《子どもと教科書全国ネット21ニュースから》
★ 運動あるところ成果あり!継続は力!
一千葉県における教科書採択に係るとりくみ
浅間基秀(あさまもとひで・子どもと教科書全国ネツト21常任運営委員)
今年の採択で千葉県内では4つの大きな前進があったので簡単に報告します。
「採択理由の公表」「採択地区協議会の公開と現場教員代表の委員選任」等、残された課題も多々ありますが、別の機会に…。
★ 前進1。県立中学校で育鵬社採択を返上
2015年8月、靖国参拝を繰り返した森田健作前知事の2期目半ば、知事の意を汲む教育委員の多数決により、県立中学校の歴史公民で育鵬社が採択されました。以来、9年間にわたり県内の公立中学校で唯一使用されてきましたが、返上が叶いました。
千葉県教科用図書選定審議会(以下、「審議会」)での答申のとりまとめ等は依然として非公開ですが、会議直後に会議資料と答申の開示請求を繰り返したことも採択返上の一助になったものと思われます。
★ 前進2・教科用図書選定審議会の公開が大幅拡大
千葉県では長く、「審議会」が非公開でしたが、20年、「審議会」自体は非公開ながら、開催日が県HPに掲載され、21年以降は会議自体の公開も徐々に拡大しました。
県が03年5月に策定(22年3月改訂)した附属機関の設置及び運営等に関する指針を元に、24年4月の第1回「審議会」当日、「教科書と教育を考える千葉県民の会」として「審議会」の公開拡大・傍聴者への資料配付・会議録等のHP掲載等の請願を「審議会」と担当の学習指導課宛に提出しました。
これが審議されたのが翌月の第2回「審議会」冒頭で、「審議会」会長は「『審議会』の規則」には請願に対する取扱いが定められていないので事務局から」と学習指導課に丸投げ?し、その見解は請願事項をほぼ受け入れるものでした。
多くの自治体で同様の「指針」を定めているので、教科書採択に係る各種の会議の公開を要求する際に活用していきましょう。
★ 前進3・モラロジーのお膝元で日本教科書を返上
中学校の道徳教科書で日本教科書が登場した20年、東葛飾東部採択地区(柏、我孫子、鎌ケ谷市)で、その日本教科書が採択されました。
採択を強く牽引したのは道徳教育の普及推進、教員を対象とする研修会を全国各地で開催するモラロジー道徳教育財団&麗澤大学に取り込まれた柏市教委です。
それが4年後の今回、返上することになりました。
採択地区協議会の議事録、委員名簿等の資料によれば、各市6人ずつの委員のうち1人が中学校の現場の先生で、その発言が大きな説得力を持ちました。
「今、日本教科書を使っていますが、長くて。これを読んで自分で考えて書きましょう、とやっているとそれで半分ぐらい時間が終わってしまう」「すごくよくわかります。見開きで3ページにもなることがあります。朝の学習の時間に文を読ませておくとか、家で二次元コードから聞いておいてください、と」。
★ 前進4・議会質問で教科書展示会の改善/資料の公表
木更津市、市川市の6月議会で市民団体・教科書ネットの会員の働きかけによる質疑が行われ、市教委の前進回答を引き出しました。運動あるところ成果あり!継続は力!です。
『子どもと教科書全国ネット21ニュース 第159号』(2024.12)
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