たんぽぽ舎です。【TMM:No3326】【TMM:No3328】
◆ 期限(今年11月)が迫る老朽原発は止めなければならない
山崎久隆(たんぽぽ舎)
1.東海第二原発の現状
作業環境の悪さと応力腐食割れなどの劣化が進む、
炉心冷却能力も後発機に比べて低い
1970年代に建設が始まり、2018年11月で40年を迎える東海第二原発。
世界初めてのBWR(沸騰水型)タイプ5の110万キロワットである。その後福島第一6号機、福島第二1号機、柏崎刈羽1号機が同じタイプであったが、その後「改良標準型」と呼ばれる国産化率を高めた炉が各地に建てられる。
柏崎刈羽2~5号機、福島第二2~4号機、島根2号機、女川2・3号機、東通、浜岡3・4号機などだ。
「改良標準型」の意味は、GE社の設計した「タイプ5」をベースに、日本のメーカーの日立、東芝が日本独自に改良し、同じ設計で各地に建てたことに由来する。
電力会社の1号機は輸入、2号機以降は国産といった方針が日本の原子力にはあった。
「改良標準型」とは、初期に導入した輸入原発が応力腐食割れや熱疲労割れなどの事故が多発すると共に、作業環境の悪さ、これは設計の悪さでもあるのだが、結果として稼働率が急激に低下したため、メーカーを超えて被ばく低減、作業環境の改善、格納容器の大型化、材料、溶接の改良を行い、日本型BWRを作るということだった。
「改良標準型」よりも古い東海第二原発などは、GEからの輸入品だが、設計施工いずれにも問題がある。特に作業環境の悪さと応力腐食割れなどの劣化が進むことが問題となる。加えて炉心冷却能力も後発機に比べて低い。
このような原発の運転延長などあり得ない。
政府は40年寿命を決めた当時「20年運転延長は例外中の例外」としたが、そうであれば東海第二原発は絶対に延長など出来ない原発としてその時指摘すべきだった。
2.ケーブルの欠陥
老朽炉であることから、材料については応力腐食割れに弱いインコネルを使っていたり、難燃性のないケーブルを敷設しているなど、1970年代までの欠陥を引きずっている。
原発の運転年限を40年に限ったのは、圧力容器等の交換不可能な部品の耐用年数切れというよりも、設計も施工も古い原発の場合に往々にしてある満身創痍状態の現状を改善する術がないことだ。
その一つ、原発に張り巡らされた各種ケーブル問題は、特に老朽炉の場合は劣化がひどい。
東海第二原発の可燃性ケーブルは全部交換することが出来ない。安全上重要なものに限っても約400kmのケーブルのうち難燃化対策可能なのは半分程度の52%であるという。残りは防火シートで巻くとされる。
しかしシートで巻いてしまえば熱がこもり、ケーブル劣化の危険性がある。そのうえ防火シート内部でケーブルが発火した場合、消火が極めて難しく、ケーブルトレイ上の全てが使用不能となる。対策としては他のトレイやケーブルへの延焼を防ぐ程度である。これでは対策になっていない。
ケーブル全体では1400kmもの長さだから、15%程度を対策するに過ぎない。これでさえ鳴り物入りで「対策した」と説明される。
老朽炉は随所に欠陥を抱える。
3.シュラウドのひび割れ
巨大な揺れ(地震)に襲われ、
ひび割れが破断に進むことは避けられないだろう
東海第二原発は圧力容器内部の燃料を支えているシュラウドと呼ばれる部品にひび割れがある。
764体の核燃料は、下を「下部格子板」上部を「上部格子板」に差し込まれている。熱膨張があるため固定してはいない。下部格子板は原子炉圧力容器内部に立てられた柱の上にあるシュラウドに支えられている。
シュラウドはステンレス製の筒状で、板を曲げて溶接で繋いで作られる。直径約6m高さ約14mにも達する。このシュラウドが溶接部でひび割れしているが、原電は今後20年間使用する決定をしている。
シュラウドのひび割れは各地のBWRで多発してきた。古い物ほど多くなる。
ひび割れの多いシュラウドは交換することになっており、福島第一原発でも3.11事故当時4号機でシュラウドの交換を行っていた。
ひび割れが進展すると、最悪の場合はシュラウドが破断し燃料を支えられなくなり傾く。運転中ならば制御棒を挿入できなくなり停止不能となるかも知れない。
