童仙房の山奥に不動の滝という落差20メートルの瀑布があるという.滝を目指して,いつものように和束町から三国越林道で野殿まで行く.高麗寺を通り過ぎたところに滝の看板が立っている.ここから先は車両の通行が禁止されているので,オートバイにはここで留守番してもらうことにした.
静かな農道のような道をてくてくと歩ていくと,いよいよ山の入口へたどり着く.山といっても,滝までの道はハイキングコースのようになっていて,滝までは30分もかからないらしい.
滝までの道は,歩きやすく整備されているし,とても素晴らしい雰囲気だ.鳥のさえずりも聞こえず,辺りはしんと静まり返っていた.いつもオートバイで走り回っている場所に,このような所があるとは思いもしなかった.
このコロナ禍は,ある意味では身近な場所にある景勝地へ訪れる機会をくれた.そんなことを考えながら歩いていると,太陽の位置が低くなっていることに気づく.ここ最近はすっかり朝ゆっくりで,お昼前に出かける癖が付いてしまった.
ちょっとピッチをあげて歩き始めると,少し行った先の道が崩落しており,さらに3本の倒木が道を塞いでいた.倒木はくぐるにもまたぐにも微妙な高さだったが,なんとかやり過ごす.そして,気が付けば,大きな滝の音が辺りに響き渡っていた.
不動の滝は,倒木を越えたすぐ先にあった.落差20メートルということで,中々の迫力だった.荒々しいというか,野性的な猛々しさのようなものを感じた.南山城村によると,滝の岩盤に40センチメートルほどの不動明王が彫られているという.
不動明王はこの滝で修行する者が彫ったとされ,作風から明治初期のものと言われている.カメラのズームレンズで不動明王様を探してみたけれど,辺りはすでに薄暗く,見つけることはできなかった.滝の岩盤は,よくよく見るときれいな赤色を呈していた.
童仙房の山奥にある不動の滝は,とても神秘的なところだった.
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