オートバイで旅して観たモノの記録

 Ôtobai de tabi site mita mono no kiroku.

撰原の茶畑へ

2021年01月31日 | 和束町~茶源郷~


 腰越峠から見えた山奥に広がる和束町撰原の茶畑を目指して、オートバイを走らせた。撰原の民家の奥から山へと続く道があり、道なりに進んでいけば、相楽東部クリーンセンター付近の山奥にある茶畑に着くはずだ。民家のある平地から山へと少し入っただけで、辺り一面が茶畑の世界へと変わってしまった。



 茶畑に囲まれながら、狭くて急な勾配の道をただひたすら進んでいく。もちろん、交通量は皆無であり、あるのは山と茶畑だけで、辺りはしんと静まり返っている。日常とかけ離れた遠い世界に迷い込んでしまったような気がした。



 迷子になったような気持ちで、まだ見ぬ景色を求めて、ひたすら山を上っていき、しばらくすると山の稜線へと出る。その稜線の両側は、一面に広がる茶畑の急斜面になっていた。とても開放的なところで、山のふもとに広がる民家と畑を一望することができた。



 この場所は、腰越峠から見えた相楽東部クリーンセンターの手前にある茶畑で、まず間違いないと思われた。茶畑は、たしかに山奥の斜面に広がっていた。しかし、腰越峠から見るのと違って、茶畑のある斜面は勾配がかなり急で、40度くらいありそうな気がした。それだけに、大きな空間が目の前に広がっていて、視界を遮るものがないので、遠くの方にある町並みがよく見えた。



 この場所から正面に見えるのは、和束町石寺の民家と茶畑だ。よく石寺の茶畑を見に行くときに走っている場所なのに、こうして俯瞰的に見ると全く別の景色に見えてしまう。民家が集落のように密集していることは分からなかったし、茶畑が民家の随分と上の方にまであることは予想外だった。



 石寺は、昔ながらの屋根瓦の民家が多いようだ。茶畑と民家が山の景色に溶け込んでいて、本当に素晴らしい景観だと思う。まさか、撰原の茶畑に来て、こうして石寺の茶畑を俯瞰して見ることになるとは思いもしなかった。



 逆に石寺の茶畑から、この撰原の茶畑を見たら、どのように目に映るのだろうか。このコロナ禍の冬は長い。そう焦らずに、後日、じっくりと和束町の茶畑を周ってみることにしよう。撰原の茶畑にやってきて、茶源郷という言葉の意味するものが初めて分かったような気がした。



 撰原の茶畑は、小高い山の稜線の斜面に広がっている素晴らしい場所だった。

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