Day 0 5/26 木曜日
会社を4時に早退して,新幹線を乗り継いで新宮へ向かう。
名古屋駅に7時過ぎに到着。紀勢本線のホームに階段を登って出ると,ホームはディーゼル臭で満ちていた。旅情は深まる。7時45分初の特急「南紀」7号で終点の新宮まで。「南紀」は中学3年の時,どうしてもキハ82に乗りたくて母親と親子二人の旅行で,母親の祖父母の故郷である新宮に行って以来,23年ぶりのことになる。光陰矢のごとし。
レース前なのでカツ弁当で気合をいれるも,1250kcalで胃が重くなっただけだった。
明るければ車窓の外には絶景が広がるであろうが,外は闇,雨。3時間半かけて汽車は新宮に到着した。新幹線の整備された現代の日本で,これだけJRの移動に時間がかかるとは。遠い・・・
この遠さが世界遺産熊野を開発から守っているのかもしれない。
一泊目は新宮駅近くのビジネスホテル。部屋に着くと,新宮市長からの歓迎メッセージが届いていたwww。雨は止むどころか,どんどん勢いを増しているようだ。雨音がトタンをたたく音を聞きながら就寝。
Day 1 5/27 金曜日
・・・起床。雨は止んでいない。
ミューラー氏とMOCOちゃんとおはようをして,レース会場に行く前に今日のコースを下見する。
熊野にでるために実業団に入ったというミューラー氏の熊野研究はぬかりがない(宿の手配もコース研究も)。本当に助かりました。正にプレイングマネージャー。
試走中に,今回のレースはE2 E3混走ということを初めて知るwww
自分,ぼけ過ぎだ。一気に自信をなくす。E2E3の猛者どもが入り混じって100人近い大集団か。びびる。
<コース紹介>
コースは一周16kmを4周。
スタートすると,赤木川沿いを登り基調でだらだらと上流へ。途中橋をこえてからポジション争いが苛烈になり,二個あるトンネルの前には長めの登りが二本。 最後のトンネルを越えると突然隘路になって軽トラック一台分の幅の道を住宅地の軒先を掠めるようにウネウネ走り,Uターンして折り返し。(このUターンで超インターバルがかかる!)
途中トンネルをくぐらず旧道のような登りをこなす区間もあり,高速ダウンヒルを経て,ゴール前のKOMへ。
KOM入り口はゴール前2km位で突然左手に現れる(しかもコースアウト防止用の畳付きで)。
ここは狭く,激坂なので,アプローチのポジション争い(特に1 lapめ)は壮絶だろう。KOMは距離にしたら200mもないと思う。ただし狭く,20%くらいのいわゆる茶畑,みかん畑系の激坂。こんなところでレースをするなんて信じられない! これはツーリングのスパイスで使う激坂だ!
