3回蒸留の泡盛「尚」。酒造所の所在地によってロゴの色が異なり、北部は森の緑、中南部は首里城の赤、離島は海の青を表現した。
ロゴの下に酒造所名が記されている。
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沖縄県内の泡盛酒造所12社は、「3回蒸留」という新たな製法で製造した泡盛「尚(しょう)」を共同で商品化した。12社の酒造所が連携し、同じ製法で同じ銘柄の泡盛を製造するのは初めて。商品名は琉球王朝の王家の姓から取った。同泡盛をウオッカやテキーラなどのように、世界に通用する蒸留酒として広めることを目指す。
25日に開幕する沖縄の産業まつりから販売開始する。
泡盛は通常、1回蒸留で製造されている。一部の酒造所が度数や風味の調整のため「再蒸留」という形で2回蒸留の泡盛を製造した例はあるが、3回蒸留の泡盛は過去に例がないという。蒸留を繰り返すことで、特定の味わいや風味が際立つ。
泡盛は味の複雑さが特徴だが、米の風味は残しつつオイリーさや苦みは抑え、クリーンさやキレの良さを出すことを目指した。原酒のブレンド割合や、ろ過の方法を見直すなど試行錯誤を重ねた結果、3回蒸留という製法にたどり着いた。
泡盛の出荷量は2004年をピークに14年連続で減少している。泡盛の消費拡大を目指し、県内酒造所の若手社員らが18年に勉強会を設立した。勉強会の成果を形にして、泡盛業界の活性化につなげることを目的に「尚」を製造した。12社共同プロジェクトのリーダーを務めた、瑞泉酒造製造部の伊藝壱明さん(40)は「泡盛を『和のハードリカー』として打ち出すため、品質をゼロベースで見直した。目指した品質の泡盛ができたと思う」と語った。
商品は720ミリリットル入り。価格は酒造所によって異なるが、3千円台となる見通し。
基本的な製法は同じだが、味わいや風味は酒造所ごとに異なるという。
プロジェクトに賛同し、参加した企業はやんばる酒造、ヘリオス酒造、金武酒造、崎山酒造廠、神村酒造、瑞泉酒造、瑞穂酒造、石川酒造場、まさひろ酒造、米島酒造、請福酒造、八重泉酒造の12社。