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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

杉並区:歴史教科書に関ずるアンケート

2008年01月10日 | 平和憲法
 ▲ 杉並で扶桑社版歴史教科書が使われて1年半
 現場の先生達は、どんな思いで、どのようにこれを使っているのか?

2007年9月 杉並区立中学校保護者有志

 <歴史教科書に関ずるアンケート>

 扶桑杜版『新しい歴史教科書』について、以下の質問にお答え頂ければ幸いです。 回答12通(杉並区立中23校)

1、扶桑杜版『新しい歴史教科書』を、教科書として使いにくいと思ったことはありますか?
 ①ある。10  ②ない。1  ③まだ使っていない。1

1-2①とお答えになった方は、どんな点が使いにくいか具体的にお書き下さい。
 ・今までの歴史観・教材観と大きく違っており、自分の考え方を否定されているようで使えない。
 ・内容、表現ともに問題点が多すぎる。
 ・「そんなことはないでしょう」「そうじゃないでしょ?」と考えられる内容表現が多すぎる。
 ・文章表現が主観的である。
 ・表現が主観的(例えばP.38「蘇我氏の横暴」)
 ・資料(史料)の使い方に問題がある(例えばP.37の上、日本書紀がいつ、どのような考え方でつくられたかの説明無しに、「天皇」号しようの根拠として示す)。
 ・文章(文体)が難しい。
 ・流れがつかみにくい構成になっている部分があった。
 ・史料に、使用目的がはっきりしていない図、史料がある。
 ・写真、図などが適切でない。
 ・記述が古い。
 ・記述が多いところと少ないところがあり、やりづらい。
 ・歴史用語が他社と異なるものがあり、資料集やワークとそぐわない。
 ・政治史・文化史中心で、それも羅列的、知識(語句)優先。社会史・経済史・外交史への目配りが薄い。

2・教科書と併用してお使いになっている副教材は、どのような教材ですか?(複数回答)
 ①市販の資料集 10  ②市販の問題集 6  ③手作りの資料 6  ④その他 O

3、杉並区の、2005年度教科書調査委員会報告書の総合所見によれば、扶桑祉版は「一面的な記述が多いので多面的なものの見方を育てることにつながらない」と指摘されていますが、それを授業でどのように補っていますか?(複数回答)
 ①特にしていない。                 0
 ②別の見解や歴史史実を口頭で説明している。9
 ③別の資料を活用して説明している。      3
 ④その他。                      2 (内1人は未使用)
・教科書の流れに沿ってやっているが、中の文章を読んだりすることはほとんどない。どの教科書でも授業の内容・スタイルは変わらないということでず。
・歴史は語り方によって(立場によって)まったく違ったものになることに気付かせる。

4、授業のやり方・内容で、校長先生やその他の方から指示や留意事項及び注意を受けたことがありますか?ある方はどなたから、どのような注意をされましたか?
 ・どなたから:校長
 ・どのような:・検定で通っている教科書だから使うように。
         ・教科書を出して勉強させるように。
         ・数科書を批判しないように。

5、現在使っている扶桑祉版『新しい歴史教科書』を、他の教科書に取り替えてほしいですか。
 ①取り替えたい      10
 ②現在の教科書がいい  0
 ③その他          2 (内1人は未使用)

6、この教科書のことが、同僚の先生との間で話題になることはありますか?
 ①ある 11
 ②ない  O
 無回答  1

7、この教科書を使用することで、子供たちになんらかの影響や不利益があると思いますか?あるとすれぱどのようなことですか?
 ・一面的天皇中心の歴史観を強調しており、日本の伝統文化は天皇制であると押し付けている。日本の民衆のカや歴史のダイナミズムを学ぶことが出来ない。
 ・歴史を科学として捉えず、道徳の教材のように扱おうとしている。資料をもとに生徒が想像したり、深く考えさせたりというよりも、「ねばならぬ」約印象が強い。
 ・この教科書の記述は「歴史学」ではなく「歴史物語」なので、歴史を構造的につかまえる視点や考えるカが育ちにくいと思う。
 ・この教科書でそのまま教えてはいないが、問題集をやらせていて困ることがあった。
 ・教科書の用語以外に一般的な用語も覚えねばならず、混乱し易い。
 ・卑近なことで言えば、教科書準拠のワークがない
 ・受験に使う大事な資料と内容です。歴史の流れの理解や語句も、重要な点で、大きく他の教科書や問題集と指摘が違います
 ・国家主義の思想に染まってしまい、人権や自由、人間らしさや真に大切にしなければならないことを見失ってしまうかもしれない、という心配が大いにある。
 ・多面的な視野にたっての考察に支障が出る。
 ・子どもは教科書の内容を最も信頼するものなので、勉強熱心な子どもほど影響を受けるでしょう。

8、歴史という教科の指導で、大切に思っていることがおありでしたらお書き下さい。
 ・事実を伝えること
 ・事実認識に基づいての指導。
 ・教える側が、常に、真実は何であるかを見定めようとする気持ちを忘れない。
 ・述べてある内容が、なるべく通説(学会や世論)であってぼしい。
 ・中立の立場で行う。
 ・社会科というのは、様々な意見や考え方があります。その中で、歴史も学会で意見がたたかわされて進歩しています。現在の学会の水準で歴史を教えていきたいと考えます。
 ・立場が違えば、「事実」の見方、評価は変わるもの。他の立場からの見方、評価もしっかり学ぶようにする。
 ・様々な見解の中から、生徒自身が自分なりの歴史の見方が出来るように努力している。
 ・戦争に関しては、権力者でなく一般庶民の視点、経済の視点からの記述を多くし、現実感を持たせること。
 ・日本は人類の歴史の中で大戦を引き起こしてきた。これを繰り返さないためには、偏狭な自国中心主義、即ち天皇史観は絶対に許してはならない。
 ・権力を持つものが記録してきた集大成をなぞりながら、庶民の暮らしや願いが見えてくる楽しさを授業で理解させるようにしたい。
 ・自分の生きている現在、これから生きていく未来は、これまでの歴史の秘み重ねの上に成立しており、自己と無縁ではありえないということ。
 ・時代の全体をトータルにつかまえる視点を持たせたい、また、時代の変化には必然的な理由があることに気付かせたい。社会を構造としてつかむカを育てたい。

9、教科書や学校教育全般について、保護者に望むことは何ですか?
 ・こんな教科書を採決した教育委員・区長の不見識は疑う余地がない。どんな国にしたいというのか。民主主義を否定する方向が益々強くなっている。
 ・危険な思想を含むようなものを教科書として使用することがないよう、お一人お一人がカを結集して行政に意見していただければ、大変嬉しいです。学校の教育活動に、お力添えをよろしくお願いします。
 ・役所は「苦情」に弱い。もっともっと発言、抗議の声を(特に現役の保護者から)あげていただきたい。
 ・逆に、多くの保護者がこの教科書をどう思っているのかを知りたい。また、杉並の右傾化をどう思うのかも合わせて知りたい。
 ・民営化されゆく教育界と保護者が育った教育とがかけ離れている現実を認識してほしい。
 ・主事さんが何年間か同じ人だったら親しみも深まるが、主事業務の民間委託によって、一年で交替してしまう学校もでてきた。コストのために人的安定を揺さぶる行政は疑問。
 ・プールでの事故が報道されると急に監視員を派遣、ところが翌年には来ない等、その場しのぎの対応が多すぎる。保護者もまどわされないでほしい。

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