・・・人はここを「熊野のコッペンベルグ」と呼ぶ。
マスクベルグw
KOMの標識もお金がかかっている。さすがUCIレース
KOMをズタズタになって登るとキュインキュインと下って,曲がってスタート/フィニッシュ地点。ここの下りは急で,濡れていて,逆バンクで恐怖であった。しかしここでハードにブレーキすると前と間が開いてこの後追走に脚を使うことになるので注意が必要。なお,最終周回はKOMは登らず逆周りの登り基調スプリント。といっても最終コーナー立ち上がりから100mでゴールなので位置取り命である。
<アップ>
廃屋の中でたらたらと。
<レース>
コンディションは豪雨。パレードラップでレースはスタートした。
初めての実業団。レベルはE2E3混在で非常に高い。しかも雨。
あれよあれよというまに後方にさがってしまい,集団の中位へ。位置取りの大切さがわかっているミューラー氏はどんどん前にいくが,どうしても先を考えて消耗したくないので,前にどおおおおりゃぁぁぁあああと出て行けない。
そんなこんなでパレードランはものすごいハイペースで進んで行く。(後で聞くと先導バイクが50kmで牽いたらしい)
あまりのハイペースにパレードラップで中切れが起きはじめる。これは酷いww (パレードランの途中でDNFが頭をよぎったのは秘密である)橋をこえて登り始めると,ペースはさらにあがる!うーきつい。(後で聞くと1分先にスタートしたE1をE2E3が追いかけて捕まえにいったらしい。このパターンは結局3日間ずっと続く。そりゃーきついわけだ。)
写真は@masa5900さんに借りました。凄い写真だ(E1だけど)
でも実際はこうだったとしか言えない。
豪雨の中集団は一列棒状に伸びる。そしてトンネルへ。トンネルの中は闇。一瞬視界を失った先頭が減速すると,後ろからどんどん追いついてきてパックはさらに大きくなる。真っ暗なトンネルの中で大渋滞。黒い影がもやもや動いている。落車の恐怖に,トンネル内でライダーの言葉にもならない掛け声が反響する。
トンネルを抜ける。豪雨!再び集団は隘路区間にむけペースアップして一列棒状に。なかなかポジションアップできない。こりゃーまずいぞ。
隘路の集落クネクネはみんなスローペース。そのかわり広い道路にでると思いっきり踏まないと前に追いつけないインターバル。ドひゃー!
そんなこんなで大集団中位のまま一周目のコッペンベルグKOMの入り口が見えてきた。集団が活気づく。ここで前もってインナーに落とす。
KOM区間の農道の登りに入ると同時に,恕号が飛び交う。前を見る。
イメージ図。
だ,大渋滞ぃぃぃぃ!まさにツールドフランドルでみる集団後ろの悲劇が目の前に繰り広げられていた。
渋滞につっかかって激坂の途中で脚をついてしまったもの,激坂の途中でインナーに落としてチェーンを外してしまった大ばか者(!)がそこかしこにいる。そしてさらに渋滞を引き起こす。先頭はぐいぐい先に登っていく。
[その頃先頭では]前前で動いたミューラー氏,53*27Tのギアで20%の激坂をひょいひょいと登り,KOMをトップで通過!その勢いで下りもキュインキュインと下って見事一周目のラップをとった!
「現在の一位通過は竹芝,竹芝レーシングのミューラー!」とMCハルヨさんにアナウンスされる。本人恍惚(本人談)
[その頃後方では]「
道の真ん中でとまるなぁぁぁ!!!」
「真ん中あけろぉぉぉぉ!!!」の恕号が飛び交うなか,いつ脚をついてもおかしくない速度でとまっているライダーをすり抜けながら激坂を上っていく。そして路面はすべりまくる。一瞬,オレンジ色のジャージ(宮城のエルドラドの選手)が超高ケイデンスで自転車を押して走っていて,並走する。
は,はぇぇぇ!走った方がはぇぇぇぇ!
