暖冬と言われている2020年の冬,やってきたのは紀伊半島の七里御浜.熊野市から紀宝町までおよそ22キロメートルも続く,日本で一番長い砂礫海岸となっている.
獅子岩のある国道脇にオートバイを停めて,七里御浜へ降りていく.真下から見上げる獅子岩は,西日に照らされていて,一日の終わりを嘆き叫んでいるようだった.
時刻はすでに16時を過ぎており,空は淡い色に染まり始めていた.暖冬と言われているけど,今回は奈良の山越えはせずに,伊賀を経由して伊勢自動車道で,暖かい海沿いを南下してやってきた.この遠回りのルートでは,ちょっとでも寄り道をしようものなら,紀伊半島の海岸線に着くころには,すっかり夕暮れ時となってしまうようだ.
残念ながら七里御浜では,地理的にサンセットを見ることはできない.それでも,ここはもう潔く,暗くなるまで七里御浜の夕景を楽しむことにした.紀伊半島の先端に見えるのは,太地町あたりだろうか.
日没と共に海岸線は,やさしい黄色い光に包まれていくのだった.陽が落ちても気温は10℃前後あるようで,寒さは全く感じなかった.暗くなり始めても海岸線を散歩する人,時間を忘れて釣りに没頭する人,人影が絶える様子はなかった.かく言う自分もカメラを手にした人影のひとつであったのかもしれない.
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