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学費が払えない 進学断念の理由(1)

2010年02月10日 | こども危機
 ▼ 学費が払えない 進学断念の理由(1)

 2009年10月から12月にかけ、全国30会場で高校教員を対象とした「進路指導研究会」(主催ライセンスアカデミー)が開催された。同研究会は経済不況が高校生の家計に大きな影響を及ぼしていることを背景に「自力進学」をテーマとし、現状の把握と今後の対応についての情報交換が行われた。同研究会の取材を通して、家計が疲弊し、希望する上級学校への進学を断念せざるを得ない高校生の現状が明らかになった。
 ■ 学費に悩む高校生の実態 進路指導研究会
 進学研究会資料作成のため、事前に高校に対してアンケート調査(1都10県の高校に対する質問紙調査、回答数397校)を行った結果、高校現場の深刻な現状が浮き彫りとなった。
 図表1で、経済的理由で進学辞退へとつながった(または相談)事例があるかとの問いに対して、70%の高校が、「ある」、もしくは「増加傾向」と回答した。多くの高校では日常的な事象になっているといっても過言ではない。
 進学断念の主な理由として該当する項目は、図表2の通り、学費・初年度納入金が払えない63.7%がトップで、費用を捻出できず進学できないという切実な状況だ。また、奨学金を利用して、進学を試みようとしても、保護者の問題で受給資格が得られないケースが11.6%あり、事態は深刻である。
 学費を工面できないか、家計の補助にするためか、子どもに就職を勧める保護者もおり、家庭内の雰囲気(進学のことを相談しづらい)から生徒自ら進学を断念するという、何とも切ない実態も明らかになった。
 進学支援の要である奨学金には公的、上級学校独自のものなど、いくつかの種類があるが、学校独自の奨学金についての改善希望項目では、採用人数を増やすことが32.7%と一番割合が高く、なるべく多くの生徒に利用させたいという教員側の要望が見受けられる。
 同研究会は各会場ともに、代表の高校より基調講演、その後参加高校と大学、専門学校等、上級学校担当者による情報交換の流れで進行された。参加した研究会での印象は、高校側からは、事前アンケートにあった深刻な事例が、数多く発表され、上級学校側への経済支援制度の拡充を求める声があがった。
 上級学校側でも、修学の継続が経済的理由で困難な在学生を抱えており、改めて問題の大きさが分かった。
 この現状を改善するためには、学校現場での努力には限界がある。今後、教育行政としてどのような政策を取るのかが問われてくるだろう。
 同研究会のテーマである「自力進学」は奨学金、教育ローン、アルバイトを組み合わせて、進学を可能にする方法である。その実現のためには、進学支援制度の早めの情報収集がポイントとなってくる。
 (続)

『大學新聞』(第67号 2010/2/1)

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