【投稿】本日の朝日朝刊の記事より(2009/6/23 11:04)
本日の朝日新聞「身近な電磁波、体に大丈夫?携帯の子どもの影響など調査開始」という記事がありました。
唖然とするような文面がありましたので、ご紹介いたします。
https://aspara.asahi.com/blog/science/entry/guKNBuCIlD
> 携帯電話や基地局の電磁波などの健康影響は、97年から専門家による委員会で10年間にわたって調べられ。07年に「健康に影響を及ぼすという確固たる証拠は認められない」との報告を総務省が公表。
> 日本では、通信の電波は人体への影響についての基準を示す国の「電波防護指針」の対象で指針が守られているため健康影響はないという。
どっひゃー
総務省に何件の健康被害の相談があったか、公表していただきたいものです。
◆ 電磁波って何?
携帯電話やテレビ、様々な家電製品。身の回りに「電磁波」を利用する機器は多い。健康影響を心配する人もおり、研究も盛んだ。最近は、携帯電話の子どもへの影響や、IH調理器から発生する周波数の電磁波など、研究データが少なかったところに注目が集まっている。
◇携帯の子どもへの影響など調査開始
「電磁波」と一言で言っても種類はいろいろある。目に見える光も電磁波の一種。そのほか、周波数によって、レントゲン写真に使われるX線、紫外線、赤外線、電波などに分かれる。永久磁石の磁場も「静磁界」と呼ばれる周波数0ヘルツの電磁波の一種だ。
いわゆる電磁波(電波)の健康影響について関心が集まったのは、70年代に米国で高圧送電線に近い住宅地で小児白血病の危険度(リスク)が高い、との研究結果が発表されたことなどが発端だ。
電子機器が身近になるにつれ、さらに関心が高まり、世界保健機関(WHO)は96年、日本などの参加国と電磁波のリスクについて調べる国際プロジェクトを始めた。周波数が0~300ギガヘルツの様々な電磁波の影響を調べている。
WHOは市民への情報提供も提言しており、日本では08年、財団法人電気安全環境研究所に「電磁界情報センター」が設けられた。電磁波について「中立的な立場」で最新情報を提供するという。
◇注目呼ぶ中間周波
WHOの調査にもかかわった同センターの大久保千代次・所長は「WHOは一般的な生活環境であびるような電磁波による健康影響を示す明らかな証拠はないとしているが、専門家が考えるリスクと、国民の考えるリスクには違いがある」と話す。
電磁波の健康影響については、様々な調査や見解がある。たとえば10万人あたり数人の割合で発症する小児白血病のリスク。国際的な疫学調査で高圧送電線の電磁波と統計学的には関連があるとされたが、動物実験では電磁波を浴びせ続けても発症した例はないという。
大久保さんによれば、送電線などが関係する周波数の低い「超低周波」や、携帯電話や電子レンジが関係する「高周波」の電磁波の研究が多く、その間にある「中間周波」の研究は少なかった。しかし、最近はIH調理器やパソコンのモニター、商品の管理に使われる電子タグなど、中間周波を発生・利用する機器が増え、注目が高まってきた。
一般的な環境で発生する中間周波は、国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)が指針で決めた人体に影響を与えない基準を満たすが、大久保さんらは念のため、細胞や動物への影響を調べ始めた。
約20年で急速に普及が進んだ携帯電話については、WHOの研究の一環として国際がん研究機関(IARC)で、日本を含む13カ国が参加して評価の検討を進めており、近く報告をまとめる見通しという。
携帯電話や基地局の電磁波などの健康影響は、97年から専門家による委員会で10年間にわたって調べられ、07年に「健康に悪影響を及ぼすという確固たる証拠は認められない」との報告書を総務省が公表。携帯電話各社も07年に同様の共同研究成果を発表した。
日本では、通信の電波は人体への影響についての基準を示す国の「電波防護指針」の対象で、指針が守られているため健康影響はないという。ただ、同省電波環境課によれば、科学的データの信頼性を高めるため引き続き調査は続ける。
調査対象のひとつが、携帯電話の子どもへの影響。骨格や携帯電話の使い方が大人と違うため、すでにある大人の研究データがそのままあてはめられない。