そんなリスクを冒してまでも動かしてはならない。
原電の評価では、現在のひび割れが徐々に進むとしても、今後20年間使い続けても十分余裕があるという。地震についても基準地震動の揺れに遭遇しても破断しないと考えている。
しかし多くの仮定を立てて、そのような結論を出されても信じることは出来ない。
特に地震の揺れは、建設時の370ガルから現在の1009ガルまで段階的に引き上げられてきた。これまでの基準地震動が過小評価だったことを認めてきたわけで、これからも新しい知見が見つかれば、さらに引き上げられることになろう。
現在最大の基準地震等は柏崎刈羽原発の2300ガル。それに続くのは浜岡の2000ガル(5号機について策定予定)である。
巨大な揺れに襲われることは常態化した。その時ひび割れが破断に進むことは避けられないだろう。
4.原子力防災には責任を持たない規制庁
原発から30キロあまりの範囲に広がるUPZ(予防的防護措置を準備する区域)には公式には96万人、時間帯によっては100万人を遙かに超える人々が暮らし、働いている。原発事故が起きて原子力防災で避難行動を行うことが可能と思う人はいないだろう。
これについて原子力規制庁は原子力防災一般について「原子力防災会議で原子力規制委員会委員長が参加して意見を述べている」と回答しているが、東海第二原発では「これまでの原子力防災会議において、東海第二発電所に係る地域防災計画についての報告はされていません。このため、委員長が同会議において東海第二発電所に係る地域防災計画について発言したことはありません。」などと回答している。解説を加えるまでもない。
原子力規制庁は原子力防災について全く関与していないし責任を持つ立場に立っていない。
これまで水戸市と日立市で原子力防災計画が策定されている。人口約27万人で県庁所在地でもある水戸市は、全域がUPZに入るため、古河市、結城市、下妻市、常総市、つくば市、坂東市、八千代町、五霞町、境町の「県内9自治体」及び「栃木県」「群馬県」「埼玉県」「千葉県」に広がる。
日立市も全域がUPZに入る。全人口約18万3千人を福島県内17市町村に避難させる計画を作った。
いずれにしても実効性はほとんど感じられない。この計画が実行された場合、沢山の人々が命を落とすだろうことは福島第一原発事故の経験でも明らかだ。
犠牲を出さないためには原発を止めるほかはない。
5.津波に沈む原発
福島第一原発事故の教訓として、想定される津波の高さがかさ上げされ、それに対策することが規制基準で定められた。その時に想定する津波を「基準津波」というが、東海第二原発の場合は高さ17.1mとされた。
しかし今後も大きな津波の発生が否定できないため、「基準津波」を超え敷地に遡上する津波に対する防護の考え方について明らかにしている。
それによると、津波は最大30m級の高さに達した場合、敷地内は20mの防潮堤まで水没する。しかし防潮堤に取り付けたゲートを開くことで排水し、シビアアクシデント対策のためのアクセスルートを確保することが可能な海抜8mにまで下げるのに4時間40分を想定している。
電源喪失なども想定するが非常用の発電車を接続することなどで約2時間後には代替冷却システムが稼働し、炉心の冷却が確保できるとする。
その結果、炉心損傷は回避される。
瓦礫の流入も想定するものの、例えば5000トンの使用済燃料輸送船などは自力で避難できるとし、自走航行できない台船が入ってくる程度であるとする。
総じて30mの津波に呑み込まれても炉心冷却は十分可能としているが、これはあまりにも楽観に過ぎよう。
この規模の津波では瓦礫より土石が流れ込む。ゲートは外部から破壊され、稼働しなくなる可能性がある。また、防潮堤そのものも波の力で破損するだろう。
さらに津波は一回や二回で終わらない。何度も襲われればゲートを開けて排水するタイミングもないかも知れない。
原発が水没しても過酷事故に至らないなどと解析している原発では新たな安全神話を振りまいているとしか思えない。
6.東海再処理工場は無視(東海再処理工場の事故を想定していない)
