TONALITY OF LIFE

作曲家デビュー間近のR. I. が出会った
お気に入りの時間、空間、モノ・・・
その余韻を楽しむためのブログ

暖炉は音がするもの

2014-02-03 00:20:02 | 旅行
ロビーの暖炉は立派だった。
革張りのソファに体を沈めて足を伸ばし、しばらく炎を眺めることにした。
我が家の三人以外には誰もいない。
時おりびっくりするほど大きなパチッという音がした。
薪がよく乾いているからなのか、木の種類のせいなのか、暖炉には音があることを思い出す。

記憶のなかから松本隆の詞が浮かんできた。
~スケートぐつを肩にぶらさげて湖畔のカフェに暖まりに来たの
 かじかんだ手を暖炉にかざしてパチパチはねる炎のダンスを見てたの~
松田聖子に提供した♪「真冬の恋人たち」の2コーラス目だ。
音まで見事に描かれている。
松本隆『秘密の花園』(新潮文庫、1984年)

できればBGMを変えたかった。
こんなのはどうだろう。
ノルウェー出身のジャズ・ピアニスト、Tord Gustavsen率いるトルド・グスタフセン・トリオ。
アルバム『Changing Places』は、暖炉を見つめながら聴くのにぴったりな1枚だと思う。
雪が深々と降る夜ならばなおよい。

部屋に戻ろうとすると、2階のバーでは生演奏が終わったようで初老のミュージシャンが降りてきた。
管楽器のケースを抱えている。
個性的な口ヒゲに大きく割れたアゴ。そのままイラストにできそうな風貌だった。
どちらからともなく “Happy New Year! ” と声を掛け合った。

外に出ると満天の星空。
この日は新月で、宇宙の奥行きを教えてくれるかのように次から次へと星が見えてくる。
オレゴンコーストですばらしい炎と星に出合った2014年の始まり。


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