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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

152人の弁護士による刑事告訴後の記者会見

2013年07月06日 | 平和憲法
  《澤藤統一郎の憲法日記》から
 ◆ 新大久保ヘイトスピーチ・デモ参加者による傷害・暴行告訴の記者会見で

 弁護士の澤藤です。
 新大久保のヘイトスピーチ・デモ参加者が、そのヘイトスピーチに対して説得・抗議活動を行っていた方に対して起こした傷害・暴行事件の告訴に関して、梓澤和幸弁護士から詳細な意義の説明がありました。私から、本件告訴の意義に関して、若干の補充をいたします。

新大久保排外デモ暴行事件、刑事告訴後の記者会見(6:43)IWJ

 この事件について、ヘイトスピーチの被害者の側に立つことの名乗りを上げた弁護士は150人にも上りますが、その皆が表現の自由をこの上なく大切に思う立場の者ばかりです。しかし、表現の自由とは、本来公権力や社会的強者を批判する言論の自由を保障するもの。表現の自由の美名に隠れて、弱者の基本権を侵害する自由が認められてよいわけがない。とりわけ人種差別発言や民族差別発言で、マイノリティを貶めることは到底許し難い。
 さりとて、人種差別や民族差別が純粋に言論にとどまる限りは、これを処罰する刑事法規は現在ありません。刑罰権の発動によってこれを処罰せよ、あるいは押さえ込めというわけにはまいりません。
 では、どうすべきか。一般論としては、言論には言論をもって対抗すべきだということになります。差別される側にも十分に反論する権利が保障されているのだから、その権利を行使して反論すればよいでないかという議論です。
 しかし、この議論は画に描いた餅でしかない。対等者間モデルの一般論を当て嵌めることの不当性について多くを語る必要がないと思います。
 強者が弱者を貶めているとき、弱者に自力で権利の救済をせよというのは、権利侵害を容認することにほかなりません。いじめられている人に、「反撃の権利があるのだから、いじめっ子に反撃せよ」といっているに等しいのです。
 このような場面で、被害者に代わって対抗言論を買って出る市民が現れるということは、まことに貴重な、素晴らしいことと言わねばなりません。
 被害者の立場にたって、被害者に代わって、ヘイトスピーチの恥ずべきことを説得し、愚かな行為を止めるよう働きかける行動は、民主々義社会の良心と良識に基づくものと賞賛に値するものです。
 ところが、ヘイトスピーチデモへの参加者の中には、この説得に耳を貸さないばかりか、このような説得活動を不愉快として、実力行使に及ぶ者さえ現れました。
 本日告訴に及んだ2件の事件は、ヘイトスピーチデモの参加者が説得者に体当たりし、転倒させ、あるいは蹴飛ばすなどして、暴行・傷害に及んだというものです。
 明らかに犯罪ですし、警察官が現認している行為です。到底許すことができません。
 もし、この暴行や傷害を座して見過ごすとすれば、ヘイトスピーカー側に間違ったサインを送ることになります。この程度のことは許されるのだと。そして、せっかく立ち上がった良識ある人々の勇気を挫くようなことにもなりかねません。
 実は、これまでの間違ったサインの積み重ねが、今日までの事態のエスカレートをもたらしたといわざるを得ません。断固とした刑事制裁によってヘイトスピーチデモの異常さ、間違いを糺し、彼らに自覚を促さねばなりません。
 警察は、「デモ隊もデモへの抗議の人々も、どっちもどっち。警察がどちらに肩入れすることはしない」と言っていますが、大局を見失ってはなりません。
 人種差別・民族差別の発言で弱者の人権を侵害している側と、その被害者に代わって説得を試みている人々と。それを一緒にして、どっちもどっちと言ってはならない。ごく小さな局面だけに焦点を当てれば、そのように見えることもあるかも知れません。しかし、大局をみれば、一方は余りにもひどい差別発言の加害者であり、もう一方はヘイトスピーチの醜さを克服しようと立ち上がった、良識ある人々。その区別を見失うようなことがあってはならない。
 私たちは、この良識ある人々の側に徹底して立ちたいと思っています。
 それこそが民主々義社会における良識が求めるものであり、とりわけ、社会正義と人権を擁護する使命を負っている弁護士の責務だと思ってのことです。
 そのような趣旨での本件告訴であることにご理解をいただきたいと思います。

『澤藤統一郎の憲法日記』(2013年6月24日)
http://article9.jp/wordpress/?p=643
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