東海第二原発の5km圏内(PAZ・放射性物質が放出される前の段階から予防的に避難等を開始する予防的防護措置を準備する区域)には10を超える原子力施設が集中する。原子炉の冷却不能などの原子力非常事態が宣言されると自動的に避難行動を開始する。これら施設の従業員も避難しなければならなくなる。
東海再処理工場も同様である。
大規模地震と津波に襲われれば、双方が冷却不能の原子力緊急事態になる可能性がある。そしてこの間の距離は僅か3kmだ。
東海再処理工場は既に廃止が決まっているが、敷地内にはまだ約400立方メートルの高レベル放射性廃液と使用済燃料が265体残っている。他にも低、中レベル放射性廃棄物は大量にある。これらが環境中に出ないように管理を続ける必要があるのだ。
しかし大規模地震や津波に襲われれば大災害になりかねず、その時に東海第二原発が動いていれば複合災害は免れない。
高レベル放射性廃液は常時冷却が必要だが、これが止まるとおよそ2.5日で沸騰して放射性物質の拡散が始まるとされる。その後は高温になった廃液の爆発なども想定されるが、そんなことになれば福島第一原発以上の汚染を太平洋にもたらすだろう。もちろん東日本は再び核の汚染に襲われる。
東海第二原発を動かせないもう一つの理由は、東海再処理工場など原子力施設が林立する茨城県の現状そのものにある。
規制庁は、この現実を認識しながら、東海再処理工場は事業者による対策が進められるから大事故は起こらないとしている。東海第二原発の再稼働を容認するためには再処理工場の事故を想定してはならないからに他ならない。
7.東海第二原発は何としても止める
今年の11月27日が過ぎても審査書が決定されなければ、東海第二原発の運転は不可能となる。東海第二原発再稼働阻止のゴールは日時が定められている。
茨城県の人々へ、自治体への働きかけで、東海第二原発、東京圏の原発を止める責任は、福島第一原発事故を防げなかった私たちにもある。 (了)
(初出:月刊「たんぽぽ」ニュース2018年3月号)
◆ 期限(今年11月)が迫る老朽原発は止めなければならない
山崎久隆(たんぽぽ舎)
1.東海第二原発の現状
作業環境の悪さと応力腐食割れなどの劣化が進む、
炉心冷却能力も後発機に比べて低い
1970年代に建設が始まり、2018年11月で40年を迎える東海第二原発。
世界初めてのBWR(沸騰水型)タイプ5の110万キロワットである。その後福島第一6号機、福島第二1号機、柏崎刈羽1号機が同じタイプであったが、その後「改良標準型」と呼ばれる国産化率を高めた炉が各地に建てられる。
柏崎刈羽2~5号機、福島第二2~4号機、島根2号機、女川2・3号機、東通、浜岡3・4号機などだ。
「改良標準型」の意味は、GE社の設計した「タイプ5」をベースに、日本のメーカーの日立、東芝が日本独自に改良し、同じ設計で各地に建てたことに由来する。
電力会社の1号機は輸入、2号機以降は国産といった方針が日本の原子力にはあった。
「改良標準型」とは、初期に導入した輸入原発が応力腐食割れや熱疲労割れなどの事故が多発すると共に、作業環境の悪さ、これは設計の悪さでもあるのだが、結果として稼働率が急激に低下したため、メーカーを超えて被ばく低減、作業環境の改善、格納容器の大型化、材料、溶接の改良を行い、日本型BWRを作るということだった。
「改良標準型」よりも古い東海第二原発などは、GEからの輸入品だが、設計施工いずれにも問題がある。特に作業環境の悪さと応力腐食割れなどの劣化が進むことが問題となる。加えて炉心冷却能力も後発機に比べて低い。
このような原発の運転延長などあり得ない。
政府は40年寿命を決めた当時「20年運転延長は例外中の例外」としたが、そうであれば東海第二原発は絶対に延長など出来ない原発としてその時指摘すべきだった。
2.ケーブルの欠陥
老朽炉であることから、材料については応力腐食割れに弱いインコネルを使っていたり、難燃性のないケーブルを敷設しているなど、1970年代までの欠陥を引きずっている。
