天狗倉山(てんぐらやま)頂上からの眺めは素晴らしいけれど,一枚岩の上と言うこともあって,ちょっと落ち着かないので,しばらくしたら梯子を下りることにした.へっぴり腰になりながらも,無事に梯子から降りることができた.一枚岩の下には,修験道の開祖である役行者が祀られている.
頂上の下にも見晴らしのいい岩場があって,360度方位地図が据え付けられている.正直なところ,個人的には頂上の一枚岩に立つよりも,この場所に立つことの方が怖い.この岩の下は,もちろん絶壁で足を踏み外したらお終いだ.
とはいえ,危険な場所ほどの眺めがいいもので,尾鷲の景色を一望することができる.朝が早いため,まだ少し薄暗いけれど,尾鷲湾の穏やかな海と八鬼山方面の山並みが手に取るように見えた.
尾鷲漁港近くの尾鷲市の街並みもきれいに見えた.そして,すべてが小さく,まるでミニチュアのように見えるのが不思議だった.漁港の南側は,尾鷲のシンボルだった三田火力発電所の煙突があった地域だが,バイオマス発電所の建設に向けて,今は更地になっているようだ.
そして,紀伊山地の麓まで,尾鷲市の街並みが続いている.尾鷲市街の中心部には,ホテルの窓から見えた中村山公園の尾鷲市立天文科学館があって,独特の存在感を示している.まるで和束町の安積親王陵墓のように・・・.
馬越峠から天狗倉山までの道のりは,なかなかハードだった.けれど,天狗倉山から見える尾鷲の景色は,心の中にある雑念から肉体の疲れまでもを忘れさせてくれた.下山するのが少し名残り惜しく感じた.
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