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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

◆ D-TaC:大阪市教委との協議報告(2024年9月25日)

2024年10月05日 | 「日の丸・君が代」強制反対

 ◆ 大阪市立学校の現在の卒業式と「君が代」指導のあり方を批判

★「卒業証書授与式」や学習指導要領「厳粛」規定は戦前の教育を志向するもの

★大阪市教委の卒業式「日の丸・君が代」通知は子どもの権利条約違反

 D-TaCは、6月13日の結成9周年集会(総会)で、名称・規約を一部改正し、新たな活動に踏み出しています。
 6月14日、『卒業式と「君が代」指導にかかわる質問』質問の参考資料質問参考資料の別紙)を大阪市教委に提出し、8月19日の回答を受けて、9月25日、回答の理解を深め、要望を伝える「協議」を行いました。8月28日には、協議冒頭で回答してもらう「協議にあたっての事前質問」を提出していました。

 市教委からは初等中学校教育担当総括指導主事市民協議担当係長こちらからは、D-TaC運営メンバーと会員・趣旨に共感する保護者・市民、合計15人が参加しました。

 初めに、協議に向けた⑥事前質問への口頭回答を受け、前半は、「卒業式について」後半は、「『君が代』指導について」、質疑を行いました。
 資料紹介も含めて、こちらの意見を述べ、大阪市立学校の現在の卒業式と「君が代」指導のあり方を批判しました。

 <卒業式について>

・1(1)の回答の意味⇒『学習指導要領 の特別活動 学校行事 の内容に「厳粛」であることが規定されている。その理由については、文部科学省が作成したものなので答えられないが、学校はその学習指導要領に従う必要性があり、大阪市教委も学習指導要領通りに実施するよう求めている。』

・1(2)の回答の意味⇒『卒業証書授与式ということばだが、文部科学省から卒業式等についての名称を限定するような通知というのは出ていないし、大阪市教育委員会においても同様に名称に関する通知はしていないので、「許されることか」と言われると、「許すも許さないもない」が回答

◆「君が代」調教NO!松田処分取消裁判で提出した小野雅章さん(日本大学教授)意見書――卒業式・入学式の天皇制教化「装置」への転換過程の考察から――

 ※クリックしてikensho_ono.pdfにアクセス

 のP12等を示し、「卒業証書授与式」の名前が、戦前の卒業式の呼び名だったことを確認。P7等から、神聖天皇の絶対性を刷り込むことを目的とした戦前の学校儀式では、「厳粛」さが重視されており、それを引き継ぐ「厳粛」さを学習指導要領に規定しているのは大問題だと指摘しました。そして、子どもたちのための卒業式への改革の試みの中で、子どもたちの希望を受けとめて卒業式の中で「南中ソーラン」を踊った実践(子どもにも保護者にも好評だった)を紹介、

 ※クリックしてkoshibashogen.pdfにアクセス

 『それは「厳粛」の規定に反するのでだめだというのか』と見解を求めました。回答は、今聞いただけでは「厳粛」でないかどうか判断できないというものでした。

 

 <「君が代」指導について>

・2(1)の回答の意味⇒『学習指導要領は、全国的に一定の教育水準を確保し、教育の機会均等を保証するものであって、教育内容等について合理的な事項容を大綱的に示したものということになっているが、それをもとに具体的なことについては各校や教員の裁量に基づいて適切に指導するというふうにいわれている。学習指導要領には具体的に「君が代」の歴史を教えるということばは書いていないと思うが、それを踏まえて言うならば、教える必要があるということに関しては、回答は「いいえ」だ。教えるべきではないということに関しては、これも「いいえ」である。その理由としては、書いてないけれども具体的なことについては学校や教員の裁量によって適切に指導することになっているというのが理由だ。』

・2(2)の回答の意味⇒『12条から14条というところで私たちがとらえた部分は、情報、あらゆる種類の情報を提供しなくてもいいのかに関わって13条が特に対象になるのかなと認識している。結果から言うと条約違反には当たらないと考えている。理由としては、あらゆる情報、君が代の件以外も含めて、例えば、学校現場であれば、性教育であるとか、いろいろな部分での情報を提供する場面があると思うが、すべての情報を提供しなければいけないのかと言ったらそうでない部分もあると思うので、条約違反に当たらないと考えている。』『(大阪市教委は)起立・斉唱を迫る行為は行っていないと認識しているので、(子どもの権利)条約違反には当たらないと考えている。申し出た子に「立ちなさい」と言ったら違反になると思う。』

