和歌山県は東牟婁郡(ひがしむろぐん)串本町田原.太平洋に面した荒船海岸と呼ばれるリアス式海岸があって,海岸線に沿って車両で走行することができる.この日は風がとても強かったので,道路と荒波はまさに目と鼻の間であった.
道中には,素掘りの立派な隧道がある.隧道の先に広がっているのは,青い海だけだ.波の様子も風の調子によって,刻一刻と強弱が変わる.まるで生き物のような海のダイナミックな挙動を肌で体感するのだった.
こんなに海岸に近いところをオートバイで走行するのは初めてだ.風が強いこともあって,荒々しい波に少し恐怖を感じる程だった.辺りには,大きな波の音だけが響き渡っていた.
そして,舗装路の終点まで行くと,そこから先は未舗装路のハイキングコースの様な道になる.しかし,ロケット発射場建設のため,進入禁止の板が立っていた.そういえば,今年の3月末に和歌山県の串本町が民間ロケットの発射場になることが,メディアで報道されていた.その時は,串本町のどこに発射場を建設するのだろうと疑問に思っていた.
ロケット発射場の地が,この荒船海岸だということをこの時に初めて知った.海岸沿いにある民家はもちろん,キャンプ場でさえも,人の気配が全くなかった.
この辺りは近いうちに進入禁止になるかもしれない.民間ロケットの発射場として,串本町や国にとっての経済効果は計り知れない.それでも,この素晴らしい景色を見られなくなってしまうのは,寂しい限りだ.
雪で南下できなくなる前に,もう一度この風景を目に焼き付けようと再訪を決意するのだった.
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