質のしっかり感がありながら「しっとり」して当たりが柔らかかった。文章で表現し分けるのが難しいほど、3台とも似た感触だった。最近リファレンスが変わったのかもしれない。どこかで聞いた話では、以前は3代前のアコード・ユーロRが社内基準になっていて、恐ろしく旋回が速い代わりにガチガチに突っ張ってロールしない車ばかりだった(うちのストリームもそう)。だが、今回乗った3台は、いずれも尻に来るショックがソフトで、自然にロールしながら速く曲がってくれた。そういう特性を持ったモデルが新しい社内基準になったのかも。

グリルに青いクリアパーツを多用するなどして未来感を出しているが、このアコードのデザインは地味なセダンそのものだ。ハイブリッドということもあって、世間からは草食系のイメージで見られていると思うが、運転してみたら全然違った。パワートレインのスペックは、せいぜい3リッター級(169馬力・31kg-m)だけど、いつでも瞬時にフルパワーを引き出せるモーター駆動は、ガソリンエンジンとは根本的に違う。文字通り「別物」だと感じた。今でこそ、このアコードとアウトランダー、日産リーフくらいしかモーターメインの車はないけど、このシステムが、例えばシビック・タイプRに載ったら、国内外のスポーツカーをまとめて負かしてしまうだろう。次期NSXにモーターを積もうとしてる理由がよくわかった。

といいつつ、やっぱり僕はCR-Zのようなターボチャージャー的なモーターの使い方のほうが好きだけどね。

それにしてもホンダは三菱とは真逆のクルマを作ったなあ。アコード・ハイブリッドの凄さは運転してみないとわからない。「セダン愛」とか、全然見当違いのCMを作る暇があったら、サーキットでアコードだけの試乗会とかやったほうがいいと思う。



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