日本語の「は」と「が」について。

象は鼻が長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
とりあえず「三上文法」を「批判」します。

(130)「白話文(北京語)」の、有り得ない「返り点」について。

2019-01-05 19:34:59 | 訓読
(01)

従って、
(01)により、
(02)
② 要=我ガ ヤッカイニナル。
に付く「それ」は、
 二  一
である。
然るに、
(03)
 二 一 
 二  一
に於いて、
① であれば、「上下点」が、「一二点をまたいでゐるが、
② であれば、「上下点」は、「 二点」だけを、またいでゐる。
然るに、
(04)
(3)上中下点(上・下、上・中・下)
一二点だけで示しきれない場合。必ず一二点をまたいで返る場合に用いる(数学の式における( )が一二点で、{ }が上中下点に相当するものと考えるとわかりやすい)。
(原田種成、私の漢文講義、1995年、43頁改)
従って、
(01)~(04)により、
(05)
② 要 纏 擾 我。
といふ「白話文(北京語)」に付く、
 二  一
といふ「それ」は、「返り点」ではなく、言はば、「返り点もどき」である。
然るに、
(06)
② 要=我ガ ヤッカイニナル。
のやうに、
② 要 纏 擾 我。
に付く「それ」が、
② 下 二 上 一
ではなく、
② 三 二   一
であったとする。
然るに、
(07)
② 要=我ガ ヤッカイニナル。
のやうに、
② 要 纏 擾 我。
に付く「それ」が、
② 三 二   一
であるならば、
要 纏 擾   が、「1番目」に読まれるため、
要 纏 擾 我 が、「2番目」に読まれ、
要 纏     が、「3番目」に読まれ、
② 要 纏 擾 我 が、「4番目」に読まれる。ことになる。
従って、
(07)により、
(08)
要 纏 擾 我 が、「1番目」に読まれ、
要 纏     が、「2番目」に読まれ、
要 纏 擾   が、「3番目」に読まれ、
② 要 纏 擾 我 が、「4番目」に読まれるためには、
 二  一
でないとすれば、
② 四 二 三 一
といふ「返り点」が、付くことになる。
然るに、
(09)
「返り点」といふのは、
「下から上へ、返る点」であって、
からへ、下る点」ではない
然るに、
(10)
② 四 二 三 一
であるならば、
    四
二  ↑
↑  ↓   ↑
↑   三

であるため、
 
 ↓
 
に於いて、「からへ、下ってゐる。」
従って、
(09)(10)により、
(11)
② 要 纏 擾 我。
といふ「白話文(北京語)」に付く、
② 四 二 三 一
といふ「それ」も、「返り点」ではなく、言はば、「返り点もどき」である。
従って、
(05)(11)により、
(12)
② 要 纏 擾 我。
といふ「白話文(北京語)」に付く、
 二  一
② 四 二 三 一
といふ「これら」は、「返り点」ではない
然るに、
(13)

然るに、
(13)により、
(14)
③ 端‐的看婆‐子的本‐事。 sに這の婆子の本事をsi
④ 西門慶促‐忙促‐急儧造 不
のやうに、
③ 二 五 三 一 四
④ 二 五 三 一 四
であるならば、
二 
↑  ↓  五
↑    ↑
一 ↓  ↑
   四
であるため、
  
