賀田湾の海岸にある常緑樹林が密集した場所は,飛鳥神社という神域だった.神社の入り口から,樹木が密集している.そして,樹木の大半は,幹回りの太い巨木で占められているようだ.参拝も兼ねて,神社を散策することにした.
この神社は,新宮市にある阿須賀神社の末社として,創建されたそうだ.明治四年頃までは,阿須賀大明神と呼ばれていたという.神社の棟札には,1638年の記録で,七百年ほどの古宮なり,と記されており,千年以上の歴史がある神社となっている.
参道は,二つの立派な巨木の間を分け入っていく様になっている.この辺りの樹木は,樹叢(じゅそう)と言って,植生に依らず,自生した樹木が密集した林地だそうだ.海岸の手前に,何故ここにだけ,自生した巨木が密集しているのだろうか.本当に不思議な場所だ.
自然の驚異を肌で感じながら,参道を進んで行くと,立派な石垣のある拝殿の入り口が現われる.そして,拝殿の入り口の真上には,大きなクスノキが,空に向かって伸びていた.
拝殿入り口の石垣は,どれも丸みを帯びた大きな石なのだけれど,周囲の巨木があまりに大き過ぎて,小さく感じる様に見えてしまうのだった.ここは,全てのものが巨大であり,日常のスケールとかけ離れていた..
特にこの拝殿前のクスノキは,周囲8.8メートルで,高さは約27メートルにも及ぶそうだ.そして,クスノキは,海の方に向かって,45度傾いている.これにも何か,神秘的な訳がありそうな気がした.
クスノキの根元には,ちょうど人が潜れる程度の空洞があいている.このクスノキからは,植物にはない強い生命力を感じ取るような気がした.拝殿にて,心穏やかに参拝することができた.
飛鳥神社は,樹叢の中心にある圧倒的なパワースポットでもあった.飛鳥神社を後にして,尾鷲市街へと向けて,オートバイを走らせた.
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