沖縄のごみ問題を考える

一般廃棄物の適正な処理に対する国の施策と県の施策と市町村の施策を比較しながら「沖縄のごみ問題」を考えるブログです。

ごみ処理施設(設備)の単独更新と広域更新を考える

2016-01-06 13:00:04 | ごみ処理計画

ごみ処理施設を単独で整備している市町村(一部事務組合を含む)が施設を単独で更新することを「単独更新」と言います。また、施設を単独で整備している複数の市町村(一部事務組合を含む)が広域処理を前提に新たに共同で広域施設を整備することを「広域更新」と言います。

そこで、今日は広域処理を検討している浦添市と中北組合をモデルにしてこの「単独更新」と「広域更新」の違いを考えてみます。

なお、「広域更新」は設備を単独で整備している市町村(一部事務組合を含む)が「単独更新」を行う場合よりも財政的なメリットがあることが前提になります。したがって、「広域更新」に当って新たに広域施設を整備する場合は国の補助金を利用して整備することが前提になります。

また、国の補助金を利用して「広域更新」を行う場合は、①各市町村のごみ処理計画が廃棄物処理法の基本方針に適合していること、②全市町村が共同で廃棄物処理法の基本方針に適合する「地域計画」を策定することが条件になります。そして、③全市町村が既存の施設(設備)の長寿命化を行ってから10年以上経過していることが条件になります。

その前提で下の画像をご覧下さい。 

原寸大の資料(画像をクリック)

 

上の画像にあるように、浦添市は国の基本方針に従ってごみ処理を行っている(設備の長寿命化も行っている)ので、平成35年度には「単独更新」を行うことができます。

しかし、中北組合は平成26年度から溶融炉を休止したまま焼却炉の長寿命化も行っていない(廃棄物処理法の基本方針に適合しないごみ処理を行っている)ので、まず、今のごみ処理計画を見直して「単独更新」が可能になる状況(廃棄物処理法の基本方針に適合する状況)にしなければなりません。その上で「広域更新」を行うことになります。

そうなると、浦添市と中北組合の「広域更新」が可能になるのは早くても平成40年度以降になります。また、中北組合のごみ処理計画の見直しが遅れると「広域更新」の時期は更に遅れることになります。

その場合、浦添市はどう考えるか?

浦添市は平成35年度には「単独更新」を行うことが可能です。しかし、中北組合と「広域更新」を行う場合は約5年スケジュールが遅れることになります。その間、浦添市は長寿命化した設備の老朽化対策が必要になります。

このブログの管理者は、浦添市が平成24年度に長寿命化した設備を15年以上も更新を行わずに稼動して行くことは住民や議会の理解が得られないと考えています。なぜなら、浦添市にとっては人口の少ない中北組合と広域処理を行ってもあまり財政的なメリットがないからです。

普通、人口の多い自治体と人口の少ない自治体が広域処理を行う場合は人口の少ない自治体に広域施設を整備することになります。しかし、浦添市と中北組合の場合は人口の多い浦添市に広域施設を整備する予定になっています。

したがって、浦添市の市民や議会としては1年や2年であれば「広域更新」が遅れても我慢ができますが、5年以上も遅れるとなると諸手を挙げて賛成という具合にはなかなかならないと考えます。

しかも、中北組合が溶融炉を再稼動した場合は前例のない長寿命化を行うことになるので、市民や議会の理解を得ることは更に困難になると考えます。

この辺りのことをどう考えるかは浦添市が決めることなので、第三者であるこのブログの管理者がこれ以上考えても意味がありません。

しかし、少なくとも中北組合は浦添市に対してごみ処理計画を見直す時期と設備の長寿命化を行う時期を説明して、同市の合意を得ておく必要があると考えます。もちろん、浦添市としては広域処理の「白紙撤回」を回避するために議会の承認を得ておく必要があると考えます。

なお、国が廃棄物処理法の廃棄物処理施設整備計画に適合しないごみ処理計画(代替措置を講じずに溶融炉を休止して焼却灰の民間委託処分を行う計画や焼却炉の長寿命化を行わない計画等)を策定している市町村(一部事務組合を含む)に対して補助金の交付(財政的援助)を行った場合は廃棄物処理法第5条の4の規定に違反することになります。

<廃棄物処理法>

第5条の2 環境大臣は、廃棄物の排出の抑制、再生利用等による廃棄物の減量その他その適正な処理に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための基本的な方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない。 

第5条の3 環境大臣は、廃棄物処理施設整備事業(廃棄物の処理施設の整備に関する事業で政令で定めるものをいう。以下この条において同じ。)の計画的な実施に資するため、基本方針に即して、5年ごとに、廃棄物処理施設整備事業に関する計画(以下「廃棄物処理施設整備計画」という。)の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。

第5条の4 国は、廃棄物処理施設整備計画の達成を図るため、その実施につき必要な措置を講ずるものとする。 

※中北組合がごみ処理計画の見直しを行わない場合は、自主財源により「単独更新」を行うことが決定します。