  ↓
  
  ↓
  
に於いて、「からへ、下ってゐる。」
従って、
(09)(14)により、
(15)
③ 端的 看 不 出 這婆子的本事 来
④ 西門慶促忙促急儧 造 不 出 床 来
といふ「白話文(北京語)」に付く、
③    二 五 三      一 四
④         二  五 三 一 四
といふ「これら」は、「返り点」ではない
従って、
(12)(15)により、
(16)
少なくとも、
② 要纏擾我。
③ 端的看不出這婆子的本事来。
④ 西門慶促忙促急儧造不出床来。
といふ「白話文(北京語)」に対しては、「返り点」すら、付けることが、出来ない
然るに、
(17)
返り点とは、漢文すなわち古典中国語の語順を、日本語の語順に変換する符号である。
(古田島洋介、湯浅吉信、漢文訓読入門、2011年、45頁)
従って、
(17)により、
(18)
「日本語」とは「異なる語順」であるにも拘らず、「返り点」を付けることが出来ないのであれば、その「語順」は、「漢文の語順」ではない。
従って、
(16)(18)により、
(19)
② 要纏擾我。
③ 端的看不出這婆子的本事来。
④ 西門慶促忙促急儧造不出床来。
といふ「語順」は、「漢文の語順」ではない。
従って、
(19)により、
(20)
② 要纏擾我。
③ 端的看不出這婆子的本事来。
④ 西門慶促忙促急儧造不出床来。
といふ「白話文(北京語)」は、「漢文」ではない
然るに、
(21)
例へば、
⑤ 這裏宝玉忙忙的穿了衣服出来、忽抬頭見林黛玉在前面慢慢的走著、似有拭涙之状、便忙趕上来、笑道(紅楼夢)、
を、「漢文」として読もうとしても、
⑤ 笑道=笑って言ふ。
しか、理解できない。
然るに、
(22)
例へば、
⑥ καὶ ὑστερήσαντος οἴνου λέγει ἡ μήτηρ τοῦ Ἰησοῦ πρὸς αὐτόν Οἶνον οὐκ ἔχουσιν(ヨハネによる福音書).
であれば、
⑥ λέγει ἡ μήτηρ τοῦ Ἰησοῦ πρὸς αὐτόν=イエスの母が彼に向って言ふ。
⑥ Οἶνον οὐκ ἔχουσιν=彼らはワインを持ってゐない。
に関しては、理解できる。
然るに、
(23)
「It's(all)Greek to me.(それ、ぼくにはギリシャ語だ)」とは、「ぼくにはまったく意味が分からない」という意味です(マイナビニュース)。
従って、
(20)~(23)により、
(24)
「漢文」を知ってゐても、「白話文(北京語)」を知らないことは、
「英語」を知ってゐても、「ギリシャ語」   は知らないことと、同じである。
(25)
② 四{二(三[一)]}。
に於いて、
② 二( )⇒( )二
② 三[ ]⇒[ ]三
② 四{ }⇒{ }四
といふ「移動」を行ふと、
② 四{二(三[一)]}⇒
② {([一)二]三}四=
② 一 二 三 四。
然るに、
(26)
②{ [ ( ) ] } は、「括弧」であるが、
②{   ] } は、「括弧」ではない。
(27)
③ 二(五{三[一)]四}。
に於いて、
③ 二( )⇒( )二
③ 三[ ]⇒[ ]三
③ 五{ }⇒{ }五
といふ「移動」を行ふと、
③ 二(五{三[一)]四}⇒
③ ({[一)二]三四}五=
③ 一 二 三 四 五。
然るに、
(28)
③{ [ ( ) ] } は、「括弧」であるが、
{ [  ] } は、「括弧」ではない。
従って、
(12)(15)(25)~(28)により、
(29)
② 要纏擾我。
③ 端的看不出這婆子的本事来。
④ 西門慶促忙促急儧造不出床来。
といふ「白話文(北京語)」に対しては、「返り点括弧」を、付けることが、出来ない

(129)「括弧」と「返り点」。

2019-01-04 12:48:23 | 「漢文訓読」と「括弧」。

(01)

