奈良県は川上村の山奥にある清谷神社を目指して,国道169号を南下した.奈良県道258号を過ぎてから,少しいったところにある名もない村道を進んでいく.この時は,まだ転倒する2時間ほど前で,ウィンカーもカウルも健在だった.
この名もない村道は,交通量が皆無で鬱蒼とした山の中を縫うように走っている.自動車の轍はあるので,主に地元の方が通行するだけの生活道路のようだ.きれいに並んだ防護柵のコンクリートブロックに苔が繁茂しており,自然と同化した美しい景観が広がっていた.
道端にある切株にも苔が繁茂していた.苔の住処は,日陰であればコンクリートでも木の上でも問題ないらしい.ちなみに,苔は,自分の何十倍もの重さの水分を含んでいるそうだ.それなのに,根も張らず,雨風にも屈しない.実は,人間よりも驚異的な生命力の持ち主なのかもしれない.
そんな苔で埋め尽くされた緑の道をゆっくりと進んでいくのだった.この川上村付近には,国道169号から枝葉のように派生した県道や村道がたくさんある.この道もそのひとつだが,すべての道を探索するには,幾ら時間があっても足りないことだろう.
村道の起点から3キロメートルほど進んだところに,豪快に傾斜した大木と橋がある.清谷神社は,その橋の先にある.道路の少し先に軽トラが止まっていた.神社の方を見ると,運転手と思われる方が境内の掃除をされていた.他人の家に上がらせてもらうような気持ちで,神社へと向かうのだった.
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