ひさしぶりに司馬遼太郎の「項羽と劉邦」を読んだ。
やっぱり面白い。
この作品の根底にあるテーマは「リーダーとしての資質」。
もちろんストーリーにそって物語りは進んでいくけれど、主人公の二人をはじめ、さまざまな登場人物をその視点から司馬流の観察眼で深く分析し、描いている。
こういうテーマの本は星の数ほどあるけれど、僕が今まで読んだ中ではこの「項羽と劉邦」の右に出るものはない。
圧倒的に個の力に秀でた項羽。
非力なゆえ、有能なブレーンに助けられた劉邦。
最終的に劉邦が項羽に勝ち「漢」を築くわけだが筆者はこの二人を次のように端的に表現している。
「劉邦は網のようなもの。それに対して項羽は錐のようなもの」
人の上に立つというのはまことに難しいものである。