前回の朝駆けに続き,夜明け前に自宅を出る.夜明け前は,山に入ってしまえば気温は20℃前後まで下がっている.涼しくて気持ちがいいのだけれど,二点ほどデメリットがある.デメリットの一つは,険道の路面状況が読みにくいこと,二つ目は野生動物の道路横断だ.
夜が早く明けてくれることを待ち遠しく思いながら,細心の注意を払ってオートバイを走らせていく.三重県は大紀町と度会町の県境付近の峠で,ようやく朝日が差し込んできてくれた.
太陽が昇ってくることで,真っ暗だった周りの景色も徐々に色味を帯びていく.紀伊半島の山中には,シダ植物が群生していることに改めて気づかされる.シダの葉は風で揺れているわけでもないのに,踊っているように見えるのは何故だろう.
峠を越えて,無事に度会町へ入り,完全に朝を迎える.ここまで来れば,海はもうすぐ近くだ.同時に気温もぐんぐんと上昇してくる.暑くて辛いけど,真夏の海が見たくて,五ケ所湾を目指すことにした.
南伊勢町から国道を走り,五ケ所湾の相賀浦までやってきた.相賀浦は西側の湾口に位置していて,ニワ浜と呼ばれるビーチが続いている.どうやら海水浴場ではないようで,早朝の砂浜には誰もいなかった.汗をかきながら見る真夏の海は,やっぱり何にも代えがたい.
東の空には昇ったばかりの太陽が,まぶしいほどに燦々と輝いていた.
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