▲ 「小石川高校有志の会の歩み」
◆ 中高一貫校がもたらしたもの
都立小石川高校は〇六年度から四クラス約百六十人の中学生を迎え、六年制の都立小石川中等教育学校がスタートしました。
〇五年の夏、東京都教育委員会はこの新制小石川の中学歴史教科書として、「新しい歴史教科書をつくる会」が編纂し、扶桑社が発行する教科書を採択したのです。従来、公立区立一中学では教職員が中心となって教科書を採択しています。都立の中高一貫校となったことで、中学においては都教委が一方的に選ぶ教科書を押しつけられることになったのです。
◆ 「有志の会」の誕生
小石川より一年早く、都立で最初の中高一貫校となったのが白鴎高校附属中学校です。白鴎高校同窓生たちはいち早く「有志の会」を結成し、「扶桑社版教科書採択に抗議する運動」を始めていました。彼らが主催した「教科書問題を考える集い」に参集した小石川卒業生や元教員ら五名が、ここで初めて顔を合わせました。まさしく私たちの会が産声をヒげた瞬間でした。公教育の将来を憂い、大きな危倶を抱いた者たちが「いまからでも何かができるはず」と、立ち上がったのがこの「小石川有志の会」なのです。
◆ 「伝えること学ぶこと」から始める
〇五年八月の発足以来、約十名の世話人が中心となって毎月会合を開き、会を運営してまいりました。一か月後にはインターネットでメールニュースを配信。また、半年後にはホームページを開設し、会員相互の情報交換を図っています。
同時に、私たちは「学ぶこと」を始めました。「扶桑社版教科書には実際にどんなことが書いてあるの?」そんな疑問に答えるべく、模擬授業を開き、ゼミ形式で各社の教科書を比較検討しながら読み合わせをしてきました。
また、定期的に.公開学習会を開催しました。多くの方々と忌揮のない意見を交換しながら、教育の在り方を問い続けてきました。勉強会や集会を重ねて語り合ってきたいま、かけがえのない「小石川らしさ」というものが、確かにあることを強く感じています。
◆ 「教育の自由」はどこに
小石川高校は創立以来、「立志・開拓・創作」という建学の理念を継承してきました。生徒の自主・自律の精神を尊重し、その全人的成長を促す「自由-自治」の教育を基本方針としています。その小石川で現場の教員たちに「教科書を選ぶ権利」があたえられていないことに大きな憤りを感じます。
従来、小石川高校の先生方の多くは教科書一辺倒ではなく、プリントなどの副教材を多用され、教え方を工夫してこられました。今回の教科書採択が、そのまま小石川での教育の偏りを招くと考えるのは杷憂に過ぎないのかもしれません。しかし、このような動きを仕方ないと放置することは、脈々と引き継がれてきた「小石川らしさ」を手放すことに通じるのでないでしょうか。
◆ 「小石川らしさ」の継続を願って
当会の再三にわたる抗議や請願もむなしく、〇五年の歴史教科書に引き続き、〇七年には公民教科書も扶桑社版が採択されてしまいました。
扶桑社版の.歴史・公民教科書はその特異なメッセージ性で話題を呼び、何度もマスコミに取り上げられ物議をかもしています。全国的に見ても、多くの採択区がこの教科書に「NO!」という判断を下し、結果として扶桑社版歴史教科書の採択率はわずか○.四%にとどまっています。
なぜ、このような教科書を都教委はあえて採択したのでしょうか。中学生にとって本当によりよい教科書と判断したのでしょうか。
いま大切なのは教科書採択制度について冷静に検討し、教育的見地にたって問題点を指摘するとともに、教職員の意見が尊重される採択制度に立ち返る世倫を大きく広げることではないでしょうか。
私たちの目指す道はいまだ険しく、国や都の示す教育の方向性には疑問を禁じえません。
しかし諦めることなく、「小石川の教育の自由保証」を求めて地道に活動を続けていくつもりです。「小石川らしさ」が、これからも次世代の若者を豊かに育んでいくことを心から願いつつ。
『むらさき草通信』Vol.1より
教科書問題を考える小石川高校有志の会
http://www.k-yuusi.jp/
教科書問題を考える小石川高校有志の会
◆ 中高一貫校がもたらしたもの
