紅葉の季節が去り,しばらくは穏やかな天候が続いていたように思うが,急に寒波がやってきた.わたしの住んでいる京都南部は,朝の冷え込みこそ強いが,日中は比較的に暖かである.
そんな冬の寒い休日は,無理して遠くまでは行かずに,近郊の山々をゆっくり周ってみるのもいい.和束町から三国越林道で童仙房へと抜け,峠を越えて信楽町の多羅尾へ向かった.そして,御斎峠(おとぎとうげ)の手前にある髙宮神社に立ち寄ってみた.
およそ2年振りの再訪となった髙宮神社だが,やはり,変わらずに物々しい雰囲気が漂っていた.この独特の空間は,気持ちを引き締め直してくれるような気がする.
この神社は,現道から一本はずれた道の先にあるので,ほとんど交通量がなく,また訪れる人もいない.そのため,辺りには静けさが張り詰めている.あまりにも静かなため,神経が錯覚を起こして,耳鳴りを促すようである.
髙宮神社がある信楽町の多羅尾という地名は,徳川家康に仕えた多羅尾一族の武家の名だ.多羅尾一族は,豊臣家の後継者問題で無禄にまで失脚する.しかし,本能寺の変の後,家康一行の伊賀越えを警護していたことが後年になって実を結び,多羅尾一族は徳川幕府の天領代官として復活を遂げている.
今からおよそ400年ほど前のことになるが,それほど昔の出来事でもない.この地には,秀吉や家康を取りまく多羅尾一族の栄枯盛衰の歴史が眠っているわけである.
神社で参拝したり,すてきな空間を写真に撮っていると,陽がかなり落ちてきた.さて,先を急ぐことにしよう.寒空の下,髙宮神社を後にした.
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