しかし,エルドラド走りすぎて垂れるwww
「おい!そこの押してるの脇にドケ!」とすかさず優しい声がかかる。
「走るの早いですねぇ~」と声をかけてパス。このエルドラドさんは後ほど自分の集団に追いついてきた。おそらくクリートは禿げたであろう。
しかし,この一連の大渋滞により第一集団と第二集団が完全に割れてしまった!ここで上位入賞の夢絶たれる(涙)しかし,第二集団も追走がかかっているのでペースはかなり速かった。いずれにせよ第一集団についていくのは難しかったかもしれない。それにしても,へ,平地がつらい。ギャップをうめるのが辛い。 なみだ目でついていく。第二集団の中から数人追走集団が形成され,自分の集団は第三集団に。平地がつらいのは相変わらずだが,そのかわり,集団においついて息を整えてから登り区間に入ると,意外と登れる。この集団なら先頭付近で登ってもまだおつりがくるくらい。なんか楽しくなってきた。登り区間は周回を重ねる毎に登れるように(なった気に?)なってくる。隘路区間や,インターバルがかかる区間も先頭付近だと自分のペースで走れるので後ろより楽。「意外と登れる?」と自分に催眠術をかけながら,周回を先頭付近でこなしていって,最終周回。だんだん第三集団が練習会ペースまで落ちてきた。このままでは熊野まできて練習して終わりになってしまう。とは言え一人でどうこうできる実力はない。
レース前のアキオキャプテンの一言が頭をよぎる
「何もしないで終わった完走より,何かやってのリタイヤの方が後に残る」折り返し前のトンネルの前の登りでいつものように前に出て,隘路区間に突入。その後のトンネル脇旧道の登りでペースアップして集団から抜け出してみる。
一人ついてきた。どうやら脚はある,最後何かして終わろう!一度下りで後ろが追いついてきたので,一度後ろに下がって脚をため,
残り3km (まだ距離がある)
残り2km ・・・
残り1.5kmで下ハンアタック!でも一瞬ギアがジャムしてドタバタしましたw
必死に踏むこと数秒,後ろを振り向くと集団は50mくらい後ろ。よし!ここから 1.5km TTを・・・
ものすごい向かい風でした。
巡航が40km切っては逃げ切れません。ギアもガチャガチャ変な音を立てているし,なんか泳がされている感じ。1kmほど逃げて残り400mで大集団に飲み込まれました。この集団のビリから二番目でゴール。
一日目
完走
E2E3クラス
49位112中
完走率:65%
なんとか実業団デビュー戦を完走することができました。
ですが,第一集団についていく実力はやはりありませんでした。第二か第三のグルペットであれば脚を残して集団勝負できるのが今の立ち位置かな。予想通り?期待以上?いずれにせよこれをベンチマークにして練習を組めるようになれますね。
[まとめ]
平地:きつい。得意の平地が嫌いになりました。
下り:直線の下り基調は楽勝。下りコーナーはへたっぴ。
登り:グルペットであれば前ですいすい登れる。第一集団のペースアップには悲鳴をあげて千切れる。緩斜面好き。
ミューラー先生は第一集団の狂喜のゴールスプリントにマッドマンのように挑みかかり,落車のガシャガシャ!を後方に聞きながら見事クラス7位をゲット!素晴らしい!クリテ2連戦の借りを見事に熊野で返しました。やはり悔しい思いをした人は強い!
MOCOちゃんはE1クラスの先頭から7分というなんとも非現実的な脚きりタイムにより,DNF。というか女子にその脚きりタイムは酷いでしょ!初日の女子は全員DNF。そして一般参加の黒潮ロードレースも完走者は数名というサバイバルでした。
私の出場したE2E3でもかなりの人数が途中で降ろされた模様。
<レース後>
お互いの無事と健闘を称え合った後は泥んこになった自転車を洗うべく,すぐさま新宮から熊野までを移動。2日目の宿はビジネス旅館潮音,エキップ浅田EQADSが同じ宿でした。洗車洗濯を終えた後はすぐさま二日目のコース下見に出かけます。けっこう忙しく,レース後ゆっくりしている時間はあまりありません。
<夜のTTT>
宿の食堂に許可をもらって,スーパーでどっさり買い入れたお刺身やらを持ち込んで宴会。男性陣は新宮のお酒「太平洋」。これが一般酒グレードでもさっぱりして飲みやすい!お寿司と秋刀魚寿司をパクパク,日本酒をグビグビ,あっという間に気持ちよくなって8時台にZzzz。おかげさまで翌日に疲労を残すことはありませんでした。それにしても,道中ずーっと続いた鬼コーチミューラー氏の栄養学講座(これが本当にためになります。絶対に吸収したほうがよいです。個人の判断で)は非常にためになったのですが,当の本人はこの夜に限っては一升瓶を空にし,夜10時に私が寝ている傍でおにぎりモシャモシャ,カップラーメンズルズル,えんどう豆バリバリしておりました。(本人によると計画的犯行だったそうですが)
この夜豪雨をついてRIONボーイが駅から歩いて来たそうですが,ピクリとも反応できませんでした。