パワー・トゥ・ザ・ピープル!!アーカイブ

東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

☆ 中国深圳の日本人児童殺人事件の偏向報道

2024年10月06日 | 「日の丸・君が代」強制反対

  =たんぽぽ舎-地震と原発事故情報=【TMM:No5091】2024年10月3日
 ☆ 捜査段階で原因究明は不可能、冷静な報道を

「メディア改革」連載第161回 浅野健一(アカデミックジャーナリスト)

 『犯罪報道の犯罪』(学陽書房、1984年)を出版してから、9月に40年経った。9月23日に東京・文京区民センターで記念のシンポジウムを開き、たんぽぽ舎の柳田真共同代表がリレートークをしてくれた。
 日本の犯罪報道は、私の問題提起もあって、1989年に「容疑者の呼び捨て廃止」などの改革があったが、捜査段階で被害者の側に感情移入し、警察・検察の広報(非公式のリークも)を垂れ流す構造は変わっていない。

 日本の犯罪報道の悪いところが全部出たのが、中国の深圳で9月18日、日本人学校の10歳の男子児童が44歳の中国人男性に刃物で襲われて死亡した事件での報道だ。
 テレビと新聞は、逮捕直後から、事件を情緒的に報じ、根拠もないのに、「反日を煽った中国政府の責任」を強調している

 玉川徹氏は9月20日のテレビ朝日「モーニングショー」で、「反日教育をしてきた習近平政権の責任だ。6月に蘇州でも、日本人学校のスクールバスが襲われており、立て続けに起きた。日本人は安心して駐在できないことを中国政府は分かった方がいい」とコメントした。眼がすわっていた。

 19日のTBSラジオ「荻上チキ・Session」では、安田峰俊氏(ルポライター、立命館大学人文科学研究所客員協力研究員)が「習政権になってからの反日教育の結果だ」と断じた。排外主義を批判する荻上氏の番組でのヘイト発言だ。

 9月20日の朝日新聞「天声人語」は「許されざる凶行だ」「一線を越えることをいとわない何かが広がっているのか」「しかし、金杉憲治・駐中国大使によれば、どちらの事件についても、中国から『満足できるような説明は聞いていない』という」と書いた。また、「歴史問題を背景に、反日感情をむき出しにした意見が見受けられる。統治のひずみを、愛国教育という名のナショナリズムで覆い隠す。その行きつく果てだろう」と述べた。

 元朝日新聞記者の浜田敬子氏も9月22日のTBS「サンデーモーニング」で、「反日的なSNSの書き込みを放置してきた中国政府に責任がある」と述べた。
 9月27日に自民党総裁になった石破茂氏も29日、フジテレビ「日曜報道 THE PRIME」で、「あんな痛ましい事件があって『こんなものはどこでも起こること』とは、何ですか」と中国外務省報道案のコメントに不快感を示した。

 ☆ 発生は柳条湖事件の日で「反日教育」批判の愚

 事件が起きた9月18日は、93年前に満州事変の発端となった「柳条湖事件」が起きた日。どれだけの日本人が、事件が日本軍の捏造で、日本のメディアが捏造と知りながら中国人の「匪賊」の犯行とでっち上げて報じたかを知っているだろうか。
 故西山武典・元共同通信編集主幹は『「ザ・リーク」新聞報道のウラオモテ』(講談社、1992年)で、1931年9月18日の柳条湖事件(満州事変)で、当時のメディアが、満鉄爆破事件が日本軍(関東軍)の仕業と知りながら、「支那正規兵」の攻撃だったと捏造して報じたことにこだわっていた。

 被害者の児童の母親は中国人で、父親は日本人だが、長く中国で働き住んでいるという。父親は「息子は日本人であり、中国人でもある」と言っている。現場は学校から400メートル離れている。「日本人が狙われた」と言えるのか

 ☆ 米韓日軍事同盟で対中戦争体制下で反中扇動

 中国が日帝から受けた侵略・強制占領の歴史と、日本人児童の事件と関係があるかまったくわかっていない。深圳が「親日的」な都市だという報道もおかしい。特定の国や国民を「親日」「反日」に分ける発想が間違っている。

 国内の刑事事件でも在日朝鮮人が逮捕されると韓国籍、朝鮮籍と報道される。産経系のメディアは「北朝鮮籍」という誤った表記をいまだにしている。そんな国籍は存在しない。
 最近はベトナム人の被疑者が多く、国籍が常に報道される。ほとんどの被疑者が日本人だが、「日本国籍」ということは報道されない。

 スウェーデンの報道倫理綱領は「個人生活のプライバシーを侵害する恐れのある報道に綿密な配慮を払うこと」「報道に関連してとくに重要な意味がなく、また一種の侮蔑をかもす恐れがある場合は、その人物の人種(民族)、性、国籍、職業、政党色、または宗教観を取り上げないこと」と規定している。
 事件の内容と国籍が関係ない場合、国籍を安易に報道すべきではない。

 沖縄で強かん、殺人事件の被疑者・被告人になった米兵に関して、日本政府は米国・米軍の責任を問わず、メディアも米国トップに謝罪も求めない
 中国での児童殺人事件と沖縄での米兵による少女強かん事件の扱いが違い過ぎる。犯罪報道の犯罪が止まらない。

『たんぽぽ舎-地震と原発事故情報』【TMM:No5091】2024年10月3日(木)

 

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