このブログの管理者は中城村北中城村清掃事務組合が昨年の4月から溶融炉を休止していることについてはとても評価しています。なぜなら、人口の少ない市町村において溶融炉という「運転管理が難しく維持費が高いごみ処理施設」は身の丈に合わない施設だと考えているからです。しかも、同組合の溶融炉は長寿命化を行う時期を迎えています。したがって、休止は正しい選択だったと思っています。
しかし、このまま休止を続けることはできません。なぜなら、約1年前に会計検査院が溶融炉を1年以上休止している場合は再稼動又は廃止を求めるという意見表示を行っているからです。
これまで、国や県はこの問題(溶融炉の休止)については見て見ぬふりをしてきました。しかし、それは補助金適正化法に抵触する事務処理であるということを会計検査院から指摘されてしまいました。これにより、国や県はこれまでのように見て見ぬふりはできなくなってしまいました。
そうなると、同組合は溶融炉を再稼動するか廃止するか早急に判断しなければならないことになります。
このブログの管理者は溶融処理以外の方法で焼却灰の利用を推進するのが同組合にとって一番身の丈に合ったごみ処理計画になると考えていますが、今日は再稼動した場合のリスクについて整理してみたいと考えます。以下は同組合の溶融炉の特殊性を加味したリスクになります。
1.国内では稼動している事例のない溶融炉を再稼動することになる。
2.再稼動した場合は前例のない長寿命化を行うことになる。
3.再稼動すると10年以上は高い維持費を負担しなければならないことになる。
4.塩分濃度の高い流動床炉の焼却灰(飛灰)を単独で処理する溶融炉は水蒸気爆発のリスクが高い。
5.メーカーはガス化溶融炉にモデルチェンジしている。
6.組合(中城村及び北中城村)には溶融炉を適正に維持管理するための専門の職員がいない。
7.沖縄県には溶融炉の適正な維持管理を行うことできる技術者が少ない。
8.メーカー側も溶融炉の適正な維持管理ができる技術者を育てていない。
9.溶融炉の長寿命化ができない可能性が高い。
組合の溶融炉がストーカ炉の焼却灰を対象にした一般的な溶融炉であれば上記のリスクは3分の1くらいになります。しかし、不幸なことに組合の溶融炉は国内に2基しかない特殊な溶融炉でそのうちの1基は故障により休止しています。このブログの管理者は内地の焼却炉メーカーにも多少の人脈があるので組合の溶融炉の特殊性についてそれなりに調べています。
その結果、組合の溶融炉は「汎用炉」ではなく「実験炉」という判断をしています。その証拠に、メーカーである川崎重工業においては組合の溶融炉が最初で最後の溶融炉になっています。「汎用炉」であればもっと他にも事例があるはずですが、どこにもありません。
いずれにしても、塩分濃度の高い流動床炉の焼却灰(飛灰)を単独で処理する燃料式の溶融炉は汎用化されていません。そして、国内で稼動している事例も長寿命化が行われた事例もありません。
以上により、組合はあらゆる可能性を検討して溶融炉の再稼動を回避すべきだと考えます。また、再稼動するのであれば事前にメーカー側と協議して先に具体的な長寿命化計画を策定しておく必要があると考えます。そうしなければ再稼動がギャンブルになってしまいます。
※組合が溶融炉を再稼動する場合はメーカーが技術開発を中止している国内に1基しかない「実験炉」を長寿命化することになるので、長寿命化が可能であっても維持管理にこれまで以上の費用が必要になると考えます。