東京女子医大の山口直人教授(公衆衛生学)らは、子どもが携帯電話を使うことで病気へのかかりやすさに違いがあるかを調べ始めた。全国の小学校4~6年生の保護者に子どもの携帯電話の使用状況や既往歴などを追跡調査。子どもが携帯電話を使っていない人も含め、パソコンや携帯電話でアンケートする。携帯電話に関連した相談も受け付ける。
調査は、「青少年の携帯電話利用と健康の全国コホート調査」ウェブサイト(http://keitai.twmu.net/)から参加できる。
一方、インターネットなどで携帯電話の電磁波を防ぐとうたった商品の宣伝が目立つ。科学技術にかかわる社会問題を調べるNPO市民科学研究室には、こうした商品の信頼性を尋ねる相談がある。上田昌文代表は「情報提供が不十分なまま国が安全性を強調するから、かえって不安をあおるのではないか」と、国と市民の意識の隔たりを指摘する。
上田さんは「怖がりすぎるのは問題だが、普通は自分がどれだけ電磁波を浴びているかよくわからない。国や携帯電話会社が信頼を高めようとするなら、電磁波の安全性に疑問を投げかける研究もきちんと伝えるなど、工夫する必要がある」と話している。
◇ ◇
《筆者の小堀龍之から》
総務省は毎年、電波の性質や人体への影響についての説明会を各地で開いています。昨年までの5年間で約90回開催し、約1万1千人が参加しました。電磁界情報センターや市民科学研究室にも、電磁波の健康影響についての質問が寄せられています。
電磁波の健康影響について関心を持つ人が少なくない中、取材先に共通していた認識は*「リスクコミュニケーション」の必要性です。行政や企業、NPOに加え、一般の人も情報を共有し、お互いに意見交換をすることで、リスクの定義や意味がわかりやすくなる、という考えです。
たとえば携帯電話の電磁波については、WHOや国、携帯電話会社もリスクコミュニケーションの一環で、様々な情報をウェブサイトで公開しています。リスクに関心がある方はまず、そうしたサイトをご覧になってみてはいかがでしょうか。
『aサロン』[09/06/23]
https://aspara.asahi.com/blog/science/entry/guKNBuCIlD
本日の朝日新聞「身近な電磁波、体に大丈夫?携帯の子どもの影響など調査開始」という記事がありました。
唖然とするような文面がありましたので、ご紹介いたします。
https://aspara.asahi.com/blog/science/entry/guKNBuCIlD
> 携帯電話や基地局の電磁波などの健康影響は、97年から専門家による委員会で10年間にわたって調べられ。07年に「健康に影響を及ぼすという確固たる証拠は認められない」との報告を総務省が公表。
> 日本では、通信の電波は人体への影響についての基準を示す国の「電波防護指針」の対象で指針が守られているため健康影響はないという。
どっひゃー
総務省に何件の健康被害の相談があったか、公表していただきたいものです。
◆ 電磁波って何?
東京科学グループ 小堀龍之
携帯電話やテレビ、様々な家電製品。身の回りに「電磁波」を利用する機器は多い。健康影響を心配する人もおり、研究も盛んだ。最近は、携帯電話の子どもへの影響や、IH調理器から発生する周波数の電磁波など、研究データが少なかったところに注目が集まっている。
◇携帯の子どもへの影響など調査開始
「電磁波」と一言で言っても種類はいろいろある。目に見える光も電磁波の一種。そのほか、周波数によって、レントゲン写真に使われるX線、紫外線、赤外線、電波などに分かれる。永久磁石の磁場も「静磁界」と呼ばれる周波数0ヘルツの電磁波の一種だ。
いわゆる電磁波(電波)の健康影響について関心が集まったのは、70年代に米国で高圧送電線に近い住宅地で小児白血病の危険度(リスク)が高い、との研究結果が発表されたことなどが発端だ。
電子機器が身近になるにつれ、さらに関心が高まり、世界保健機関(WHO)は96年、日本などの参加国と電磁波のリスクについて調べる国際プロジェクトを始めた。周波数が0~300ギガヘルツの様々な電磁波の影響を調べている。
WHOは市民への情報提供も提言しており、日本では08年、財団法人電気安全環境研究所に「電磁界情報センター」が設けられた。電磁波について「中立的な立場」で最新情報を提供するという。
◇注目呼ぶ中間周波
