◆ 請求棄却の不当判決
子どもへの人権侵害・国際法を無視
控訴して闘います
「君が代」調教NO!松田処分取消裁判原告 松田幹雄
11月28日、大阪地裁(横田昌紀裁判長)は、私の戒告処分取消請求を棄却しました。大阪市国旗国歌条例の下での初に判断であることや子どもの権利条約・国際人権自由権規約を根拠にした主張にどんな判断をするか、注目されましたが、判決文(リンク)は、子どもへの人権侵害や国際法を無視し、これまでの判決を踏襲するものでした。
しかしながら、判決文(リンク)は、高裁も無視できないのではないかと思われる大きな矛盾・問題を有しています。
第1に、子どもの人権、子どもの学習権に関する訴えを「原告は生徒の権利侵害を訴える法律上の利害関係を有していない(職務命令の名宛人は原告であって生徒ではない)」ことを理由として、まったく無視したことです。
証人尋問に向けて提出した陳述書(リンク)でも書いたように、私の「君が代」不起立不斉唱は、「君が代」の歴史・役割の認識に基づくとともに、卒業式とそれに至る「君が代」指導の総体が、「教育」と言えない「調教」と言ってもいい実態であり、自らの起立・斉唱がそのような子どもたちの人権侵害に手を貸す行為であるという認識に基づいています。
私が、「不起立不斉唱はこの『教員としての良心』に基づく」と主張している以上、「法律上の利害関係がない」を理由に、子どもの人権、子どもの学習権に関する訴えを無視するのは無理があるということです。
第2に、大阪市国旗国歌条例(リンク)と教育長通知(リンク)によって強制される教員の起立・斉唱の意味やそれがもたらす影響について、判決文が、「生徒らにとって教育指導として受け止められるとはいえず、原告に対して特定の教育方法を強制しているとは言えない」(判決文P36)とか「(教育長通知は)具体的な指導方法について定めるものではない」(判決文P39)としていることです。
ところが、教育長通知「記」の第2項は、「児童生徒に国旗・国歌を尊重する態度を育てる立場にある教員が、学習指導要領に基づき国歌を歌えるよう指導するとともに、自らも起立して国歌を斉唱することが教育の効果を高める大切な事項であることを教員に周知すること」なのです。大阪市国旗国歌条例・教育長通知は、教員の起立・斉唱を教育活動と位置づけているのです。
この判決文は明らかに誤りです。
第3に、私の不起立の影響について、「積極的に本件卒業式の進行を妨げるものではなく、原告の席が目立つ位置でなかったとしても、学校の儀式的行事としての式典の秩序や雰囲気を一定程度損なう作用をもたらし、それにより式典に参列する生徒らへの影響を伴うものである」(判決文P41~P42)としていることです。校長が私の席を、生徒、保護者、来賓から見えない位置に配置したために、私の不起立を見た生徒はいなかったと思われる中で、被告が、答弁書(P17)(リンク)で、最高裁平成24年1月16日判例に書いていたことだけを根拠に、本件の場合もそうであったと主張した部分を採用したものです。
私は、この答弁書主張に対して、原告第1準備書面(P38)(リンク)で、「原告にかかる本件卒業式とは全く異なる式典について判示した最高裁判決の内容から、本件において『公務の運営に支障を生じさせ』たという認定をするのは意味不明で、事実認定と評価について争う。本件の場合、式典の秩序や雰囲気は一切損なわれていない。また、原告の不起立を見た生徒がいない場合は、『式典に参列する 生徒への影響』もなかったといえる。仮に、原告の不起立を見た生徒がいた場合、『生徒への影響』というものがあり得るのかもしれないが、その『影響』とは何か、ということが明らかにされなければならない。」と反論しました。
それに対する被告の反論(被告第1準備書面P3~P4)(リンク)は「全国紙で掲載・報道されるなどして学校教育に対する生徒、保護者、社会の信用を大きく損なわせただけでなく、特に卒業式という節目となる式典において非違行為を行ったことで、生徒としてもその記憶は障害(ママ)にわたって残り得るのであり、影響はきわめて大きい。」というものであり、「式典の秩序や雰囲気は一切損なわれていない」との主張には全く反論しませんでした。私は、当然、被告第1準備書面のこのひどい主張に対しても、原告第3準備書面(P4~P5)(リンク)で詳しく反論しました。これらの経過の上で、判決文で、答弁書の記述をそのまま採用することは許されません。
第4に、国際法、特に、自由権規約にかかわる判断です。私は、10月28日提出の第8準備書面で自由権規約委員会日本審査(10月13日、14日)のやり取りを紹介し、11月7日提出の第9準備書面(リンク)で、10月28日に採択された同委員会の総括所見を紹介しました。
判決文(P38)(リンク)は、「自由権規約第18条について」で、「前記3の説示によると、本件各職務命令は、思想、良心及び宗教の自由を侵害するものとは言えないから、本件各職務命令は同項に違反するということはできない。」としています。しかし「前記3の説示」というのは、自由権規約委員会の日本審査で日本政府(文科省)が説明したことであって、それに対する回答が、「君が代」不起立に対する懲戒処分は許されないという内容の総括所見パラグラフ38・39(リンク)だったわけです。その勧告を全く否定し、国連にケンカを売った判決だと言えます。大阪地裁は、8月22日に結審したため、原告第8、第9準備書面は考慮外という立場だと思いますが、控訴審では、問題にならざるを得ません。重大な論点となるのは必至です。
私は、この不当判決に対して、控訴して闘います。私が陳述書(リンク)で述べた「君が代」起立・斉唱職務命令に従えない理由(私の「思想・良心」と「教員としての良心」の内容)についての判断を求め、「君が代」の歴史についての事実認定、大阪市国旗国歌条例・教育長通知の下での「調教」ともいえるような教育の実態・生徒の権利侵害の実態を事実認定させるとともに、子どもの権利条約・国際人権自由権規約を根拠とした処分取消の勝利判決を勝ち取ることをめざします。引き続きご支援をお願いします。
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