田沢湖 湖畔の杜通信

湖畔の杜レストランORAE《番猫『ミミ』のわがまま雑記考》

秋田の伝統野菜「ひろっこ」

2013年11月06日 | 湖畔の杜レストランORAE

湖畔の杜ビール、湖畔の杜レストランORAEのミミです。

「ORAE 秋田の伝統野菜プレートセット」に使用している伝統野菜の紹介です。

今日は「ひろっこ」です。

萌芽したてのアサツキを「ひろっこ」と言います。

と言っても春、畑から出た新芽を言うのではなく、雪の下の地熱で種球から萌芽したものを言います。

「ひろっこ」、これは秋田だけの呼び方かと思いきや、山形もひろっこと呼びます。

ひょろひょろとした状態と若いと言う事を指して「ひろっこ」と呼んだのかと思っておりましたが、アサツキの来歴をたどると平安時代に遡るとの事ですから、もしかしたら江戸時代に北前船で持ち込まれたものなのか、はたまたアイヌ民族と共にの越冬の知恵として伝わったものか・・・と勝手に想像を膨らませております。

何の根拠もないのですが、農家が雪の下の地熱で萌芽したものを頂いてきたという単純な歴史ではない気がしてなりません。

降り積もった雪を掘り土からわずかに顔を出した「ひろっこ」は黄色い色味でいかにも柔らかいと言う感じです。頂けるのは積雪期間の12月から3月までです。

秋田ではニシンに豆腐、「ひろっこ」を入れた貝焼き「かやき」が定番ですが、山形はタコやイカ等と酢味噌和えして頂くようです。

いずれにしても魚介類と合わせて頂くあたり、古くは冬のご馳走であったと思われます。

深く積もった雪を掘り起し、土にまみれた「ひろっこ」を冬の小川で洗って頂いてたわけですから、その苦労の分ご馳走と言っていいと思います。

さて湖畔の杜レストランORAEの「秋田の伝統野菜プレートセット」では、今のプレートセットで皆様に「ひろっこ」を味わって頂きたく、春にピクルスにして今秋に備えました。

根本のふっくらした部分は酢漬けにしても美味しいので、ピクルスはおすすめです。

酢漬けにすると、らっきょ風になります。

箸休めには最適ですよ。

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酢漬けになっている状態の「ひろっこ」


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秋田の伝統野菜「とんぶり」

2013年11月05日 | 湖畔の杜レストランORAE

湖畔の杜ビール、湖畔の杜レストランORAEのミミです。

「ORAE 秋田の伝統野菜プレートセット」で使用している伝統野菜の紹介です。

今日は、秋田比内町独鈷の「とんぶり」です。

「とんぶり」は秋田大館比内町が産地としては有名で、江戸時代飢饉に見舞われた際、食利用の為の工夫を強いられ、この地で独特の加工法が生まれたとされます。

「とんぶり」はホウキギを乾燥させてホウキに使用する訳ですから、農家にとっては身近な植物であったわけです。

しかしながらホウキソウの実を食用にしたという点と食に供する為の加工法を生み出したという点で秋田の伝統野菜としては申し分ないと言ったところでしょう。

「とんぶり」はハタハタの卵である「ぶりこ」に似ている事、更にホウキソウが唐から伝来したものであった為「唐ぶりこ」と転訛したと言われます。

元々、中国では生薬としての歴史が長く「神農本草経」(漢方の大辞典)にも記載があり、生薬名を「地膚子(じふし)」と言い約3000年も前から使用されているそうです。

日本には平安時代に中国から伝来したとされますが、食用ではなく強壮や利尿の為の生薬だったようです。

栄養素としてはカロテンが多く、緑黄色野菜に分類されます。意外ですね。

さて皆さん、「とんぶり」にも生がある事をご存じでしたでしょうか。

通常、1年を通して食べられるようビン詰めにしているのは、一旦乾燥させた実を煮る等して加工したものです。

乾燥させていない生のものを頂けるのは、旬である今の時期だけです。

今回は比内独鈷(とっこ)地区の「とんぶり」を生で提供しております。

生はプリプリ感が強く、とてもフレッシュです。

乾燥によるものは年中頂けるので、今回は生に拘りました。

「ORAE 秋田の伝統野菜プレートセット」では、サラダとしょっつる炊き込みご飯でお出ししております。

湖畔の杜レストランORAEでは、「とんぶり」と「しょっつる」の炊き込みご飯を発案し、提供し続けてもう13年になります。とんぶりもしょっつるも御飯によく合いますので、ご家庭でも是非お試しくださいませ。

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生なので要冷蔵です


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秋田の伝統野菜 「三関セリ」

2013年11月04日 | 湖畔の杜レストランORAE

湖畔の杜ビール、湖畔の杜レストランORAEのミミです。

「ORAE 秋田の伝統野菜プレートセット」に登場する伝統野菜の紹介です。

今日は湯沢市、三関地区の「三関セリ」です。

三関と言うのは、湯沢の関口、上関、下関の三集落の事です。

三関でセリの栽培が始まったのは、江戸時代に遡るようです。

と言いましてもセリは古事記にも記載があり、古くから日本に自生していたと言われております。

奈良時代には食用とされていたとの記述もあるようです。

セリには健胃や鎮静効果もあるので、民間療法的に常備薬としての効果を果たす中で、食の世界でも定着していったのかもしれません。

セリは水場が好適とされますが、

「湯沢市三関地区は秋田県のほぼ南端に位置し南方に東鳥海山(標高777m)を望み、それに連なる500m級の山を直ぐ背に受け、一級河川雄物川に沿って形成されている土地で山の麓から湧きでる豊富な水に恵まれセリの栽培には最高に適した土地です」(以上JAこまちさんのHPより)

との事で、この環境があったからこそ、この地区で江戸時代から栽培されてきたと言う事なのでしょう。

セリは何でも、競り合うように生えるので「セリ」と言うそうです。

白根草とも言い、白い根が特徴的です。

「三関セリ」はその根が白くしっかりしていて長いです。

葉は大き目で茎も太いのですが、食べては柔らかく、セリ特有のクセが少ない一方、香りは強いとされます。

これは水の流れのある路地栽培の特徴だそうです。

雪が降るまでの三関セリは、このような特長をお愉しみ頂ける事でしょう。

湖畔の杜レストランORAEの「秋田の伝統野菜プレートセット」では、「三関セリ」を「セリむし」としてお出ししております。

「セリむし」とは、秋田の県南に伝わる料理で、蒸している訳ではないのですが、油あげと共に醤油やお砂糖で煮たものをして「セリむし」と言います。

これをORAEでは今回、セリの風味を素直に引き立てるよう、白しょうゆを使って仕上げさせて頂きました。

”「セリむし」で無視”( スミマセン(^_^;) )してはいけない事は、根や株の部分まで使用する事です。ほうれん草もそうですが、株の部分が一番風味が濃く美味しいものです。

土地の人間はそれを知っているので、セリむしには必ず根や株を入れます。

この部分を味わうのは秋田でも県南までです。

中央から県北の食文化であるきりたんぽ鍋に欠かせないセリですが、根等は入れず葉や茎のみを使用します。

古くから秋田の食文化に根差してきたセリだからこそ、食べ方も地域によって色々なのですね。

(※湯沢三関地区は山形に負けず劣らず さくらんぼ 佐藤錦の栽培地として有名です)

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株元から根が美味しい三関セリです


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秋田の伝統野菜「山内にんじん」

2013年11月03日 | 湖畔の杜レストランORAE

湖畔の杜ビール、湖畔の杜レストランORAEのミミです。

湖畔の杜レストランORAEで提供している「ORAE 秋田の伝統野菜プレートセット」の伝統野菜のご紹介です。

今日は「山内(さんない)にんじん」です。

この人参も過去に盛んに作られていたものの、衰退の一途をたどった伝統野菜のひとつです。

一言で人参と言っても長さが15センチから長いもので60センチと牛蒡のようなものまであります。

色も黄色味の強いものから紫色系のものと多岐に及んでいます。

皆さんが見慣れている人参は五寸型と言って15~20センチ位のオレンジ色のものです。

山内人参はと言いますと、長さが30センチ以上にもなり、見慣れた通常の人参よりかなり長く若干細めです。

現在、五寸人参が主流となっている事からもお分かり頂けるように、中長型の山内人参は消費嗜好の変化もあって市場から遠ざかってしまいました。

しかしなが平成17年頃から山内に固有のこの人参を復活させる動きが高まり、保存していた種から系統選抜して栽培が開始されます。

山内と言うところは昔から農産物の新規取り組みに非常に積極的なところだったと思われます。

有名な「いもの子(里芋)」もそうですが、山内で栽培されている葡萄もその始まりは大正時代まで遡ります。

新しい取り組みと継承という風土が山内には在るなという印象です。

さてこんな土地で育てられている山内にんじん、味が濃く身もしっかりしているのが特長です。

「ORAE 秋田の伝統野菜プレートセット」では、サラダとお味噌汁でお出ししております。

生のものと煮たものとで、それぞれの美味しさをお愉しみ下さいませ。

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長くて色も濃い目です


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秋田の伝統野菜 「横沢曲がりネギ」

2013年11月02日 | 湖畔の杜レストランORAE

湖畔の杜ビール、湖畔の杜レストランORAEのミミです。

昨日に引き続き、湖畔の杜レストランORAEで現在提供中の「ORAE 秋田の伝統野菜プレートセット」に使用している太田の「横沢曲がりネギ」をご紹介いたします。

「横沢」という品種は在来種で、なんと江戸時代から栽培されているとの事。

その栽培法には佐竹藩主がかかわっていたとも言われ、なんとも歴史的流れを感じさせるネギなのであります。

この「横沢曲がりネギ」、種蒔きから収穫まで2年もかかります。

1年目は苗を育てるだけで、2年目の春にそこから良質のものを選定し畑に植えます。

ネギの白い部分も太くなった8月頃一旦掘り起こし、ネギが曲がるようにした斜面床にネギを置き土かけをします。

10月からの収穫という事ですから、2か月の間、次第に低下する気温と共にじわじわと甘みや風味が増します。それと共にその姿も曲がり、丁度ひらがなの「し」の状態になってくると言う訳です。

2年越しの非常に贅沢なネギなのです。

ここで、何故曲げるのか?です。

調べた訳でもなくミミの憶測なのですが、曲げる事による物理的刺激が引き金となって酵素分解がおきネギの風味が増す、更に柔らかさにも寄与するという事ではないか・・・と、勝手に想像しております。

この曲げるという栽培法を経験則としてやっていたなら、当時のお百姓さんの知恵と美味しさを求める熱意にただただ敬服です。

と言うわけで、この「横沢曲がりネギ」、香味も強く、柔らかいのが特長です。

ネギの白い部分を細く切ったものが中華料理などの薬味に使われますが、その名も「白髪ネギ」。海老腰のように曲がったネギ。何とも御目出度いネギだなあ・・・とミミは思うわけです。

「横沢曲がりネギ」は「ORAE 秋田の伝統野菜プレートセット」では焼いた後にダシ醤油に漬けた焼き浸しにしてお出ししております。

ネギのトロりんとしたところをお愉しみ下さいませ。

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新しい葉が伸び、見た目全てが柔らかそうです


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