WHOの調査にもかかわった同センターの大久保千代次・所長は「WHOは一般的な生活環境であびるような電磁波による健康影響を示す明らかな証拠はないとしているが、専門家が考えるリスクと、国民の考えるリスクには違いがある」と話す。
電磁波の健康影響については、様々な調査や見解がある。たとえば10万人あたり数人の割合で発症する小児白血病のリスク。国際的な疫学調査で高圧送電線の電磁波と統計学的には関連があるとされたが、動物実験では電磁波を浴びせ続けても発症した例はないという。
大久保さんによれば、送電線などが関係する周波数の低い「超低周波」や、携帯電話や電子レンジが関係する「高周波」の電磁波の研究が多く、その間にある「中間周波」の研究は少なかった。しかし、最近はIH調理器やパソコンのモニター、商品の管理に使われる電子タグなど、中間周波を発生・利用する機器が増え、注目が高まってきた。
一般的な環境で発生する中間周波は、国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)が指針で決めた人体に影響を与えない基準を満たすが、大久保さんらは念のため、細胞や動物への影響を調べ始めた。
約20年で急速に普及が進んだ携帯電話については、WHOの研究の一環として国際がん研究機関(IARC)で、日本を含む13カ国が参加して評価の検討を進めており、近く報告をまとめる見通しという。
携帯電話や基地局の電磁波などの健康影響は、97年から専門家による委員会で10年間にわたって調べられ、07年に「健康に悪影響を及ぼすという確固たる証拠は認められない」との報告書を総務省が公表。携帯電話各社も07年に同様の共同研究成果を発表した。
日本では、通信の電波は人体への影響についての基準を示す国の「電波防護指針」の対象で、指針が守られているため健康影響はないという。ただ、同省電波環境課によれば、科学的データの信頼性を高めるため引き続き調査は続ける。
調査対象のひとつが、携帯電話の子どもへの影響。骨格や携帯電話の使い方が大人と違うため、すでにある大人の研究データがそのままあてはめられない。
東京女子医大の山口直人教授(公衆衛生学)らは、子どもが携帯電話を使うことで病気へのかかりやすさに違いがあるかを調べ始めた。全国の小学校4~6年生の保護者に子どもの携帯電話の使用状況や既往歴などを追跡調査。子どもが携帯電話を使っていない人も含め、パソコンや携帯電話でアンケートする。携帯電話に関連した相談も受け付ける。
調査は、「青少年の携帯電話利用と健康の全国コホート調査」ウェブサイト(http://keitai.twmu.net/)から参加できる。
一方、インターネットなどで携帯電話の電磁波を防ぐとうたった商品の宣伝が目立つ。科学技術にかかわる社会問題を調べるNPO市民科学研究室には、こうした商品の信頼性を尋ねる相談がある。上田昌文代表は「情報提供が不十分なまま国が安全性を強調するから、かえって不安をあおるのではないか」と、国と市民の意識の隔たりを指摘する。
上田さんは「怖がりすぎるのは問題だが、普通は自分がどれだけ電磁波を浴びているかよくわからない。国や携帯電話会社が信頼を高めようとするなら、電磁波の安全性に疑問を投げかける研究もきちんと伝えるなど、工夫する必要がある」と話している。
◇ ◇
《筆者の小堀龍之から》
総務省は毎年、電波の性質や人体への影響についての説明会を各地で開いています。昨年までの5年間で約90回開催し、約1万1千人が参加しました。電磁界情報センターや市民科学研究室にも、電磁波の健康影響についての質問が寄せられています。
電磁波の健康影響について関心を持つ人が少なくない中、取材先に共通していた認識は*「リスクコミュニケーション」の必要性です。行政や企業、NPOに加え、一般の人も情報を共有し、お互いに意見交換をすることで、リスクの定義や意味がわかりやすくなる、という考えです。
たとえば携帯電話の電磁波については、WHOや国、携帯電話会社もリスクコミュニケーションの一環で、様々な情報をウェブサイトで公開しています。リスクに関心がある方はまず、そうしたサイトをご覧になってみてはいかがでしょうか。
『aサロン』[09/06/23]
https://aspara.asahi.com/blog/science/entry/guKNBuCIlD
http://ameblo.jp/kitakamakurakeitaing/entry-10285853911.html
大久保千代次氏の話題です。