沖縄県北部を分布の最北限とし、環境省のレッドデータブックで絶滅危惧2類に指定されているヤシガニのはさみの力は推測値で最大3300ニュートン(約336・5キロ)に及び、「甲殻類最強」であることが沖縄美ら島財団の研究で分かった。同数値はライオンのかむ力(約300キロ)にほぼ匹敵する。はさみの威力の実測値が明らかになったのは初めて。
研究結果は財団が11月24日付で米科学誌「プロス・ワン」で発表した。研究チームは海洋博公園に生息する体重33グラムから2キロ超の野生のヤシガニ29匹を使い測定した。挟む威力の範囲は29・4~1765ニュートンで、体の大きさに比例して増すことが判明。体重と力の関係から得られた計算式に当てはめると、これまでに発見された4キロ級のものでは336・5キロの威力を持つことが分かった。
研究チーム主要メンバーの岡慎一郎さんは体の大きさに対する力の強さが他の生物と比較し飛び抜けて高いことに触れ「面白いデータを公表することで皆さんに興味を持ってもらい、絶滅危惧種の保全につなげたい」と語った。
同研究チームは2015年にはヤシガニの成長は非常に遅く、寿命は推定約50年であることを発表している。