もし、カヤネズミが乙女高原に生息していれば、日本の最高標高記録の大幅な更新になります。大げさにいうならば、今までの日本のカヤネズミ像を塗り替るということになるでしょうか。
1年目(昨年9月)はシャーマントラップによって生息を確認しようとしましたが「空振り」でした。
そして、今年は高槻さんとその教え子の奥津さんから新たな調査方法についての提案がありました。
それがペットボトルによるトラップです。このトラップでカヤネズミを拉致しよう・・・というのではありません。中に入って糞をしてもらい、その糞のDNA鑑定から、カヤネズミの存在を判断していこうというものです。
高槻さんと奥津さんによる本格的な調査は7月からスタートですが、事前にトラップの作り方やしかけ方についての論文を送っていただいてあったので、「見よう見まね」どころか「聞きかじり」状態なだけですが、自分たちで調査をスタートさせることにしました。
わなは350㎖のペットボトルで作ります。ペットボトルの「胸」くらいのところで輪切りにし、口が付いている方を反対向きにしてペットボトルの「腹」に差し込みます。これがトラップの基本形です。さらに、エサの匂いが抜けるように、また、雨水が抜するように小さな穴を開けたり、中心に園芸用支柱を通すための穴を開けたりしました。おびき寄せるエサとしてヒマワリのたねを入れ、支柱をトラップに「くし刺し」にし、支柱を地面に刺して、ビニール袋の雨避けをかけたら、できあがりです。
6月10日、まずは試験的に3基のトラップを仕掛けました。林縁に近いススキ株のすぐ隣。地表からの高さを32~40㎝としました。トラップ間の距離は1m程度です。
トラップとともに、2基のセンサーカメラを設置しました。3基のトラップが見渡せるような場所に2本の杭を打って、それにセットしました。カメラには、タッパウェアで作った雨覆いを付け、(動画ではなく)写真モードをセットしました。
これらの作業を一人でやるのは、結構シンドかったです。
6月17日、カメラとトラップの確認作業を行いました。
まず、カメラですがそれぞれ359枚、137枚の画像が記録されていましたが、カヤネズミどころか動物が写っている写真は1枚もありませんでした。
持参したトレイに、トラップの中のヒマワリのたねをあけ、中に糞がないか確かめました。一つから小さな蛾の羽根が出てきましたが、どのトラップにも糞はありませんでした。再度、たねを入れ、同じ場所にセットしました。
トラップ3個だけでは心もとないので、さらに5つをセットし、計8つとしました。4つはススキ株の中や隣に、1つはヤマハギ株内に設置しました。
6月24日、マルハナバチ調べ隊終了後、その参加者である芳賀さん、井上さん、岡村さんに協力していただきながら調査しました。糞らしきものが確認されましたが、バッタの糞である可能性が高いと思われたので、近くにいたバッタを採取し、ビニール袋の中に入れておきました。1時間後にバッタを逃がし、中に残った糞とサンプルの糞を比べてみましたが、トラップの中に入っていたのはバッタの糞であると思われました。トラップの中には、ほかにはハサミムシやバッタが入っていました。
カラメには2台とも300枚以上の画像が残されていましたが、ネズミの姿が写っているものはありませんでした。
7月1日、一人で調査しました。トレイはプラスチック製の皿に替えました。これにトラップのひまわりのたねを入れて、食痕はないか、糞はないかを調べました。トラップ・ナンバー①にバッタの死骸2つと生きたキリギリス類が入っていました。これらに体の損傷は認められませんでしたが、②④⑦にあったバッタの死骸は損傷があり、何かに捕食されたように見えました。カヤネズミの仕業でしょうか?
また、⑤にヒマワリの食痕が見つかりました。これらのサンプルは、新しいペットボトル・トラップ30個と一緒にグリーンロッジのベランダに置いておきました。高槻さんと奥津さんに見ていただくためです。なお、大量のペットボトルは井上さんからご提供いただきました。
カメラの画像はそれぞれ300枚以上ありましたが、空振りでした。
⑤に食痕が見つかったことから、⑤の近くにトラップを4個追加し、合計12個としました。
日差しが強い日でした。野外での作業は大変でした。その後、標高1,700mの木陰の涼しさは最高でした!
以上が「カヤネズミ『ペットボトル・トラップ』プロジェクト~聞きかじり調査編」の途中報告です。
7月2日からは、これと平行して、いよいよ高槻さん奥津さんによる「カヤネズミ ペットボトル・トラップ プロジェクト~本格調査編」が始まりました。これについても報告していきますね。お楽しみに!!
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