旨い処探索同好会

アトリエ葉神 公式 ブログ・サイト

読書 その三十四 婦人像

2011年02月03日 21時27分00秒 | 読書 (国吉康雄、回顧展カタログの翻訳)
1930年代の彼の作品は、婦人像、静物画、風景画の三つの主な題材に入ります。
彼の二度目のフランス訪問の後、彼の最も頻繁に使ったテーマは女性になりました。
男性像は、それ以来彼の絵の中でほとんど作画されることはありませんでした。

彼の官能的で、表情が無くそして暗くて濃いアイ・ラッシュの女の子は、いろいろの
段階の衣服を脱がせた状態で、喫煙しているか決して読んでいない新聞を持っています。
彼女達は何時もただひとりで、そして静寂で物思わしげな、何かを待っている雰囲気があり
ました。 彼女達の性的な磁気作用は、パスキンの作品を思わせる感傷と憂愁をしばしば
混ぜ合わせていました。

彼女達は、ほとんど強烈に個性的ではありません;クニヨシが興味を持っているそれは、
彼女達の性格と言うより彼女達の感性からの嘆願でした。
「私は、婦人を描くのが好きです。」 彼は言っていました、「しかし私は唯一人の女性を
描くことはしません、私は私の知っているそして感じる全ての女性を描きます。 これは
東洋的伝統だと思います、しかし私の描き方は西洋的伝統です。」


"Circus Girl Resting", 1931 Oil on Canvas (40 x 65 in) Fukutake Shoten Collection,
Yasuo Kuniyoshi Museum. Okayama, Japan

His work of the 1930's falls into three main classes of subjects - women, still-
life, landscape. After his second visit to France his most frequent theme became
women. Men have figured hardly at all in his art since then. His girls with their
voluptuous, expressionless faces and dark heavy-lashed eyes were shown sitting
in various stages of undress, smoking or holding newspapers which they were
never reading. They were always alone and they had an air of waiting, silence
and pensiveness. Their sexual magnetism was often combined with a languor and
weariness that remind one of Pascin. They were seldom strongly individualized;
it was their sensuous appeal he was interested in rather than their character.
"I like to paint women," he has said, "but I don't paint just one woman, I put in
what I know and sense about all women. I think this is in the Eastern tradition,
but the way I paint is in the Western tradition."


"Girl on Sofa", 1925. Oil on Canvas (30 x 36 in) Arizona State University Art Museum,
Tempe, Arizona.
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

読書 その三十三 花束とストーブ

2011年02月03日 10時11分36秒 | 読書 (国吉康雄、回顧展カタログの翻訳)
この見解の急進的変化は、 彼の帰国後直ぐに描かれた「花束とストーブ」の中に説明されています。 ここでは真っ向な現実的室内が、基本的には自然主義的スタイルで描かれていました。
彼のほんの2~3年前の作品と比べると、技術の並々ならぬ進歩がありました:顔料は新しい
豊かさで処理され、(使われている)色の幅はより広くなりました。

幻想の消滅は、彼の初期スタイルを原始的に感じさせる新しい写実力によって補わられました、
多くの彼の世代と同じ様に、クニヨシは原始主義がこの現代世界では長く続かない事を発見したのです。


"Bouquet and Stove". 1929 Oil on Canvas. (56 x 40 in) Downtown Gallery.
「花束とストーブ」、回顧展のカタログからスキャンコピー。

This radical change in viewpoint was illustrated in Bouquet and Stove,
painted soon after his return. Here was a straight realistic interior painted in a
fundamentally naturalistic style. Compared to his work of only two of three
years earlier, there was an extraordinary gain in skill: the pigment was handled
with a new richness, the color range was much wider. The loss in fantasy was
compensated for by a new realistic power that made his early style seem primi^
tive. Like many of his generation, Kuniyoshi had discovered that primitivism
cannot last in the modern world.


"Bouquet and Stove"  Wichita Art Museum.  The Roland P. Murdock Collection.
Currently not on display.
現在はウイチタ美術館にあるようですが、展示されていませんし画像も公開されていません。
色彩画像があれば、ロイドの説明で「広くなった色のレンジ」の意味も分かりやすかったかも。
マードックの名前がありますが、史上最大のポンジ・スキームのおかげでしょうか?
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする