▼ 学費が払えない 進学断念の理由(2)
【進学断念の事例】
(進路指導研究会アンケート調査回答より抜粋、一部本紙による再構成部分あり。)
○大学のAO入試合格後、保護者が初年度納入金を調達できないことが分かって辞退。(千葉公立)
○大学を指定校推薦で合格したが、予定していた資金にめどが立たず、進学先大学は入学金等の支払いを一時猶予するとしていたが、進学を断念した。(神奈川公立)
○公募推薦で合格したが、親が銀行から借りられると思っていたが、結局借りられずに、1年間アルバイトをして改めて受け直すように親から言われ断念をした。(東京公立)
○推薦で合格したが入学金等の納入時期が早く、納入が困難となった。(長野公立)
○合格後、親が失職し入学辞退。(長野公立)
○合格してから入学に要する資金が用意できず辞退した。就職も決まらず進学もできない生徒が今年は多数出ると予想される。(茨城私立)
○志望校も決まっていたが、奨学金の申請が不採用となり進学を断念し、就職希望に変更せざるを得なくなった。(新潟公立〉
○奨学金の受け取りが始まる前の入学金が捻出できない。(新潟公立)
○母子家庭で父親の援助が受けられない。奨学金を返せるか不安なのでリスクは背負いたくない。(東京私立〉
○高校の授業料の滞納が続き、大学進学どころではない。(東京私立)
○高校の学費も自分のアルバイト代で支払う生徒が多い現状。進学費用を負担できる経済力がなくあきらめるケースが多い(静岡公立)
○成績も上位で大学進学を希望していたが、母親一人で家計を支えていたために断念し、就職を選択した。(茨城公立)
○父親の勤務先の業績が悪化したことで進学から就職に。(栃木公立)
○親の突然のリストラ等で、進学断念・事態が増加している。(群馬公立)
○本人は大学または、専門学校を考えていたが父親のリストラで進学を断念。(埼玉公立)
○都立看護学校進学希望者が、家庭にお金を入れなければならないと就職した。(東京公立)
○進学・就職のクラス分けの際、進学を希望しながら家庭の事情で就職に変更した生徒がいた。(茨城公立)
○大学から短大へ進路変更、短大から就職へ進路変更。(千葉公立)
○地元での進学が増加している。(新潟私立)
○卒業後1年働き、進学資全を蓄えてから進学を考える生徒が毎年存在する。(東京公立)
○本年の傾向として、「進学から就職」という変更より、逆に求人数の激減に伴い「就職から進学」というパターンが多数あり。(群馬公立)
▼ 現場の声を聞いて 日本学生支援機構
公的な奨学制度を扱う機関の代表である独立行政法人日本学生支援機構。「自力進学」をテーマとした進路指導研究会(ライセンスアカデミー主催)に参加をした同機構奨学事業部副部長の二木啓子氏に話を伺った。
ー高校現場の声を聞いた感想は
高校の先生方が、当機構の奨学金だけでは進学が難しい生徒のために奨学金情報収集に苦労されていることや、大学等の上級学校がさまざまな支援制度をつくられていることをお聞きできてとても参考になりました。改めて、当機構の奨学金が多くの方にご利用いただいていることを実感しました。これは申請者の数字を見ることだけでは感じることのできない現実でした。
ー日本学生支援機構の奨学制度は利用者に正しく理解されているか
私たちの広報の部分にもなりますが、高校や上級学校には文書、生徒向けのガイドブック等で周知を図っています。上級学校は、奨学金の担当者が決まっていますので、かなり理解をいただいていると思います。しかし高校の場合はご担当者の異動もあり、情報の蓄積に差が出る現状もあると考えます。
説明用のパンフレットの記載事項が多いとの声をいただいておりましたので、今はかなりシンプルな内容にしています。ただ、どうしても申請に必要な情報を盛り込むとなると、削減には限界があることをご理解をいただければと思います。
ー奨学金の利用状況の変化について
奨学金の貸与人員と貸与金額の総計は、年々増加しています。第一種奨学金と第二種奨学金では財源が異なります。一種の予算枠を増やすことは厳しいのですが、二種はかなりの増加率です。無利子の一種を希望される方が増えておりますので、ご希望に添えない場合もありますが、二種でも現在1%前後の利息ですので、他のローンと比べるとかなり借りやすいと思います。
ー給付型奨学金について
希望が寄せられていることは承知していますが、国の政策になりますので、国会審議の結果を待つことになります。
ー返還についての申請者の意識は
よく回収率の問題が聞かれますが、新規返還者について、平成18年で93.7%、平成20年で96.3%と返還率が上昇しています。
私たちから返還者の方に望むことは、返還が難しい状況になったら、すぐに相談してほしいということです。審査をさせていただいて、猶予することも司能です。
返還金は次の利用者の原資にもなります。きちんと返還していくためには、必要以上に借りすぎないことも大切です。卒業後に返していくシミュレーションをしないと、どうしても安易に借りてしまいがちです。当機構では、ホームページ上で貸与と返還のシミュレーションができますので、ご利用ください。
高校では、保護者の方も含めて、早い段階で奨学制度のご理解をしていただき、資金計画を立ててほしいと思います。ホームページでの情報収集を積極的にしていただければと思います。
私たちもさまざまなご意見を参考にさせていただき、ご利用しやすい体制をつくっていきたいと考えています。
『大學新聞』(第67号 2010/2/1)
【進学断念の事例】
