▼ 放射線がいかに人間の体を痛めつけるか。それを伝えるため生かされている…(TOKYO Web)
「放射線がいかに人間の体を痛めつけるか。それを伝えるために生かされていると思っているんです」。爆心から八百五十メートル余の旧制広島一中の校舎で被爆した児玉光雄さん(80)は静かに語る
▼還暦の時からがんの手術を十九回も受けた。直腸、胃、甲状腺、十六回にわたる皮膚がん…。至近距離で被爆した人に見られる「重複がん」と呼ばれる症状だ
▼あの日朝、通学した同期生約三百人のうち、生き延びたのは二十人足らず。倒壊した校舎から奇跡的に脱出した児玉さんも四〇度を超える高熱や歯茎からの出血、下痢に苦しみ、頭髪が抜け落ちた。生き残った仲間も多くが若くしてがんで亡くなり、今も健在なのは二人だけになった
▼五年前、放射線影響研究所で染色体を調べる機会があった。画像を見ると、切断された一部が修復されずに、別の染色体につながってしまう転座という異常が起きていることが分かった
▼数値から推定すると、児玉さんが浴びた放射線量は四・六グレイ。二人に一人が亡くなる半致死量のガンマ線四グレイを超えていた。血液をつくる幹細胞が傷つけられたので治らないと専門家に言われ、「腰が抜けそうになるほど落ち込んだ」という
▼積極的に被爆体験を語るようになったのはこの後だ。体験を次代に継承する育成講座の講師も務める児玉さんは命ある限り訴える。「核と人類は共存し得ない」
『東京新聞』(2013年8月5日【筆洗】)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2013080502000107.html
「放射線がいかに人間の体を痛めつけるか。それを伝えるために生かされていると思っているんです」。爆心から八百五十メートル余の旧制広島一中の校舎で被爆した児玉光雄さん(80)は静かに語る
▼還暦の時からがんの手術を十九回も受けた。直腸、胃、甲状腺、十六回にわたる皮膚がん…。至近距離で被爆した人に見られる「重複がん」と呼ばれる症状だ
▼あの日朝、通学した同期生約三百人のうち、生き延びたのは二十人足らず。倒壊した校舎から奇跡的に脱出した児玉さんも四〇度を超える高熱や歯茎からの出血、下痢に苦しみ、頭髪が抜け落ちた。生き残った仲間も多くが若くしてがんで亡くなり、今も健在なのは二人だけになった
▼五年前、放射線影響研究所で染色体を調べる機会があった。画像を見ると、切断された一部が修復されずに、別の染色体につながってしまう転座という異常が起きていることが分かった
▼数値から推定すると、児玉さんが浴びた放射線量は四・六グレイ。二人に一人が亡くなる半致死量のガンマ線四グレイを超えていた。血液をつくる幹細胞が傷つけられたので治らないと専門家に言われ、「腰が抜けそうになるほど落ち込んだ」という
▼積極的に被爆体験を語るようになったのはこの後だ。体験を次代に継承する育成講座の講師も務める児玉さんは命ある限り訴える。「核と人類は共存し得ない」
『東京新聞』(2013年8月5日【筆洗】)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2013080502000107.html
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます