松庵

シナリオライター
&絵コンテマンな
松浦の軌跡。

神様のパズル

2007-05-22 18:30:19 | 一般書籍で思うこと
書籍のレビュー。特に小説(物語)は、結末まで読んでから書くべきだと思う。
思うのだけれど、読みかけで感想を書いてしまいます。

今読んでいるのは、『神様のパズル』です。作者は機本伸司という人で、この方はこの作品で第三回小松左京賞を受賞なさっています。

実は、去年の今頃から松浦は三作、SF小説を執筆しています。いずれも間接自由話法で執筆しました。SFをやるなら、このやり方しかない! と勝手に思いこんでいたんですね。
ところが、この『神様のパズル』は一人称なんです。(正確に言うならば、主人公の日記という形式を取っています)
うまいですね。
一人称の欠点は、主人公の知らないことは書けないという点です。そこを逆手にとって、物理という敬遠されがちなテーマを書く。つまり、適度に勉強の出来ない主人公の知らないことは、説明しなくてもいい。読者だって、気にしない。
これは、物語の舞台を過去に持っていって、四苦八苦している今の自分にとって、とても参考になります。

話を『神様のパズル』に戻します。
人物描写は、いまいちです。主人公はともかく、主人公のあこがれの人である穗積さんの魅力は、今のところ全く伝わってきません。その友人も、関西弁のやつがいるなー、というくらいの区別しかつきません。
でも、真のヒロイン(?)である瑞穂のキャラ立ちは異常なほどです。もう、ほとんどライトノベルの世界です。
ただ、欲を言えばもう少し穗積さんにも絡んでもらいたいなあ。

まだ、読みかけなので何ともいえませんが、「科学雑誌を読むのが好きだった」というような人なら、十分楽しめる作品だと思います。前半の物理単語攻勢に負けないで、是非読んでみてください。
コメント
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