TONALITY OF LIFE

作曲家デビュー間近のR. I. が出会った
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バレエ・リュス ストラヴィンスキー・イブニング@新国立劇場

2013-11-16 17:03:45 | 舞台
バレエのために書かれた音楽なら、一度は踊りとセットで鑑賞してみたい。
そんな思いから新国立劇場の「バレエ・リュス ストラヴィンスキー・イブニング」に出掛けてきた。
《火の鳥》《アポロ》《結婚》を一挙に観られるという魅力的なラインナップ。
ダントツで《結婚》がよかった。
結婚という男女の融合が、主に男性ダンサー(花婿の友人)と女性ダンサー(花嫁の友人)の群舞で表現される。
音楽面からそれを後押ししているのは声。
ソプラノ、アルト、テノール、バスの各ソロと合唱が、男女という対の存在を効果的に際立たせていた。
天を突き刺すようなソプラノであったり、地の底から鳴り響くかの如きバス...
一糸乱れぬダンスを繰り広げるであろう本場の舞台をぜひ見てみたい、
そう思わせる作品としての確かな魅力があった。
茶と白を基調とした村人の衣裳は大地に根付いた暮らしを想起させ、
抑制が効いているからこそ群舞が盛り上がる。
ロシア語の響きは時に呪文めいて聞こえる。
ピアノと鐘の音が神聖に響くラストでは、清々しい高揚感に包まれた。
誰にも一目で印象に残るポーズもあった。
それは友人たちが頭部を重ね合わせて作る三角形。
牧神の振付けのように、そのポーズを見ただけで《結婚》と分かる象徴性は、作品の格を上げていると感じた。
解説によるとそれは「目」を表しているらしい。

《火の鳥》はあまりにも分かり易くて学芸会の音楽劇的な流れ。
期待が大き過ぎたのかもしれない。
バレエのための音楽とは言え、オーケストラのプログラムとしても人気のあることが証明しているように、
自分のなかで火の鳥を想像しながら聴くのも正解だと確信した。
今期のフィギュアスケートでは町田樹選手と安藤美姫選手のフリーの曲でもある。
できればソチのリンクでぜひ羽ばたいてほしいと願う。

《アポロ》は古代ギリシャ神話の世界。
ストラヴィンスキーの新古典主義が照らし出す地平と完全にシンクロしている。
これは魅力的になるもならぬもダンサー次第であると感じた。
カリスマ的な肉体が躍動すればそれだけで文句なしに美しい。

映画『シャネル&ストラヴィンスキー』では、冒頭で《春の祭典》初演の様子が克明に描かれている。
賛否両論怒号が飛び交い、遂には騒動を鎮めるため警官が出動したというから驚きである。
ディアギレフやニジンスカといった稀代の才能に引っ張られ、
ロシアバレエ団(バレエ・リュス)に熱を上げた当時のパリの空気がどんなものであったのか、
100年後の東京でその片鱗に触れられるのを期待してみたのだが、
正直なところそれは分からなかった。
ただ《結婚》を観られたのがよかった。

バレエ・リュス ストラヴィンスキー・イブニング(初日)
2013.11.13 wed
新国立劇場 オペラパレス

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