 

◆「君が代」調教NO!松田処分取消裁判で提出した第5準備書面

 ※クリックしてgenkokudai5junbishomen20220201.pdfにアクセス

 のP17~の「第5 子どもの権利条約について」を紹介。その中でP23の大阪高裁2009年9月9日判決『君が代という国歌が担ってきた戦前からの歴史的役割に対する認識や歌詞の内容から、君が代に対し負のイデオロギーないし抵抗感を持つ者が、その斉唱を強制されることを思想信条の自由に対する侵害であると考えることには一理ある。とりわけ、「唱う」という行為は、個々人にとって情感を伴わざるを得ない積極的身体的行為であるから、これを強要されることは、内心の自由に対する侵害となる危険性が高い。したがって、君が代を斉唱しない自由も尊重されるべきである。』を紹介し、「君が代」強制が、子ども権利条約12条(意見表明権)、14条(思想・良心の自由)違反であり、それとの関係で、13条(必要な情報を与えられる権利)が問題になることを説明しました。「君が代という国歌が担ってきた戦前からの歴史的役割に対する認識や歌詞の内容から、君が代に対し負のイデオロギーないし抵抗感を持つ者」にかかわって、「君が代」の歴史(知っていますか?「君が代」の意味・扱いの変化)と戦前と戦後の教科書の中の「君が代」、「君が代」が歌われた場面とそのころの教育について説明しました。(現在の音楽教科書の「君が代」、戦前の修身教科書(小学校4年生)の「君が代」、「君が代」が歌われた天長節のようす「サイケイレイ」(小学校2年生修身教科書)、戦前の修身教科書(小学校2年生)の教材「天皇陛下」「日本ノ國」)

また、卒業式の壇上正面に「日の丸」を掲げ、「日の丸」に向かって「君が代」を斉唱するようになったのは、全国民の戦争動員が至上命令になった1930年代後半以降だったという史実についても説明しました。

その根拠として「君が代」調教NO!松田処分取消裁判の上告理由書

 ※ クリックしてにアクセス

P9~P27「儀式的行事における儀礼的所作とは何か」を紹介しました。

 市教委は、『「君が代」を起立・斉唱したくないと申し出た児童・生徒に対して、卒業式の成功や周囲の人の迷惑等を理由として、起立・斉唱を迫る行為を行ったら子どもの権利条約違反ではないか』との質問には「そうだ」と認めましたが、教員に教育活動として起立・斉唱を命じ、子どもたちにしっかり歌わせるよう指示する教育長通知の下で実施されている現在の大阪市立学校の卒業式のあり方自身が子どもの権利条約違反だとの指摘については認めていません。引き続き、追及していく必要があります。

★回答に見られる大阪市教委の無責任な姿勢の中で、協議に出席していたこの件(卒業式や「君が代」指導の件)の担当者自身が、基本的な「君が代」の歴史を知らないことが明らかになりました。協議終了の際の担当者の感想「みなさんが、なぜこの場に集まり、何を訴えようとしているのか、少しわかったように思います」から、このような要請行動を引き続きやっていくことの必要性・重要性を感じました。

★参加者から、『前に校長と話した時、「厳粛な卒業式にしたい」という校長に反論できなかったが、この協議に参加して、「卒業式は最後の授業」との言葉を聞き、自分の思いを言語化できるように感じた。卒業式についてもう一度校長と話してみたい。』との感想がありました。私たちにとっても意義ある「協議」にできたのではないかと思います。

『D-TaC(「君が代」不起立処分撤回!松田さんとともに学校に民主主義を!)』
https://democracyforteachers.wordpress.com/2024/10/04/%e5%a4%a7%e9%98%aa%e5%b8%82%e6%95%99%e5%a7%94%e3%81%a8%e3%81%ae%e5%8d%94%e8%ad%b0%e5%a0%b1%e5%91%8a%ef%bc%882024%e5%b9%b49%e6%9c%8825%e6%97%a5%ef%bc%89/


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