※井上さんがレポートを書いてくださいました。
6月の観察交流会が日に行われました。今回は乙女高原を離れて、鶏冠山西林道を歩き、黄色いスミレ(キバナノコマノツメ)を観察するというものでした。いつもより30分早く道の駅に集合したのは13名。車に分乗して出発しました。途中の林道には、トチノキ、ミズキ、ミヤマザクラ、アイズシモツケなど木の花がたくさん咲いていました。柳平ではレンゲツツジが満開です。高度が上がるにつれて、木々はまだ新緑の色で、鶏冠山西林道入り口に着いた時は少しひんやりするくらいで、爽やかな観察日和でした。
林道を歩きながら、植物や鳥など観察しました。サルオガセのぶら下がった落葉松林の中の道を登って行くと、昨年咲き始めだったミヤマハンショウヅルがたくさん咲いていました。
花の中や葉の様子も観察しました。楽しみにしていた花だったので、たくさん見られて嬉しかったです。また道端にはシロバナヘビイチゴがたくさん咲いていました。しばらく歩くと白いクリンソウもいくつかに咲いています。ミヤマハコベやオオヤマフスマも見られました。
咲き終わりのタチツボスミレの葉はアカフがきれいに入ったものもありました。さらに進むとサラサドウダンツツジ、ベニバナツクバネウツギ、コヨウラクツツジ、ズミなどの木の花も咲いていて、目を楽しませてくれます。ウグイス、カラ類、ホトトギス、ミソサザイ、オオルリなどの鳴き声も聞こえて、耳でも楽しむことができました。
そのうちにシダやコケに覆われたシラビソなどの亜高山帯の森になってきました。その森の道沿いには咲き残りのミヤマスミレ、ピンク色の線がきれいなコミヤマカタバミ、小さな白い花がかわいいマイヅルソウやズダヤクシュ、イワセントウソウ、ヤマハタザオなども咲いています。そして、何といってもこの森にふさわしいオサバグサやツバメオモト、タケシマランなども見られました。また、バイカオウレンやセリバオウレンの実も観察できました。森の中からはメボソムシクイの鳴き声もよく聞こえていました。針葉樹の甘い香りも漂ってきて、深呼吸をしてしまいました。ツバメオモトが何かに食べられているようだったのと、昨年は数株咲いていたイチヨウランが1株しかなかったのは残念でした。
さらにしばらく歩いて大きな岩壁が見えてくると、いよいよキバナノコマノツメのポイントです。数カ所群生している所があります。今年は春が早く進み、花々の開花も早かったので、どんな状態か心配していましたが、咲き終わったものはあるものの、まだきれいにたくさん咲いていました。(山本さんは開花状況を確認するため、数日前に少し下の地点を見に行ってくれたとのことでした。)群生しているのは細い沢が流れ込む所で、ツルネコノメやサワゴケなども見られました。南側は開けていて、本来なら富士山もよく見えるポイントですが、この日は雲の中に隠れていました。琴川の源流部にあたる谷からはツツドリの鳴き声も聞こえてきます。ここでキバナノコマノツメを眺めながら、昼食にしました。
観察したり、写真を撮ったりしながら歩いてきたので、もう正午過ぎになっていました。 帰りは同じ道を戻りましたが、行きに気づかなかったものを発見することもありました。花やつぼみをたくさんつけた立派なトリガタハンショウヅルです。行きに見たものももう一度確認したりしながら、林道の入り口に3時過ぎに到着して、解散となりました。
この林道は落葉松林帯、広葉樹林帯、針葉樹林帯とさまざまな環境があるので、それぞれに違うものを観察できるように思いました。そしてカエデ類が多く見られました。イタヤカエデ、ハウチワカエデ(花、実)、コミネカエデ(花)、オオイタヤメイゲツ(花)、オガラバナ(花)などです。葉の形や葉柄の色や長さ、花の様子など遠目に観察できました。紅葉の頃も美しいだろうな、違う季節にも歩いてみたいなと思う道でした。
目的のキバナノコマノツメにたくさん出会え、その他いろいろな植物、鳥の声も聞けてとても楽しい観察会でした。
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