(進路指導研究会アンケート調査回答より抜粋、一部本紙による再構成部分あり。)
○大学のAO入試合格後、保護者が初年度納入金を調達できないことが分かって辞退。(千葉公立)
○大学を指定校推薦で合格したが、予定していた資金にめどが立たず、進学先大学は入学金等の支払いを一時猶予するとしていたが、進学を断念した。(神奈川公立)
○公募推薦で合格したが、親が銀行から借りられると思っていたが、結局借りられずに、1年間アルバイトをして改めて受け直すように親から言われ断念をした。(東京公立)
○推薦で合格したが入学金等の納入時期が早く、納入が困難となった。(長野公立)
○合格後、親が失職し入学辞退。(長野公立)
○合格してから入学に要する資金が用意できず辞退した。就職も決まらず進学もできない生徒が今年は多数出ると予想される。(茨城私立)
○志望校も決まっていたが、奨学金の申請が不採用となり進学を断念し、就職希望に変更せざるを得なくなった。(新潟公立〉
○奨学金の受け取りが始まる前の入学金が捻出できない。(新潟公立)
○母子家庭で父親の援助が受けられない。奨学金を返せるか不安なのでリスクは背負いたくない。(東京私立〉
○高校の授業料の滞納が続き、大学進学どころではない。(東京私立)
○高校の学費も自分のアルバイト代で支払う生徒が多い現状。進学費用を負担できる経済力がなくあきらめるケースが多い(静岡公立)
○成績も上位で大学進学を希望していたが、母親一人で家計を支えていたために断念し、就職を選択した。(茨城公立)
○父親の勤務先の業績が悪化したことで進学から就職に。(栃木公立)
○親の突然のリストラ等で、進学断念・事態が増加している。(群馬公立)
○本人は大学または、専門学校を考えていたが父親のリストラで進学を断念。(埼玉公立)
○都立看護学校進学希望者が、家庭にお金を入れなければならないと就職した。(東京公立)
○進学・就職のクラス分けの際、進学を希望しながら家庭の事情で就職に変更した生徒がいた。(茨城公立)
○大学から短大へ進路変更、短大から就職へ進路変更。(千葉公立)
○地元での進学が増加している。(新潟私立)
○卒業後1年働き、進学資全を蓄えてから進学を考える生徒が毎年存在する。(東京公立)
○本年の傾向として、「進学から就職」という変更より、逆に求人数の激減に伴い「就職から進学」というパターンが多数あり。(群馬公立)
▼ 現場の声を聞いて 日本学生支援機構
公的な奨学制度を扱う機関の代表である独立行政法人日本学生支援機構。「自力進学」をテーマとした進路指導研究会(ライセンスアカデミー主催)に参加をした同機構奨学事業部副部長の二木啓子氏に話を伺った。
ー高校現場の声を聞いた感想は
高校の先生方が、当機構の奨学金だけでは進学が難しい生徒のために奨学金情報収集に苦労されていることや、大学等の上級学校がさまざまな支援制度をつくられていることをお聞きできてとても参考になりました。改めて、当機構の奨学金が多くの方にご利用いただいていることを実感しました。これは申請者の数字を見ることだけでは感じることのできない現実でした。
ー日本学生支援機構の奨学制度は利用者に正しく理解されているか
私たちの広報の部分にもなりますが、高校や上級学校には文書、生徒向けのガイドブック等で周知を図っています。上級学校は、奨学金の担当者が決まっていますので、かなり理解をいただいていると思います。しかし高校の場合はご担当者の異動もあり、情報の蓄積に差が出る現状もあると考えます。
説明用のパンフレットの記載事項が多いとの声をいただいておりましたので、今はかなりシンプルな内容にしています。ただ、どうしても申請に必要な情報を盛り込むとなると、削減には限界があることをご理解をいただければと思います。
ー奨学金の利用状況の変化について
奨学金の貸与人員と貸与金額の総計は、年々増加しています。第一種奨学金と第二種奨学金では財源が異なります。一種の予算枠を増やすことは厳しいのですが、二種はかなりの増加率です。無利子の一種を希望される方が増えておりますので、ご希望に添えない場合もありますが、二種でも現在1%前後の利息ですので、他のローンと比べるとかなり借りやすいと思います。
ー給付型奨学金について
希望が寄せられていることは承知していますが、国の政策になりますので、国会審議の結果を待つことになります。
ー返還についての申請者の意識は
よく回収率の問題が聞かれますが、新規返還者について、平成18年で93.7%、平成20年で96.3%と返還率が上昇しています。
私たちから返還者の方に望むことは、返還が難しい状況になったら、すぐに相談してほしいということです。審査をさせていただいて、猶予することも司能です。
返還金は次の利用者の原資にもなります。きちんと返還していくためには、必要以上に借りすぎないことも大切です。卒業後に返していくシミュレーションをしないと、どうしても安易に借りてしまいがちです。当機構では、ホームページ上で貸与と返還のシミュレーションができますので、ご利用ください。
高校では、保護者の方も含めて、早い段階で奨学制度のご理解をしていただき、資金計画を立ててほしいと思います。ホームページでの情報収集を積極的にしていただければと思います。
私たちもさまざまなご意見を参考にさせていただき、ご利用しやすい体制をつくっていきたいと考えています。
『大學新聞』(第67号 2010/2/1)
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