原発の運転年限を40年に限ったのは、圧力容器等の交換不可能な部品の耐用年数切れというよりも、設計も施工も古い原発の場合に往々にしてある満身創痍状態の現状を改善する術がないことだ。
その一つ、原発に張り巡らされた各種ケーブル問題は、特に老朽炉の場合は劣化がひどい。
東海第二原発の可燃性ケーブルは全部交換することが出来ない。安全上重要なものに限っても約400kmのケーブルのうち難燃化対策可能なのは半分程度の52%であるという。残りは防火シートで巻くとされる。
しかしシートで巻いてしまえば熱がこもり、ケーブル劣化の危険性がある。そのうえ防火シート内部でケーブルが発火した場合、消火が極めて難しく、ケーブルトレイ上の全てが使用不能となる。対策としては他のトレイやケーブルへの延焼を防ぐ程度である。これでは対策になっていない。
ケーブル全体では1400kmもの長さだから、15%程度を対策するに過ぎない。これでさえ鳴り物入りで「対策した」と説明される。
老朽炉は随所に欠陥を抱える。
3.シュラウドのひび割れ
巨大な揺れ(地震)に襲われ、
ひび割れが破断に進むことは避けられないだろう
東海第二原発は圧力容器内部の燃料を支えているシュラウドと呼ばれる部品にひび割れがある。
764体の核燃料は、下を「下部格子板」上部を「上部格子板」に差し込まれている。熱膨張があるため固定してはいない。下部格子板は原子炉圧力容器内部に立てられた柱の上にあるシュラウドに支えられている。
シュラウドはステンレス製の筒状で、板を曲げて溶接で繋いで作られる。直径約6m高さ約14mにも達する。このシュラウドが溶接部でひび割れしているが、原電は今後20年間使用する決定をしている。
シュラウドのひび割れは各地のBWRで多発してきた。古い物ほど多くなる。
ひび割れの多いシュラウドは交換することになっており、福島第一原発でも3.11事故当時4号機でシュラウドの交換を行っていた。
ひび割れが進展すると、最悪の場合はシュラウドが破断し燃料を支えられなくなり傾く。運転中ならば制御棒を挿入できなくなり停止不能となるかも知れない。
そんなリスクを冒してまでも動かしてはならない。
原電の評価では、現在のひび割れが徐々に進むとしても、今後20年間使い続けても十分余裕があるという。地震についても基準地震動の揺れに遭遇しても破断しないと考えている。
しかし多くの仮定を立てて、そのような結論を出されても信じることは出来ない。
特に地震の揺れは、建設時の370ガルから現在の1009ガルまで段階的に引き上げられてきた。これまでの基準地震動が過小評価だったことを認めてきたわけで、これからも新しい知見が見つかれば、さらに引き上げられることになろう。
現在最大の基準地震等は柏崎刈羽原発の2300ガル。それに続くのは浜岡の2000ガル(5号機について策定予定)である。
巨大な揺れに襲われることは常態化した。その時ひび割れが破断に進むことは避けられないだろう。
4.原子力防災には責任を持たない規制庁
原発から30キロあまりの範囲に広がるUPZ(予防的防護措置を準備する区域)には公式には96万人、時間帯によっては100万人を遙かに超える人々が暮らし、働いている。原発事故が起きて原子力防災で避難行動を行うことが可能と思う人はいないだろう。
これについて原子力規制庁は原子力防災一般について「原子力防災会議で原子力規制委員会委員長が参加して意見を述べている」と回答しているが、東海第二原発では「これまでの原子力防災会議において、東海第二発電所に係る地域防災計画についての報告はされていません。このため、委員長が同会議において東海第二発電所に係る地域防災計画について発言したことはありません。」などと回答している。解説を加えるまでもない。
原子力規制庁は原子力防災について全く関与していないし責任を持つ立場に立っていない。
これまで水戸市と日立市で原子力防災計画が策定されている。人口約27万人で県庁所在地でもある水戸市は、全域がUPZに入るため、古河市、結城市、下妻市、常総市、つくば市、坂東市、八千代町、五霞町、境町の「県内9自治体」及び「栃木県」「群馬県」「埼玉県」「千葉県」に広がる。
日立市も全域がUPZに入る。全人口約18万3千人を福島県内17市町村に避難させる計画を作った。
