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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

☆ 超少子化の時代~晩婚化、非婚化は本人の好みや流行ではない

2024年03月17日 | 格差社会

  《沈思実行(185)週刊新社会》
 ☆ 超少子化の時代

鎌田 慧

 韓国の出生率が0・72。驚くべき水準だ。世界最低水準、という。それも8年連続で前年を下まわった。報道された数字を知って、ほとんどのひとが日本を対置して考えたと思う。
 子どもをつくらないのは、経済的に苦しいか、「将来への漠然たる不安」があるからだ。おそらく、若ものたちが感じる将来への不安は、日韓おなじようなものだと思う。

 というのも、わたしたち(60年安保世代)あるいは70年代全共闘世代、いま80代、70代の周辺は、明日の生活のことを思い煩う必要はなかった。
 大企業志向はなかった。就職であせるのは恥ずかしい。どこかで食べて行ける、という楽観があった。それは高度経済成長時代にあたっていたからだ。
 たとえば、臨時工(臨時職員)の本工化(社員化)運動は、高度成長期前からあった。それは達成された。

 が、1986年に労働者派遣法が施行され、派遣事業が認められた。まもなく工場労働者の派遣が合法化され、非正規時代となった。
 暴力団由来の「人夫出し」を合法化したのが「派遣法」だった
 その法律の下で、臨時工が大量に復活、いま「非正規」が40%、という不安定時代を招来するようになった。

 出生率が下がったのは、現在の生活ばかりか、将来の生活が不安定だからだ。
 男女ともに職場が安定せず、賃金が上がることなく、いつ解雇されるか判らない。そんな身分不安定な状態では結婚できず、結婚したにしても、子どもを産んで育てられる状況にはない。それが現実なのだ。
 晩婚化、非婚化は本人の好みや流行ではない。それでいて大企業は、未曾有の内部留保を抱えてウケに入っている。

 韓国では、今年1年生の入学者がいない小学校が、全国で150校になる、という。ソウルにある大企業への就職にむけて、子どもの頃から競争が激しい。生き残るためだ。
 日本でも塾に通い、公立の学校から私立有名校にむかう競争が激しくなっている。
 それらはけっして豊かさのあらわれではない。「出世」でしか、生き残れない社会は、貧しさのあらわれである。

『週刊新社会』(2024年3月13日)


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