都立小石川高校は〇六年度から四クラス約百六十人の中学生を迎え、六年制の都立小石川中等教育学校がスタートしました。
〇五年の夏、東京都教育委員会はこの新制小石川の中学歴史教科書として、「新しい歴史教科書をつくる会」が編纂し、扶桑社が発行する教科書を採択したのです。従来、公立区立一中学では教職員が中心となって教科書を採択しています。都立の中高一貫校となったことで、中学においては都教委が一方的に選ぶ教科書を押しつけられることになったのです。
◆ 「有志の会」の誕生
小石川より一年早く、都立で最初の中高一貫校となったのが白鴎高校附属中学校です。白鴎高校同窓生たちはいち早く「有志の会」を結成し、「扶桑社版教科書採択に抗議する運動」を始めていました。彼らが主催した「教科書問題を考える集い」に参集した小石川卒業生や元教員ら五名が、ここで初めて顔を合わせました。まさしく私たちの会が産声をヒげた瞬間でした。公教育の将来を憂い、大きな危倶を抱いた者たちが「いまからでも何かができるはず」と、立ち上がったのがこの「小石川有志の会」なのです。
◆ 「伝えること学ぶこと」から始める
〇五年八月の発足以来、約十名の世話人が中心となって毎月会合を開き、会を運営してまいりました。一か月後にはインターネットでメールニュースを配信。また、半年後にはホームページを開設し、会員相互の情報交換を図っています。
同時に、私たちは「学ぶこと」を始めました。「扶桑社版教科書には実際にどんなことが書いてあるの?」そんな疑問に答えるべく、模擬授業を開き、ゼミ形式で各社の教科書を比較検討しながら読み合わせをしてきました。
また、定期的に.公開学習会を開催しました。多くの方々と忌揮のない意見を交換しながら、教育の在り方を問い続けてきました。勉強会や集会を重ねて語り合ってきたいま、かけがえのない「小石川らしさ」というものが、確かにあることを強く感じています。
◆ 「教育の自由」はどこに
小石川高校は創立以来、「立志・開拓・創作」という建学の理念を継承してきました。生徒の自主・自律の精神を尊重し、その全人的成長を促す「自由-自治」の教育を基本方針としています。その小石川で現場の教員たちに「教科書を選ぶ権利」があたえられていないことに大きな憤りを感じます。
従来、小石川高校の先生方の多くは教科書一辺倒ではなく、プリントなどの副教材を多用され、教え方を工夫してこられました。今回の教科書採択が、そのまま小石川での教育の偏りを招くと考えるのは杷憂に過ぎないのかもしれません。しかし、このような動きを仕方ないと放置することは、脈々と引き継がれてきた「小石川らしさ」を手放すことに通じるのでないでしょうか。
◆ 「小石川らしさ」の継続を願って
当会の再三にわたる抗議や請願もむなしく、〇五年の歴史教科書に引き続き、〇七年には公民教科書も扶桑社版が採択されてしまいました。
扶桑社版の.歴史・公民教科書はその特異なメッセージ性で話題を呼び、何度もマスコミに取り上げられ物議をかもしています。全国的に見ても、多くの採択区がこの教科書に「NO!」という判断を下し、結果として扶桑社版歴史教科書の採択率はわずか○.四%にとどまっています。
なぜ、このような教科書を都教委はあえて採択したのでしょうか。中学生にとって本当によりよい教科書と判断したのでしょうか。
いま大切なのは教科書採択制度について冷静に検討し、教育的見地にたって問題点を指摘するとともに、教職員の意見が尊重される採択制度に立ち返る世倫を大きく広げることではないでしょうか。
私たちの目指す道はいまだ険しく、国や都の示す教育の方向性には疑問を禁じえません。
しかし諦めることなく、「小石川の教育の自由保証」を求めて地道に活動を続けていくつもりです。「小石川らしさ」が、これからも次世代の若者を豊かに育んでいくことを心から願いつつ。
『むらさき草通信』Vol.1より
教科書問題を考える小石川高校有志の会
http://www.k-yuusi.jp/
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