雨あがりの午後

　京都府は相楽郡和束町．別名，茶源郷．午前中からしとしと降っていた雨も，午後になるとようやくあがってくれた．時刻は１５時を過ぎていたが，オートバイで和束町へ向かった．峠の途中で，いつものように和束町を眺めながらひと休みした．



　最近，遠出のツーリングが重なっていたので，しばらく振りの和束町での茶畑散策だ．緑の波の中を駆け抜けながら，久しぶりに石寺の茶畑へ行ってみることにした．



　石寺の茶畑に着くと，曇り空の間から陽が射してきた．太陽の光によって，茶畑が明るく輝いているように見えた．自分以外にも写真を撮っている方が数名いた．dan dan cafë というおしゃれなカフェができてから，ここへやって来る人も随分と増えたようだ．



　以前は，木製のベンチが二つあって，よくチャリダーが茶畑を眺めながら休憩していた．いつしか，自分もチャリダーを真似するようになって，ベンチがあいている時は，お茶を飲みながら休憩したものだ．それがもうできなくなってしまって，少し寂しい心持ちがした．



　茶畑の一部には，黒いシートが掛けてあった．これは，茶葉に届く日光の量を制限することで，渋みを抑えて旨みを増す効果があるそうだ．
　写真を撮っていると，地元のおばあちゃんから，ええ色の単車やねぇ，と声をかけて頂いた．あまりにも急で，はにかんで会釈することしかできなかった．もっと気の利いた返事をすればよかったのにと，後悔しながら家路へ向かうのだった．