私のツーリングは行き当たりばったりなので,南伊勢町あたりを走っていて天気がいい日には決まって藤坂峠に吸い込まれてしまう.なぜかというと,藤坂峠からの展望は素晴らしいけど,ガスっていることが多いので足繁く通う必要があるからだ.ところで,南伊勢町側の起点はきれいに伐採されていてすっきりしていた.
峠では素晴らしい展望を見せてくれるが,そこに至るまでの道は過酷だ.このブログでも何度か記事にしているので,今さら説明する必要はないと思うけど,2m未満の幅員に加えて,路面に堆積した鋭利な石ころと脆弱な路肩の九十九折れが果てしなく続く.
峠近傍では忽然と現れる水量の豊富な箇所もある.この辺りは,滝や湧水の名所が多いので別に不思議ではない.そして,今や全国で熊被害が相次いでいるが,藤坂峠では鹿の群れに出くわした.南伊勢町のとなりの紀北町では罠にかかった熊が脱出したニュースが報じられたばかりだ.
そして,熊と鉢合わせることなく無事に南伊勢町と大紀町の境界となる藤坂峠にたどり着く.いつものビュースポットの前にオートバイを停めてエンジンを切る.峠では冷たい風が勢いよく吹き荒れていた.
ちょうど逆光で写真が暗くなってしまうのが残念だけど,空に雲はあるものの視界はクリアでリアス式海岸と熊野灘を一望することができた.熊野灘は太陽の光をそのまま反射して真っ白に輝いているのが美しかった.
そして,南伊勢町の村山という先ほどまで走っていた町並みが,まるでミニチュアのように小さく見えた.さらに海にまっすぐに進む山中海岸の先端は定ノ鼻と名が付いていて,別名,龍の背とも呼ばれている.あそこまで歩いていく猛者もいるらしい.
いつものことながら,藤坂峠からの眺望はすばらしかった.とはいえ,空には夏のような強さはなく.太陽が雲を透かして強烈な光を放っているのに,ちっとも暑くないのが不思議な感じだった.
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