従って、
(01)により、
(02)
① 如揮刀断麻。
② 如揮快刀断麻。
③ 如揮刀断乱麻。
④ 如揮快刀断乱麻。
⑤ 如揮刀断麻者。
⑥ 如揮快刀断麻者。
⑦ 如揮刀断乱麻者。
⑧ 如揮快刀断乱麻者。
といふ「漢文」に付く「返り点」は、上から順に、
① 二 レ 一レ
② 下 二 一 上レ
③ 三 レ 二 一
④ 下 二 一 中 上
⑤ 二 レ レ 一
⑥ 下 二 一
⑦ 下 レ 二 一 上
⑧ 下 二 一 二 一 上
である。
然るに、
(03)
(a)
① 如〔揮(刀)断(麻)〕。
に於いて、
① 揮( )⇒( )振
① 断( )⇒( )断
① 如〔 〕⇒〔 〕如
といふ「移動」を行ふと、
① 如〔振(刀)断(麻)〕⇒
① 〔(刀)振(麻)断〕如=
① 〔(刀を)揮って(麻を)断つが〕如し。
(b)
② 如〔揮(快刀)断(麻)〕。
に於いて、
② 揮( )⇒( )振
② 断( )⇒( )断
② 如〔 〕⇒〔 〕如
といふ「移動」を行ふと、
② 如〔振(快刀)断(麻)〕⇒
② 〔(快刀)振(乱麻)断〕如=
② 〔(快刀を)揮って(麻を)断つが〕如し。
(c)
③ 如〔揮(刀)断(乱麻)〕。
に於いて、
③ 揮( )⇒( )振
③ 断( )⇒( )断
③ 如〔 〕⇒〔 〕如
といふ「移動」を行ふと、
③ 如〔振(刀)断(乱麻)〕⇒
③ 〔(刀)振(乱麻)断〕如=
③ 〔(刀を)揮って(乱麻を)断つが〕如し。
(d)
④ 如〔揮(快刀)断(乱麻)〕。
に於いて、
④ 揮( )⇒( )振
④ 断( )⇒( )断
④ 如〔 〕⇒〔 〕如
といふ「移動」を行ふと、
④ 如〔振(快刀)断(乱麻)〕⇒
④ 〔(快刀)振(乱麻)断〕如=
④ 〔(快刀を)揮って(乱麻を)断つが〕如し。
(e)
⑤ 有〔揮(刀)断(麻)者〕。
に於いて、
⑤ 有( )⇒( )有
⑤ 断( )⇒( )断
⑤ 如〔 〕⇒〔 〕如
といふ「移動」を行ふと、
⑤ 有〔揮(刀)断(麻)者〕⇒
⑤ 〔(刀)揮(麻)断者〕有=
⑤ 〔(刀を)揮って(麻を)断つ者〕有り。
(f)
⑥ 有〔揮(快刀)断(麻)者〕。
に於いて、
⑥ 有( )⇒( )有
⑥ 断( )⇒( )断
⑥ 如〔 〕⇒〔 〕如
といふ「移動」を行ふと、
⑥ 有〔揮(快刀)断(麻)者〕⇒
⑥ 〔(快刀)揮(麻)断者〕有=
⑥ 〔(快刀を)揮って(麻を)断つ者〕有り。
(g)
⑦ 有〔揮(刀)断(乱麻)者〕。
に於いて、
⑦ 有( )⇒( )有
⑦ 断( )⇒( )断
⑦ 如〔 〕⇒〔 〕如
といふ「移動」を行ふと、
⑦ 有〔揮(刀)断(乱麻)者〕⇒
⑦ 〔(刀)揮(乱麻)断者〕有=
⑦ 〔(刀を)揮って(乱麻を)断つ者〕有り。
(h)
⑧ 有〔揮(快刀)断(乱麻)者〕。
に於いて、
⑧ 有( )⇒( )有
⑧ 断( )⇒( )断
⑧ 如〔 〕⇒〔 〕如
といふ「移動」を行ふと、
⑧ 有〔揮(快刀)断(乱麻)者〕⇒
⑧ 〔(快刀)揮(乱麻)断者〕有=
⑧ 〔(快刀を)揮って(乱麻を)断つ者〕有り。
従って、
(01)(02)(03)により、
(04)
① 二 レ 一レ
② 下 二 一 上レ
③ 三 レ 二 一
④ 下 二 一 中 上
⑤ 二 レ レ 一
⑥ 下 二 一
⑦ 下 レ 二 一 上
⑧ 下 二 一 二 一 上
といふ「通りの、返り点」は、
① 〔 ( )( ) 〕
といふ「通りの、括弧」に、対応する。
然るに、
(05)
⑧ 有〔揮(快刀)断(乱麻)者〕。
⑧ 有 快刀 乱麻
に於いて、
⑧  〔 (  ) (  ) 〕 といふ「 括弧 」は、
⑧  下 二  一    二  一 上  といふ「返り点」に、相当する。
然るに、
(06)
① 如〔揮(刀)断(乱)φ〕。
に於いて、
① 揮( )⇒( )振
① 断( )⇒( )断
① 如〔 〕⇒〔 〕如
といふ「移動」を行ふと、
① 如〔振(快刀)断(乱麻)φ〕⇒
① 〔(快刀)振(乱麻)断φ〕如=
① 〔(快刀を)揮って(乱麻を)断つがφ〕如し。
然るに、
(07)
① 如〔揮(刀)断(麻)φ〕。
に於いて、
① φ は、「黙字」であるとする。
cf.
黙字(もくじ)とは、単語や文を表す綴りの中で、発音されない表音文字や、読み上げられることのない字素のこと(ウィキペディア)。
加へて、
(08)
① 如〔揮(刀)断(麻)φ〕。
に於いて、
① φ は、「黙字」であって、尚且つ、
① φ は、「省略可能」であって、尚且つ、
① φ には「返り点」が付くものとする。
従って、
(06)(07)(08)により、
(09)
① 如〔揮(刀)断(麻)〕。
① 如 刀断一レ麻。
に於いて、
①  〔 ( )( )〕 といふ「 括弧 」は、
①  下 二一  二一 上  といふ「返り点」に、相当する。
従って、
(01)~(09)により、
(10)
① 二 レ 一レ
② 下 二 一 上レ
③ 三 レ 二 一
④ 下 二 一 中 上
⑤ 二 レ レ 一
⑥ 下 二 一
⑦ 下 レ 二 一 上
⑧ 下 二 一 二 一 上
といふ「返り点」は、
① 〔 ( )( ) 〕
といふ「 括弧 」に、相当し、
① 〔 ( )( ) 〕
といふ「 括弧 」は、
① 下 二一 二一 上 といふ「返り点」に、相当する。
従って、
(11)
「括弧」は、「返り点」よりも、「簡単」であって、それ故、その分、
「括弧」は、「返り点」よりも、「分り易い」。