★ なぜ、都民の声を聴こうとしない? ならば、説明責任を果たすべきでしょう
~スピーキングテストを巡って
今日の都教委定例会は公開議題(報告)が2件だけだったので、傍聴しなくてもいいかとは思いましたが、明後日に迫るスピーキングテストの件で教育委員から何か発言があるかもと淡い期待を抱いて、傍聴しました。
皆さんご存じのように、公正公平な、採点ミスのないスピーキングテストは不可能だとして、元英語教師らでつくる「都立高校入試へのスピーキングテスト導入の中止を求める会」が23600筆の署名を、保護者の会が6700筆の署名をもって、他にもいくつもの団体がスピ―キングテストの中止を都教委に要請してきました。
9月15日に開かれた都議会文教委員会では、「中学校英語スピーキングテスト結果の都立高校入試への活用の延期・見直しに関する請願」が、中止を求める世論に押されて「継続審査」となりました。
さらには、吉良よし子議員(日本共産党)が今月15日の参院文教科学委員会で中止を迫りました。
吉良氏が大学入学共通テストへのスピーキングテスト導入を見送った理由を質したのに対し、文科省は「質の高い採点者の確保や正確な採点の担保などの実施上の課題が生じる」(大学入試のあり方に関する検討会議提言)からだと説明。
吉良氏は、高校入試でも同様の課題があり、プレテストでも隣の音声が入るトラブルが発生するなど「何一つ解決していない」と指摘しました(しんぶん赤旗電子版11月17日)。
9月22日に開催された都教委定例会では議題に「高校入学者選抜実施要綱」についての報告があり、ここでスピーキングテストがどう報告され論議されるかを傍聴しようとする人たちが押し掛け、抽選となり、私は外れて傍聴できませんでした。
その議事録が公開されたので読んだところ、事務方は点数についての簡単な説明のみ。それを受けて、北村教育委員が一人、発言しました。
「…スピーキングテスト、かなりの年数を掛けて準備をしてまいりまして、我々も教育委員会の中でずいぶん議論しましたし、ずっと議論してきまして、どういう方法がいいのだろうかということを、いろいろな専門家の御意見も伺いながら議論を重ねてまいりました」。
他の教育委員からは発言がありませんでした。議事録を読んで、少なくとも定例会では議論らしき議論はなされなかった。
一体どこで議論したのか、このための非公開臨時会でも開いたのかと疑念は晴れません。中止を求める都民の声に、事務方からも教育委員からもスピーキングテストをする利点が語られたこともありません。説明すべきでしょうに。
今日の定例会でも、スピーキングテストについて、どの教育委員からも発言はありませんでした。
さて、今日の公開議題は、青島特別支援学校の改築工事に伴い校舎の住所を一時的に変更するという議案、及び、「来年度教育庁所管事業予算見積について(総括表)」の報告でした。
昨年の「来年度教育庁所管事業予算見積について」では、主な新規事業の第1に「教育のDX化」を挙げました。DXとは、デジタル技術を用いることで生活やビジネスが変容していくことを言います。具体策は、
・「高校段階における一人1台端末の整備」(主は保護者負担)
・「知的障害特別支援学校向けの独自デジタル教材の開発」
・「最新のDX機器を導入して質の高い実習環境の構築など、新しい工業高校に向けた取り組み」
・「デジタルを活用した児童生徒の心のケア」(=子どもの不安や悩みを早期発見、対応するために大学と連携してメンタル面での不安定さを可視化する質問回答ツールをモデル導入する)
など。
第2に「共生社会の実現に向けた取組」をあげ、ここに、パラリンピアン等の学校派遣や大使館との交流推進等の実施など「オリンピック・パラリンピック教育のレガシー継承」を挙げていました。
6年ぶりに教員たちはオリパラ教育から解放されました。
今日の予算見積では新規・拡充事業として次に示すものを挙げています。見積額の高いものをあげます。
・JETプログラム(語学指導等を行う外国青年招致事業)を活用した人材の配置
・都立学校生の海外交流等の促進
・教科「情報」の指導力向上に向け外部講師を活用した教員研修
・公立中学校における不登校生徒支援に係る調査研究の拡大とソーシャルワーカーの配置促進
・多忙な副校長の支援員や教員の授業準備等のサポートスタッフ配置の拡充
・都立学校における太陽光発電設備等の設置を促進等。
「都立学校生の海外交流等の促進」にはお金をかけるが、小山台、立川高校夜間定時制には金をかけたくないと、私には読めてしまいます。
見積額は少なかったが、気になった事業が2つ。
一つは、《教員確保策の充実》として
「民間企業等から新たに教員になる方に対し学び直しができる講習を実施」
「小中学校における教育実習生の受入環境整備に向けた支援を実施」
です。
「民間企業から」について、「転職する人への講習」と事務方は説明しました。教員希望者が激減し、再任用の65歳定年を取っ払ってもなお、教員定数を満たさない中での苦渋の策なのでしょうが、これで改善されるとは私には思えません。
私がいつも言っているように、都教委が教員の支配管理を止めれば、教員が誇りをもって働くことができるようになれば、「東京の教員になろう」と言う人たちは現れると思います。
もう一つは、「区市町村立学校・都立小中学校に対し、米粉パンなどを給食等で提供する食育の取組を支援」です。
小麦粉高騰の折、米を学校給食に供することは現実的な策、推進してほしいです。
かつては各学校に給食調理室があり温かい食事が供されていた(自校方式)のに、今はほとんどの地域で業者が入っての、安全性に疑問のある美味しくないセンター化給食にされてしまいました。
私の体験上も、センター化給食の学校では、残飯が大量に出ました。都教委は再び自校方式を推奨、実施してほしいものです。
『レイバーネット日本』(2022-11-24)
http://www.labornetjp.org/news/2022/1124nezu
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