★ 役人の言う「エビデンスが重要」とはデータに粛々と従う教員の養成を意味する。
(神奈川Tさん)
神奈川県の条例に反して、県が個人の思想信条情報を収集したことが不当として、個人保護法保護審査会・審議会に訴えて闘ってきた。条例に違反するという結論を引き出したが、県による収集はおさまらなかった。
個人情報保護条例は今年、全国的に廃止され、本人の同意が必要などの大切な原則があったが、消えた。そして個人情報保護法に一元化された。私はこの保護法は、個人情報の利活用法に近いもので、保護とは言えない代物と思う。
情報収集は「利用目的」で制限しているが、利用目的の範囲が広いと規制にならない。
都のダッシュボードでの教育データ収集も情報を集めることが先行し、子どもの情報の取扱いに配慮がない。また、民間では「要配慮個人情報」に規制があるが、公的部門では規制がないのも問題。
また、2022年1月に「教育データ利活用ロードマップ」が、デジタル庁と文科、経産、総務の3省の名で出されており、今や「教育=文科省」とは言えない。また2021年12月には、生徒のIDとマイナカードを紐づけることも検討する、と閣議決定がされている。
ロードマップによれば、教育におけるあらゆるデータを集め、それをPDSという情報バンクのようなところに蓄積することを考えているようだ。
生徒が自分の端末から「学習eポータル」に入って、様々な情報が入っているMEXCBT(メクビット)にアクセスできる仕組みがある。ここでは教育委員会とか教師の介在なしに、生徒が直接文科省の情報にアクセスできる。
なぜ、そういうことをやろうとしているのか?彼らは言う。
「これからはエビデンスが重要。教員の勘に頼った授業はダメ」と。
つまりそのエビデンスに淡々と従う教員が必要になる。これが安原先生の言う「丁eachingからCoachingへ」ということ。つまり子どもの人間像がデータで描かれ、人間性がゆがめられていく。「個別最適な学び」とか言うが、最終的には差別選別と自己責任論につながる危険なものと思う。
(文責:加藤良雄・元都立高校教員)
「日の丸・君が代」強制反対 予防訴訟をひきつぐ会通信『いまこそ No.30 号外』(2024年1月31日)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます