時、うつろいやすく

日常のたわいもない話…
だったのが、最近は写真一色になりつつある。

アサリ

2007-08-25 22:09:07 | 思い出
35年以上昔。
私が小学生のときの話。
学校の校門を出て100mくらいのところに床屋さんがあった。
その床屋さんの前に川が流れていた。
巾1メートル強、深さ30センチくらいの小さな川である。
登校時、その川底に気になるものを発見した。
アサリである。
川底の砂地に何個もアサリが沈んでいた。
私の通っていた小学校は山の麓にあった。
海からは程遠い位置にある。
淡水にあさりがいるとは思えなかった。
しかし、川底に見えるアサリは食べカスの貝殻には見えなかった。
登下校時、いつもそのアサリが気になって仕方なかった。
生きているのだろうか?
生きているとしたら何故川にいるのだろうか?
シジミは川だがアサリは海や河口の生き物ではないのか?
日増しに謎は深まっていった。
けれども学校の側なので一人で川に入る勇気はなかった。
仕方なくしばらく観察を続けることにした。
幸い、誰もあさりの存在には気づいていなかった。
ひと月ほどして、ついに行動した。
友達を誘って捕ることにした。
その日、私は一端家に帰って近所のまことくんを誘った。
まことくんは魚捕りの名人だった。
まことくんはすんなり私の話を信じてくれた。
二人は意気揚揚と川を目指した。
床屋さんの前に着くと周囲に人がいないか確かめた。
誰もいなかった。
二人は、ざぶんと川に足をいれた。
アサリはたしかにいた。
思った以上に沢山いた。
どれも蓋のしまった重みのあるアサリだった。
二人で200個くらい捕った。
家に持ち帰るとその日の夕飯で汁にして食べた。
アサリの身は厚くてプリプリしていた。
とても美味しかった。
じいさんもばあさんもうまいうまいといって食べてくれた。

今でもその床屋さんはある。
川もそのまま存在している。
なぜに川にアサリだったのか今でも謎である。
コメント
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