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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

非正規・成果主義を見直し

2008年08月13日 | 格差社会
   ◆ 08年版『労働経済白書』 ◆
 ◇ 非正規・成果主義を見直し


 厚生労働省編集の08年版『労働経済白書』は、1990年代から急増した非正規労働者(白書は「正規外の従業員」と呼ぶ)の正規化と、業績・成果主義賃金制の見直しを提唱した。その背景として少子高齢化に伴う労働力人口の減少、若年ばかりか中高年層にも広がる労働意欲の減退、技能・技術の断層化などの問題を指摘した。


 『白書』が説く目標は産業の競争力と労働生産性を阻害する要因を克服し、持続的な経済成長を可能とする高度な産業構造を構築すること。
 その鍵を握るのが若年者と子育て期の女性、高齢者の労働力活用(就業参加)の促進だ。 こうした労働政策の実現に、非正規雇用と業績・成果主義賃金制が障害となっていると踏み込んだ。

 まず労働経済の現状を見ておこう。労働力人口は6669万人(07年平均)。同10-12月期の就業者6420万人、雇用者5532万人(過去最高)。07年平均の完全失業率3.9%(過去最高は03年4月の5.5%、08年6月は4.1%)、完全失業者数257万人(15-24歳は8.3%)、有効求人倍率1.04倍(08年6月0.91倍)。

 07年の一人当たり年間総労働時間は1808時間(90年2042時間)、月平均150.7時間(但し所定内139.7時間と前年比0.6%減、所定外11.0時間と0.8%増)。
 賃金総額は3年ぶりに減少し、月3万313円。労働分配率は06年69.3%(ピークは01年の75.1%)、資本金10億円以上の大企業の分配率は53.3%と低い。
 勤労世帯一世帯当たり貯蓄は1264万円だが平均値以下が66.9%を占める。住宅ローン等の負債は一世帯624万円。貯蓄の取り崩しが目立っている。

 こうしたなか、非正規雇用は1725万人(33.7%)でほとんどの業種で増えている。うち派遣は2.4%、1日単位の日雇い派遣はその84.0%、35歳未満が68.8%を占める。ーカ月平均就労日数は14日、平均月収13万3000円、年収159万6000円ワーキングプアだ。
 企業にとって非正規雇用は、労働コスト削減や繁閑に応じ使い捨て可能な労働力調整弁。500人以上規模の企業でこの10年間に16.1%から30.1%に、1~29人規模ではこの20年間に26.8%から39.2%に増えた。

 そこで個別企業レベルで「地道に育てられた人材の枯渇」問題が浮上。産業レベルでは、労働生産性の低いサービス業などに人材が集中し、生産性の高い製造業で人員削減と長時間労働(25-29歳で月194時間の残業)が問題となった。このため『白書』はサービス部門に正規雇用増を、製造部門に労働時間の短縮を求めている。
 また、15~34歳のフリーターがこの4年間に36万人減の181万人となった。しかし、25~34歳の”年長フリーター”の滞留が目立ち(92万人)、『白書』はこの対策の緊要性を訴えている。

 もっとも、雇用形態の多様化に伴い、仕事優先主義や会社への帰属意識が薄れ、仕事や会社への不満から若年者の離職に加え、新たに40~50代の離職が増えている。これを『白書』は「深刻な問題」と警鐘。その原因となったのが*業績・成果主義賃金制だ。賃金決定の在り方が集団的労使関係から個別評価方式に変わったものの総額人件費枠は変わらず、格差が拡大、働きがいを損なって離職に至るケースが無視できぬほどに広がった。

 『白書』は業績・成果主義賃金制の検討を促し、「日本型雇用慣行の利点を活かしつつ新しい時代にふさわしい雇用慣行を構築していくことが課題」と踏み込んだ。さらに労働の動機付けとして雇用の拡大、賃金の上昇、労働時間の短縮に「仕事の内容」を加え、「働きがいのある社会」の制度設計を提言した。
 『白書』から、90年代の労資関係の限界と変動の兆しが読み取れる。

『週刊新社会』(2008/8/12)

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