いずれにしても実効性はほとんど感じられない。この計画が実行された場合、沢山の人々が命を落とすだろうことは福島第一原発事故の経験でも明らかだ。
犠牲を出さないためには原発を止めるほかはない。
5.津波に沈む原発
福島第一原発事故の教訓として、想定される津波の高さがかさ上げされ、それに対策することが規制基準で定められた。その時に想定する津波を「基準津波」というが、東海第二原発の場合は高さ17.1mとされた。
しかし今後も大きな津波の発生が否定できないため、「基準津波」を超え敷地に遡上する津波に対する防護の考え方について明らかにしている。
それによると、津波は最大30m級の高さに達した場合、敷地内は20mの防潮堤まで水没する。しかし防潮堤に取り付けたゲートを開くことで排水し、シビアアクシデント対策のためのアクセスルートを確保することが可能な海抜8mにまで下げるのに4時間40分を想定している。
電源喪失なども想定するが非常用の発電車を接続することなどで約2時間後には代替冷却システムが稼働し、炉心の冷却が確保できるとする。
その結果、炉心損傷は回避される。
瓦礫の流入も想定するものの、例えば5000トンの使用済燃料輸送船などは自力で避難できるとし、自走航行できない台船が入ってくる程度であるとする。
総じて30mの津波に呑み込まれても炉心冷却は十分可能としているが、これはあまりにも楽観に過ぎよう。
この規模の津波では瓦礫より土石が流れ込む。ゲートは外部から破壊され、稼働しなくなる可能性がある。また、防潮堤そのものも波の力で破損するだろう。
さらに津波は一回や二回で終わらない。何度も襲われればゲートを開けて排水するタイミングもないかも知れない。
原発が水没しても過酷事故に至らないなどと解析している原発では新たな安全神話を振りまいているとしか思えない。
6.東海再処理工場は無視(東海再処理工場の事故を想定していない)
東海第二原発の5km圏内(PAZ・放射性物質が放出される前の段階から予防的に避難等を開始する予防的防護措置を準備する区域)には10を超える原子力施設が集中する。原子炉の冷却不能などの原子力非常事態が宣言されると自動的に避難行動を開始する。これら施設の従業員も避難しなければならなくなる。
東海再処理工場も同様である。
大規模地震と津波に襲われれば、双方が冷却不能の原子力緊急事態になる可能性がある。そしてこの間の距離は僅か3kmだ。
東海再処理工場は既に廃止が決まっているが、敷地内にはまだ約400立方メートルの高レベル放射性廃液と使用済燃料が265体残っている。他にも低、中レベル放射性廃棄物は大量にある。これらが環境中に出ないように管理を続ける必要があるのだ。
しかし大規模地震や津波に襲われれば大災害になりかねず、その時に東海第二原発が動いていれば複合災害は免れない。
高レベル放射性廃液は常時冷却が必要だが、これが止まるとおよそ2.5日で沸騰して放射性物質の拡散が始まるとされる。その後は高温になった廃液の爆発なども想定されるが、そんなことになれば福島第一原発以上の汚染を太平洋にもたらすだろう。もちろん東日本は再び核の汚染に襲われる。
東海第二原発を動かせないもう一つの理由は、東海再処理工場など原子力施設が林立する茨城県の現状そのものにある。
規制庁は、この現実を認識しながら、東海再処理工場は事業者による対策が進められるから大事故は起こらないとしている。東海第二原発の再稼働を容認するためには再処理工場の事故を想定してはならないからに他ならない。
7.東海第二原発は何としても止める
今年の11月27日が過ぎても審査書が決定されなければ、東海第二原発の運転は不可能となる。東海第二原発再稼働阻止のゴールは日時が定められている。
茨城県の人々へ、自治体への働きかけで、東海第二原発、東京圏の原発を止める責任は、福島第一原発事故を防げなかった私たちにもある。 (了)
(初出:月刊「たんぽぽ」ニュース2018年3月号)
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