阿部真大(まさひろ)「搾取される若者たち――バイク便ライダーは見た!」
(集英社新書361B 2006年10月発刊)を読みました。
著者は1976年生まれ(岐阜市出身)、大学を休学し1年間バイク便ライダーを体験した人です。
非正規雇用の若者(25~34歳)の割合はこの10年間で11%から23%へと2倍以上に増えているそうです。
ニートや引きこもりが多いと指摘される若者世代ですが、
じつは一方でワーカホリックも多いそうです
なぜワーカホリックに、それも自ら進んで陥るのか、
本書はその謎を解く本です。
派遣やアルバイトだけではなく請負労働者や委託労働者など不安定就業者が増えています。
なかでもバイク便ライダーは基本的に請負契約で「雇人のいない自営業種」なので、最賃制も保障されす、ガソリン代、修理代は自分持ち、かつ身体の危険と隣り合わせの最も過酷な職業の一つです。
しかしバイク便ライダーの世界でも、仕事が趣味化していき
(ここでいう趣味は速度を競う普通のバイクファンではなく、
細身でハンドルやサイドミラーを高い位置にしたモタードに乗り
「すり抜け」に生きがいを感じるライダーのこと)
「体は疲弊しているのに意識はハイ」になり、「好きなことで死ぬ」ならいい、すなわちワーカホリックへの道をたどる。
著者は「13歳のハローワーク」(村上龍)に代表される無責任な自己実現を促す職業教育を批判し、「やりたいことを仕事にすることの本当のこわさ」を指摘します。
なぜそんなことになってしまうのか。
その陰にはカラクリがあります。著者が発見したカラクリは
1 配車係(時間給の初心者たちのコーチ役)が元は優秀な歩合ライダーであること
2 バイク便ライダーのユニフォームを着用すると、身分も心もすっかりバイク便ライダーになりきってしまうこと
3 時間給ライダーは歩合給ライダー(運送料金の40~50%が自分の所得)になれるが、その逆はないこと
(老兵は淋しく職場を去るしかない)
しかもこのルールは会社(経営者)がつくったわけではなく、わなをかけているのはライダー自身、すなわち職場のトリックだそうです。
一度入ると抜けられない「誘惑する職場」
その危険に抗するにはどうすればよいか
著者の結論は、これはまさに労働問題なので、バイク便ライダー同士で競争するのではなく、「健全な懐疑心」をもち、連帯して労働問題に取り組もうというものです。
著者によれば、団塊ジュニア世代(1973年~1980年生まれ)の特徴は好戦的で素直なこと。「好戦的」は受験戦争と就職氷河期を生き抜いたことから生じます。
「素直」は、家にものわかりのよい「リベラルな団塊世代」の両親がいるので上の世代に反抗するなんて考えられない、基本的に親が大好きな世代という意味です。競争に疲れると家に引きこもる。
したがってニートとワーカホリックは表裏一体の関係にあり、ワーカホリックは「やりたいことを仕事にできた若者」、ニートは「やりたいことを仕事にできない若者と位置づけます。
わかりやすい説明だと思いました。
(集英社新書361B 2006年10月発刊)を読みました。
著者は1976年生まれ(岐阜市出身)、大学を休学し1年間バイク便ライダーを体験した人です。
非正規雇用の若者(25~34歳)の割合はこの10年間で11%から23%へと2倍以上に増えているそうです。
ニートや引きこもりが多いと指摘される若者世代ですが、
じつは一方でワーカホリックも多いそうです
なぜワーカホリックに、それも自ら進んで陥るのか、
本書はその謎を解く本です。
派遣やアルバイトだけではなく請負労働者や委託労働者など不安定就業者が増えています。
なかでもバイク便ライダーは基本的に請負契約で「雇人のいない自営業種」なので、最賃制も保障されす、ガソリン代、修理代は自分持ち、かつ身体の危険と隣り合わせの最も過酷な職業の一つです。
しかしバイク便ライダーの世界でも、仕事が趣味化していき
(ここでいう趣味は速度を競う普通のバイクファンではなく、
細身でハンドルやサイドミラーを高い位置にしたモタードに乗り
「すり抜け」に生きがいを感じるライダーのこと)
「体は疲弊しているのに意識はハイ」になり、「好きなことで死ぬ」ならいい、すなわちワーカホリックへの道をたどる。
著者は「13歳のハローワーク」(村上龍)に代表される無責任な自己実現を促す職業教育を批判し、「やりたいことを仕事にすることの本当のこわさ」を指摘します。
なぜそんなことになってしまうのか。
その陰にはカラクリがあります。著者が発見したカラクリは
1 配車係(時間給の初心者たちのコーチ役)が元は優秀な歩合ライダーであること
2 バイク便ライダーのユニフォームを着用すると、身分も心もすっかりバイク便ライダーになりきってしまうこと
3 時間給ライダーは歩合給ライダー(運送料金の40~50%が自分の所得)になれるが、その逆はないこと
(老兵は淋しく職場を去るしかない)
しかもこのルールは会社(経営者)がつくったわけではなく、わなをかけているのはライダー自身、すなわち職場のトリックだそうです。
一度入ると抜けられない「誘惑する職場」
その危険に抗するにはどうすればよいか
著者の結論は、これはまさに労働問題なので、バイク便ライダー同士で競争するのではなく、「健全な懐疑心」をもち、連帯して労働問題に取り組もうというものです。
著者によれば、団塊ジュニア世代(1973年~1980年生まれ)の特徴は好戦的で素直なこと。「好戦的」は受験戦争と就職氷河期を生き抜いたことから生じます。
「素直」は、家にものわかりのよい「リベラルな団塊世代」の両親がいるので上の世代に反抗するなんて考えられない、基本的に親が大好きな世代という意味です。競争に疲れると家に引きこもる。
したがってニートとワーカホリックは表裏一体の関係にあり、ワーカホリックは「やりたいことを仕事にできた若者」、ニートは「やりたいことを仕事にできない若者と位置づけます。
わかりやすい説明だと思いました。
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